犬の甲状腺機能低下症~愛犬の毛がゴソッと抜けたら~
犬の甲状腺機能低下症(こうじょうせんきのうていかしょう)とは、のどにある甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンの機能が弱まることで発症する病気を言います。
甲状腺ホルモンは、全身の細胞に作用して体の代謝を活発にする働きを持つホルモンで、機能が強くなりすぎると甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)、弱くなりすぎると甲状腺機能低下症が発症します。
前者の場合は体温の上昇、呼吸数の増加、心拍数と血圧の増加、食べているのにやせていく等の症状が見られますが、犬では極めてまれ(1~2%)とされており、圧倒的に低下症の方が多いというのが特徴です。
ここでは、犬の甲状腺機能低下症の主な原因はもちろん、症状から対処法、かかりやすい犬種などをまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。
- 犬の甲状腺機能低下症の主な症状
- 犬の甲状腺機能低下症の主な原因
- 犬の甲状腺機能低下症の主な治療法
- 犬の甲状腺機能低下症の予防
犬の甲状腺機能低下症の主な症状
犬の甲状腺機能低下症の代表的な症状としては、元気がなくなり、顔つきもぼんやりとし感じになります。
その他には、毛が抜けてきたり、肥満や暖かい季節でも寒がるなどのさまざまな症状がみられるます。
主な症状 |
☆胴体の左右対称性脱毛 |
☆動作が鈍くなる |
☆体温が低下し寒さに弱くなる |
☆全身がぶよぶよむくんだようになる |
☆顔のむくみによる悲劇的顔貌 |
☆脱毛部に色素が沈着する |
☆心拍数と血圧の低下 |
☆脂漏症や膿皮症などの皮膚疾患 |
甲状腺機能低下症に代表的な症状としては「悲劇的顔貌」といのものがあります。
これは、体内における水分代謝が低下することでムコ多糖類が顔に蓄積し、皮膚がブヨブヨになった状態のことです。
また、甲状腺ホルモンの低下によって毛の新陳代謝が滞ると、被毛が簡単に抜けるようになってしまいます。
抜け毛が起こりやすいのは、摩擦が生じやすい腋の下、胸元、おなか、首輪の下などで、指で毛を引っ張るとゴソッと抜け落ちてしまうこともあります。
犬の甲状腺機能低下症の主な原因
犬の甲状腺機能低下症の主な原因としは、免疫介在性または遺伝による甲状腺の機能不全などが原因と考えられています。
- 免疫介在性
本来体内に入ってきた異物を排除するための免疫系が、なぜか自分の体の一部である甲状腺を攻撃することで炎症が起こり、機能が低下してしまうことがあります。 - かかりやすい犬種
甲状腺が萎縮してしまうことでホルモンの作用が低下してしまうことがあります。
かかりやすい犬種は下記の通りです。アフガンハウンド、
アイリッシュセッター、
ゴールデンレトリバー、
ラブラドールレトリバー、
ブルドッグ、
コッカースパニエル、
エアデールテリア、
シェットランドシープドッグ、
ボクサー、
チャウチャウ、
プードル、
ダックスフンドなどです。 - クッシング症候群に併発
副腎皮質ホルモンの異常で起こるクッシング症候群に併発する形で発症することがあります。
確率はおよそ50%ともいわれます。
犬の甲状腺機能低下症の主な治療法
犬の甲状腺機能低下症の主な治療としては、不足しているホルモンを補充するために、甲状腺ホルモン薬を投与します。
他の病気が原因の場合は、その病気の治療を行う事によち、改善する事があります。
- 投薬治療
体内で不足している甲状腺ホルモンを、人工の甲状腺ホルモン製剤(レポチロキシンなど)を投与することで補います。
ただし量を間違えると逆に甲状腺機能亢進症(代謝が上がりすぎて心拍、脈拍、血圧、体温が過剰に上がってしまう)の症状が現れますので要注意です。
投薬後、1~2週間で表情や活動性が改善し、1~4ヶ月で皮膚症状が緩やかに消えていきます。
ただし、投薬は一生続けなければなりません。 - 基礎疾患の治療
クッシング症候群など、別の疾病によって甲状腺機能低下症が引き起こされている場合は、それらの基礎疾患への治療が施されます。
犬の甲状腺機能低下症の予防
犬の甲状腺機能低下症は、早めに治療する事が大事です。
動物病院での定期的な健康診断は効果があると思います。
また、愛犬とのスキンシップも行いながら、犬の行動や皮膚の状態などのチェックを行ないましょう。
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