犬の溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)

犬の溶血性貧血~元気がなく、食欲もなくなり、疲れやすくなったら~

 犬の溶血性貧血(ようけつせいひんけつ)とは、何かしらのきっかけによって犬の免疫機能に異常がおこり、血液中の赤血球が破壊されることにより、全身へ酸素が行き渡らなくなってしまった状態を言います。
 溶血(ようけつ)とは赤血球が破壊されることを意味します。
 赤血球は血液細胞の一つで色は赤く、肺から得た酸素を取り込み、体の隅々の細胞に運び供給する役割を担っています。
 ですから溶血が起こると赤血球の酸素運搬能力が低下し、全身が酸欠状態に陥ってしまうというわけです。

 ここでは、犬の溶血性貧血の主な原因はもちろん、症状から対処法、かかりやすい犬種などをまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。


  • 犬の溶血性貧血の主な症状
  • 犬の溶血性貧血の主な原因
  • 犬の溶血性貧血の主な治療法

犬の溶血性貧血の主な症状

犬の溶血性貧血の代表的な症状としては、元気がなく、食欲もなくなり、疲れやすくなります。
また、貧血によって舌やお口の粘膜などが血色を失い、白っぽく見えるようになります。その他に赤っぽい尿や黄疸などの症状が起こります。

主な症状
☆ぐったりして元気がない
☆運動を嫌がる
☆食欲不振
☆呼吸困難
☆口内粘膜が蒼白
☆肝臓や脾臓が腫れる
☆黄疸(おうだん)※白目や口内粘膜が黄色
☆尿の色が濃い(赤茶色に近くなる)

犬の溶血性貧血の主な原因

 発生の原因ははっきり分かっていません。
 遺伝的なものが原因の一つではないかといわれています。
 免疫機能が何らかのきっかけで異常が起こり、自分自身の赤血球に抗体を作ってしまい、その抗体によって、血管、脾臓、肝臓、骨髄などにある自分自身の赤血球を破壊してしまうことが原因となります。

  • 免疫機構の誤作動
    体内に入ってきた異物を攻撃するはずの免疫細胞(白血球など)が、何らかの理由によって自身の赤血球を攻撃することで溶血が起こることがあります(自己免疫性溶血性貧血)。
    しかし免疫機構の誤作動を引き起こしているものが不明のこともしばしばです。

  • 反復的な衝撃
    溶血が循環血液中の極端なずれ応力や乱流により引き起こされることもあります。
    人間の例で言うと、ずっと歩き続ける事による足への反復的な衝撃や、空手や太鼓演奏などによる手への反復的な打撃が溶血を引き起こすことがあります。
    こうした外傷に起因する溶血は特に「外傷性溶血性貧血」と言います。

  • かかりやすい犬種
    自己免疫性の溶血を発症しやすい犬種が確認されています。
    具体的には下記の通りです。
    オールドイングリッシュシープドッグ
    アメリカンコッカースパニエル
    イングリッシュコッカースパニエル
    プードル
    アイリッシュセッター
    コリーなどです。
    好発年齢は5~6歳で、ややメスに多いとされます。

  • ピルビン酸キナーゼ欠損症
    ピルビン酸キナーゼ欠損症が原因
    となることもあります。
    「ピルビン酸キナーゼ」とは、赤血球の中にある酵素の一種で、赤血球が正常に機能するためのエネルギー供給に関わっています。
    この酵素が生まれつき欠落していると赤血球に十分なエネルギーを与えることができず、寿命が短縮して貧血状態に陥ってしまいます。
    かかりやすい犬種は下記の通りです。
    バセンジー
    ビーグル
    ウェストハイランドホワイトテリア
    ケアーンテリア
    プードル、
    ダックスフント
    チワワ
    パグ
    アメリカエスキモーなどです。
    また、ウェルシュスプリンガースパニエルとアメリカンコッカースパニエルでみられる「ホスホフルクトキナーゼ欠損症」も同様のメカニズムで貧血を引き起こします。

  • 母親の母乳に含まれる抗体が攻撃
    「新生子溶血」
    または「新生子同種溶血現象」(neonatal isoerythrolysis)とも呼ばれ、生まれたばかりの子犬の赤血球を、母親の母乳に含まれる抗体が攻撃してしまう現象のことです。
    子犬の赤血球表面にある「抗原」と呼ばれる部分を、母犬の母乳に含まれる「抗体」と呼ばれる特殊なたんぱく質が異物とみなすことによって発症します。

  • タマネギ
    酸素を含んだ酸化物質を摂取すると、赤血球中にあるヘモグロビンと呼ばれるタンパク質が変性・凝集し、「ハインツ小体」という物質に変わります。
    こうして生じた溶血現象が「ハインツ小体性溶血」です。
    誤飲誤食しやすい酸化物質の一例としては、タマネギ、アセトアミノフェン(解熱剤や鎮痛剤)、ナフタリン(防虫剤)、プロピレングリコール(不凍液やフードの保湿剤)などがあります。
    特にタマネギに含まれる「アリルプロピルジスルフィド」は毒性が高く、固形、液体、粉末のどの形態でも中毒を起こしえますので要注意です。

犬の溶血性貧血の主な治療法

 犬の溶血性貧血の主な治療法としては、ステロイドやシクロスポリンなどで免疫機能を抑える治療をして、赤血球の破壊を食い止めます。
 重症の場合には、輸血療法や酸素室の利用を行うこともあります。

  • 安静
    貧血が軽快するまで1~2週間、ステロイド剤など内科療法を施し、安静にします。
    特に肺や肝臓(門脈)における血栓塞栓症、酸素不足によって引き起こされる不整脈、肝細胞の壊死、腎臓の尿細管の機能不全、二次感染症による心内膜炎などが注意深くモニターされます。

  • 輸血
    貧血症状が重い場合は輸血が行われることもあります。しかし、輸血用の血液がすぐに見つかるわけではなく、見送られるケースもあります。

  • 脾臓を摘出
    内科的な治療を1ヶ月以上続けているにもかかわらず症状が改善されない場合は、外科的に脾臓を摘出することがあります。これは、赤血球の破壊が主に脾臓や肝臓で行われるためです。

  • 基礎疾患の治療
    溶血を起こした原因が分かっている場合は、その原因を生活の中から取り除きます。基礎疾患がある場合はその病気に対する治療を、体内への異物侵入が原因の場合は異物の除去を行います。また、犬がタマネギを誤食しないよう、十分に気をつけることも重要です。

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