狆(ちん)の特徴は?性格・外見・病気・しつけなど飼い方がここに!

愛玩犬として誕生した気品ある小型犬 狆(ちん)

昔ながらの日本の風情を感じさせる犬種、それが「狆(チン)」です。
繊細な美しさと気品あふれる姿勢、そして深淵にも似た謎めいた瞳には、誰もが魅了されることでしょう。

あなたが狆という犬種について深く知ることで、その魅力がさらに深まり、狆との暮らし方への理解が進むことでしょう。
では、一緒に、狆の起源から特性、食事や手入れに至るまで、その全てを解き明かしていきましょう。

ここでは、狆の誕生した背景や歴史、性格や外見、手入れ方法や散歩の頻度、性質から見るしつけ方の詳細をまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。



狆の歴史

徳川綱吉公にも愛された犬種

狆(チン)は、その起源が古いためにはっきりとした始まりが確定していない数少ない犬種の一つです。
一部の説によると、狆の歴史は中国にさかのぼると言われています。
日本書紀にも登場する古い歴史を持ちますが、祖先犬は詳しくはわかっておらず、「ペキニーズ」とも血統的なつながりがあると考えられています。
一説には、その祖先犬は中国から現在の韓国である新羅を経て732年頃に日本に渡ったとされています。

日本での狆の歴史は、その名前が初めて記録に登場する平安時代までさかのぼります。
古い絵画や文学作品にその存在が描かれており、当時から貴族や上流階級の間で人気のある犬種であったことがうかがえます。
時代とともに、彼らの飼い主は狆の特徴を磨き上げ、今日私たちが知る美しい犬種へと成長させました。

さらに、その独特の外見や気品ある態度から、時には神聖視され、宗教的な儀式にも使用されることもありました。
それほどまでに、日本の文化と深く結びついた存在が狆なのです。

江戸時代には、「生類憐みの令」で知られる第5代将軍である徳川綱吉公によっても飼育されていました。
江戸末期の1867年、黒船の米国人ペリー提督により数頭が持ち帰られ、そのうちの2頭は、犬好きで知られたイギリスのビクトリア女王に献上されたとも伝えられています。

その魅力は日本国内だけに留まらず、近代になってからは欧米でもその価値が認められ、飼育が広まりました。
特にアメリカでは、19世紀から20世紀初頭にかけて非常に人気のある犬種となり、その特異な美しさと知性が評価されました。

欧米でも広く知られるようになり、日本原産犬としては初めての公認犬種となりました。
その魅力的な特徴と深い歴史は、まさに日本の伝統と深く結びついていることを示しています。

狆の特徴

飼い主への愛情が深く、大人しい犬種

小型でありながらも気品ある存在感を放つ狆(チン)は、その独特な美しさと魅力的な性格で、長い間人々を魅了してきました。

  1. サイズと体形
    小型で、体高は20〜27cm、体重は約4kg前後。
    筋肉質で引き締まった体つきが特徴。
    体高と体長がほぼ同じで、スクエアなシルエットをしています。

  2. 顔立ち
    丸く大きな目と短い鼻、大きな耳が特徴的。

  3. コート
    シングルコートで長く、滑らかで光沢があり、直毛またはややウェーブがかった毛が特徴。
    耳や首回り、太もも、尻尾には、長い豊かな飾り毛があり、気品ある雰囲気を醸し出しています。
    カラーはホワイトをベースにした「ブラック&ホワイト」「レッド&ホワイト」が基本です。

  4. 性格
    知性が高く、繊細で、落ち着きがある。
    一方で、頑固さも持ち合わせている。

  5. 訓練性
    物事を理解しやすく、訓練も比較的容易に受け入れる。
    だが一貫性をもった訓練が必要。

  6. 生活環境
    静かなので、マンションやアパートでも問題なく飼育可能。
    しかし、社交的であり一人にするとストレスを感じやすい。

  7. 対人性
    家族に対しては愛情深く、忠誠心が強い。
    初対面の人や他の動物に対しては、少し控えめで警戒心を見せることもあります。

以上のような特徴から、狆は洗練された美しさと、知性と感情豊かさを兼ね備えた犬種と言えるでしょう。
その独特な魅力は、長い歴史を通じて人々を引きつけてやまないのです。狆(ちん)

外見

・どことなく高貴な気品を漂わせている
・耳は前方に垂れている
・目は丸く大きい
・口吻は短い
・被毛は長い
・被毛は白地に黒又は赤茶色の大きな斑があり、顔の斑は体の斑と同じ色で、顔の中心から左右対称にあるのが美しいとされている

性格

・元来人のそばで暮らしてきたため、飼い主の様子をよく見て賢く振る舞う
・神経質な一面を見せることもある
・全体としてはおとなしく、愛嬌のある性格
・攻撃性は少なく人なつこい
・ただ、子供などにしつこくされると距離を取るようになる

体重  4~5kg
体高  約25cm

狆の健康

平均寿命は、12~14年ほど

狆の平均寿命は、12~14年程度です。
しかし、他のすべての犬種と同様に、特定の遺伝的な健康問題に対する傾向があります。
これにより、適切なケアと定期的な獣医検診が重要になります。

  1. 膝蓋骨脱臼
    遺伝的に膝が適切に位置を保てず、突然の痛みや不快感を引き起こす可能性があります。
    膝蓋骨脱臼」は、重症化すると手術が必要になることもあります。

  2. 関節の問題:
    成長時に股関節や肘関節に異常を来す「股関節形成不全」、「肘関節形成不全」や、これに伴う「脱臼、亜脱臼」があります。

  3. 目の問題
    特に涙管の閉塞や「ドライアイ」、「角膜炎」といった疾患が見られます。
    異常な眼症状がある場合は、すぐに獣医に連絡が必要です。

  4. 心臓病
    「僧帽弁疾患(MVD)」という心臓の僧帽弁が正常に機能しなくなり、結果として心臓の拡大や「心不全」を引き起こす可能性がある疾患が見られます。

  5. 外耳炎:
    垂れ耳ですので、「外耳炎」にも注意が必要です。
    こまめに耳掃除を行って、清潔に保つことが大事です。

  6. 定期的な健康診断と適切な運動
    これらは狆の健康を維持するために重要です。適切な体重を維持し、バランスのとれた食事を与えることも大切です。

健康的な狆を育てるためには、定期的な健康診断と適切な運動が必要です。
また、バランスのとれた食事を与え、適切な体重を維持することも大切です。
これらの予防策と組み合わせて、特定の遺伝的疾患のスクリーニングを行うことで、狆の健康状態をよりよく保つことが可能となります。

狆の食事かじょう

年齢や体調に合わせたフードを選びましょう

狆の健康を維持するためには、バランスのとれた食事が非常に重要です。
小型犬種のため、カロリーの高い食事を大量に与えると肥満になりやすく、心臓や関節への負担となるため、適量の食事管理が求められます。

  1. バランスのとれた食事
    狆の健康を維持するためにはバランスのとれた食事が重要です。
    適量の食事管理が求められます。

  2. プレミアムドッグフード
    質の良いプレミアムドッグフードがおすすめ。
    肉類が主成分であり、化学物質や添加物が少ないことを確認しましょう。

  3. 新鮮なフルーツや野菜、リーンミート
    食事のバリエーションを増やすために、新鮮なフルーツや野菜、低脂肪の肉を小分けに与えても良いです。
    ただし、犬にとって有毒な食物を与えないよう注意が必要です。

  4. 食事の回数
    幼犬の場合は1日3回、成犬になったら1日2回に減らします。
    一度に大量に食事を摂ると胃腸の問題を引き起こす可能性があるため、少量ずつ頻繁に与えることがおすすめです。

  5. 水分補給
    常に新鮮な水が飲める状態を保つようにしましょう。

これらのポイントを押さえて、愛犬狆の健康維持と長生きをサポートしましょう。

狆の運動

散歩は1日20~30分程度

あまり運動量は多くありません。
散歩は1日20~30分程度で十分です。
激しい運度は向かないでしょう。

室内での運動だけでも十分という事を聞く事もあるかも知れませんが、それだけではストレスが溜まってしまい、問題行動の原因となってしまいます。
少ない時間でもいいので、気分転換に外へ連れ出してあげて下さい。

運動不足になるとストレスが溜まり、無駄吠えなどの問題行動の原因ともなりますので、毎日多少でもいいので運動を心掛けてあげて下さい。

狆のしつけ

しつけ自体はしやすい?

従順で性格は良いのですが、プライドが高い側面がありますので、しつけが入りにくいことがあるかもしれません。
ただ、穏やかで落ち着いた性格ですので、しつけ自体はしやすいでしょう。

また、繊細で神経質なので、失敗なども決して強く叱らず、根気よく教えていく必要があります。

小さい子犬の頃から様々な人や他の犬と積極的に触れ合わせ、社会性を身に付けさせるようにしましょう。

始めのうちは、犬の気が散らないように集中できる環境を整えて上げましょう。
しつけがある程度できてから、どんな状況で対応できるようにテレビをつけてみるなど少しずつ環境を変えていきましょう。

愛犬がしつけをマスターしていくと、ついつい「できて当然」と思ってしまいがちになります。
そうなるとしつけができても全く褒めなくなってしまうでしょう。
でも、これでは犬たちもしつけを忘れてしまう可能性もありますので、毎回ご褒美を与える必要はありませんが、しつけができた時には、褒めてあげるなどの気持ちを伝え続けることを忘れないようにしてください。

しつけの基本は必ず確認しましょう⇒犬のしつけの基本理論 完全ガイド
「おすわり」や「待て」など行動別のしつけ方法はこちら⇒犬の行動別しつけ方法

狆の手入れ

週に1度のブラッシング

狆の手入れは、その美しい被毛と健康を維持するために重要な部分を占めています。
以下に、狆の手入れに関するいくつかの要点をまとめてみます。

  1. ブラッシング
    被毛はシングルコートですので、抜け毛も少なく、お手入れは簡単です。
    ただ、狆の美しい被毛は定期的なブラッシングを必要とします。
    特に、彼らの長い被毛は絡まりやすいので、週に数回はブラッシングを行いましょう。
    毛玉を防ぎ、皮膚の健康を保つためにも、定期的なブラッシングは重要です。

  2. お風呂
    狆は比較的清潔な犬種であり、頻繁にお風呂に入れる必要はありません。
    しかし、皮膚と被毛を健康に保つためには、数か月に一度はしっかりと洗ってあげましょう。
    また、必要に応じて部分的に洗うことも可能です。

  3. 爪の手入れ
    爪が長くなりすぎると歩行に支障をきたす可能性がありますので、定期的に爪切りを行ってください。

  4. 耳のチェック
    狆の耳は大きく垂れているため、湿度が高くなりやすく、耳の感染症を起こしやすいです。
    定期的に耳をチェックし、必要に応じて掃除してください。

  5. 目のケア
    目やまぶたの周りに分泌物が溜まると感染症の原因となることがあります。
    毎日、柔らかい布で優しく清掃してあげましょう。

  6. 歯のケア
    歯垢や歯石を予防するために、週に数回、犬用の歯ブラシと歯磨き粉で歯を磨くことをおすすめします。

これらの手入れを行うことで、狆の健康と美しい外見を長く保つことができます。
手入れは狆との絆を深める大切な時間でもあります。愛犬の健康と美しさを守るため、定期的な手入れを心掛けてください。

狆の価格

20~25万円が目安

狆はペットショップで見かける事がたまにありますが、その機会はあまり多くありません。
もしも家族に迎え入れるのであれば、ブリーダーさんから直接購入する方法がメインとなります。
その際の値段ですが、20~25万円が目安となります。

ブリーダーさんから直接購入する際は、必ず現地へ行き、飼育環境やブリーダーさんの人柄などを確認し、信頼できるかを見極めたうえで決定するようにしましょう。

まとめ

✔ 熱中症に注意
✔ どんな家庭でも飼う事が出来る

狆(ちん)は、日本古来の小型犬種で、品格と美しさを兼ね備えています。
起源は中国とも日本とも言われており、平安時代から日本の高貴な家庭で飼われてきました。

特徴的なのは、小柄な体躯に比べて大きな眼と頭部、そして垂れ下がった耳、豊かな被毛があります。落ち着いており、忠実で友好的な性格で知られ、非常に人懐っこいです。

健康面では、眼疾患や皮膚疾患、心臓病などに注意が必要です。
また、肥満にもなりやすいため、適切な食事と運動が重要です。
狆はマズルの短い短頭種ですので、暑さに弱く、熱中症には注意が必要です。
あまり運動量の多い犬種ではないので、暑い夏の時期などは比較的気温の低い早朝に散歩を行くか、散歩自体を控える事も必要でしょう。

食事面では、高品質なドッグフードが推奨され、犬の年齢、体重、健康状態に応じた適量が大切です。

手入れについては、長い被毛のケアに時間と労力が必要で、定期的なブラッシング、爪切り、耳掃除、歯磨きが欠かせません。

以上が狆についての簡潔なまとめです。
その美しい外見と穏やかな性格から、家庭犬として非常に人気のある犬種ですが、適切なケアと注意が必要な犬種でもあります。

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