犬の急性糸球体腎炎~愛犬の尿の量が減少、食欲や元気がなくなってきたと感じたら~
犬の急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん)とは、腎臓内部にある糸球体と呼ばれる部分に急性の炎症が発生した状態を言い、急性腎炎とも呼ばれます。
糸球体(しきゅうたい)は、腎臓を構成している機能単位であるネフロン内部に含まれた毛細血管の塊のことです。
まるで糸が丸まったように見えることからこの名がつきました。
糸球体は血液中の老廃物を濾し取るという役割を担っていますが、ここの基底膜に炎症が生じると、濾過機能が悪化し、結果として本来であれば尿と一緒に排出されるはずの老廃物が血中に残ったままになってしまいます。
なお症状が1年以上長引いた状態が「慢性糸球体腎炎」(慢性腎炎)です。
ここでは、犬の急性糸球体腎炎の主な原因はもちろん、症状から対処法、かかりやすい犬種などをまとめていますので、是非ご参考になさってください。
- 犬の急性糸球体腎炎の主な症状
- 犬の急性糸球体腎炎の主な原因
- 犬の急性糸球体腎炎の主な治療法
犬の急性糸球体腎炎の主な症状
犬の急性糸球体腎炎の主な症状としては、初期症状は目立った症状はありません。
しかし、症状が進行するにつれ、尿の量が減少、食欲や元気がなくなる、体重減少、下痢や嘔吐、脱水症状といった症状のなどがみられます。
主な症状 |
☆おしっこが減る |
☆食欲不振 |
☆ぐったりして元気がない |
☆嘔吐 |
☆口からアンモニア臭 |
☆高窒素血症 |
☆尿毒症 |
犬の急性糸球体腎炎の主な原因
犬の急性糸球体腎炎の原因は、不明な部分も多い疾患ですが、免疫系統の異常が関係していると考えられています。
- 感染症
ウイルスや細菌への感染が免疫反応を引き起こし、その結果として糸球体の基底膜が障害されることがあります。
発生パターンは、基底膜に付着した異物を取り除くために免疫細胞が集まってきて暴れるパターンか、異物と争っている免疫細胞が血液に乗って糸球体にたどりつき、そこでとどまってしまうパターンのどちらかです。 - かかりやすい犬種
急性糸球体腎炎には、かかりやすい犬種が存在します。
下記にかかりやすい犬種をまとめました。
バーニーズマウンテンドッグ、
サモエド、
ドーベルマン、
ロットワイラー、
グレーハウンド、
ソフトコーテドウィートンテリア、
ゴールデンレトリバー、
ミニチュアシュナウザー、
ミニチュアダックスフント(ロングヘアー)です。
好発年齢は6~7歳で、性別の差はありません。
犬の急性糸球体腎炎の主な治療法
- 対症療法
まずは症状の軽減を目的とした治療が施されます。
たとえば高窒素血症の改善を目的に、輸液、ホルモン剤投与、腹膜灌流(ふくまくかんりゅう=腹の中に灌流液を入れて1時間位してから回収する)、血液透析(腎臓を模した機械に血液を流す)、窒素化合物を吸着させる薬剤の投与などの治療が施されます。 - 栄養補給
炭水化物や脂肪など、タンパク質以外の栄養素を補給します。 - 基礎疾患の治療
別の疾病によって急性糸球体腎炎が引き起こされている場合は、それらの基礎疾患への治療が合わせて施されます。
免疫系の異常や外因がない状態での発症は確認されていませんので、そのほとんどは感染症が引き金になっていると推測されます。
しかし明確な原因が特定されないまま慢性腎炎(まんせいじんえん)に発展してしまうこともしばしばです。
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