犬の肘関節形成不全~愛犬が歩く際に頭が上下するなど歩き方がおかしかったら~
犬の肘関節形成不全(ひじかんせつけいせいふぜん)とは、CEDとも呼ばれ、前腕部と上腕部を連結する肘関節に異常が発生した状態のことです。
犬の肘関節形成不全は大型から超大型犬種で発症率が高い疾患で、発症した場合は生活の質 (QOL) を著しく低下させます。
肘関節は、上腕部を形成する「上腕骨」と、前腕部を形成する「橈骨」(とうこつ)、「尺骨」(しゃっこつ)という3本の骨がうまくかみ合わさることで構成されています。
しかし、こうした構造のどこか1ヶ所にでも異常があると関節がうまく噛み合わなくなり、痛みや運動障害を引き起こしてしまいます。
肘関節形成不全の好発部位は、肘の内側に集中しています。
具体的には、尺骨の上端にあり、 フックのように上腕骨と連結する「肘頭骨端」(ちゅうとうこったん, 肘突起とも)の癒合不全や、肘の内側に当たる「内側鉤状突起」(ないそくこうじょうとっき)、「内側上顆」(ないそくじょうか)の離断といった病変が主になります。
発症するのは、骨が活発に成長する4ヶ月齢~10ヶ月齢の間で、約半数が両側性です。
ここでは、犬の肘関節形成不全の主な原因はもちろん、症状から対処法、かかりやすい犬種などをまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。
- 犬の肘関節形成不全の主な症状
- 犬の肘関節形成不全の主な原因
- 犬の肘関節形成不全の主な治療法
- 犬の肘関節形成不全の予後
犬の肘関節形成不全の主な症状
肘関節形成不全の代表的な症状として、歩く際に頭が上下するなど歩き方の異常が見られます。
主な症状 |
☆歩き方がおかしい |
☆運動を嫌がる |
☆前脚の形がおかしい |
☆関節に水が溜まる |
☆変形性関節症の併発 |
犬の肘関節形成不全の主な原因
- かかりやすい犬種
肘関節形成不全を好発する犬種がいくつか確認されています。
具体的には下記の通りです。ラブラドールレトリバー
ゴールデンレトリバー
ロットワイラー
ジャーマンシェパード
バーニーズマウンテンドッグ
チャウチャウ
ビアデッドコリー
ニューファンドランドなどです。
症例が大型犬に集中しているのは、成長期における体の成長率が他の犬種に比べてかなり大きいからだと考えられます。 - 成長期の関節へのストレス
骨が成長する4ヶ月齢から10ヶ月齢における過度な機械的ストレスが、肘関節の成長を阻害してしまうことがあります。
具体的には、落下や衝突といった事故、激しすぎる運動、餌の与えすぎによる急激な体重増加です。
犬の肘関節形成不全の主な治療法
肘関節形成不全(CED) の治療には、【内科的治療】と【外科的治療】がありますが、それらの治療と並行して、体重管理や運動制限などの生活環境の整備が必要となります。
- 外科的治療
肘突起の癒合不全に対しては、スクリューによる固定や骨切り術、内側鉤状突起や内側上顆の離断性骨軟骨炎に対しては、関節鏡や関節切開による骨片や軟骨片の除去が行われます。 - 安静
症状が落ち着くまで激しい運動を避け、極力安静を心がけるようにします。
また体重制限をすることも重要です。 - 投薬
痛みが激しく日常生活に支障をきたしているような場合は、非ステロイド性抗炎症薬や鎮痛剤が投与されることもあります。
犬の肘関節形成不全の予後
肘関節形成不全(CED) の予後は、治療を施さないと、症状が出たり消えたりを繰り返し、次第に持続的な症状の発現になっていきます。
投薬による治療は、長期間投与していくと、薬への反応が弱くなっていく傾向があります。
外科的治療では、症状が早期に回復することが多いです。
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