犬の尿毒症(にょうどくしょう)

犬の尿毒症~もしも愛犬の口からアンモニア臭がしたら~

犬の尿毒症(にょうどくしょう)とは、腎臓の機能が著しく低下することで尿素を含む老廃物や毒性物質の排出がうまくいかず、血中の老廃物濃度が高まってしまった状態を言います。
腎臓内では糸球体(しきゅうたい)と呼ばれる網目状の血管網に血液を通し、血圧によって老廃物をろ過します。
しかし腎臓を通る血液の量が減少したり、血圧が弱まると、糸球体でのろ過能力が悪化したり、全くの機能不全に陥ることがあります
その結果、本来尿として体外に排出されるはずの老廃物が徐々に血中に蓄積していき、血液の組成を大きく変えてしまうというわけです。
たまった老廃物が窒素を含む場合を高窒素血症(こうちっそけっしょう)といい、さらに悪化した形が尿毒症です

ここでは、犬の尿毒症(にょうどくしょう)の主な原因はもちろん、症状から対処法などをまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。


  • 犬の尿毒症の主な症状
  • 犬の尿毒症の主な原因
  • 犬の尿毒症の主な治療法
  • 犬の尿毒症の予防

犬の尿毒症の主な症状

犬の尿毒症の代表的な症状として、口からアンモニア臭がすることがあります。
重症化すると、毒性物質が脳などの中枢神経系に影響し、けいれんや意識障害を起こしたりすることもあります。

主な症状
☆口からアンモニア臭がする
☆食欲不振
☆けいれん
☆ぐったりして元気がない
☆意識障害
☆貧血(ふらふらして歯茎が蒼白)
心不全
代謝性アシドーシス
副甲状腺機能亢進症

犬の尿毒症の主な原因

犬の尿毒症の原因は、何らかの理由で腎臓の機能がほとんど働かなくなったことにより起こります。

  • 腎臓の疾患
    炎症や腫瘍など、腎臓になんらかの異常があると、血液から老廃物を除去する機能が低下し、尿毒症になることがあります。
    具体的には急性腎不全慢性腎不全急性糸球体腎炎などに伴って発症します。

  • 血圧の低下
    心不全などで血圧が低下したり、腎臓に回ってくる血液量が減る
    と、体内老廃物の除去が間に合わず、結果として血中に老廃物が残った状態が生じてしまいます。

  • 尿が出せない
    何らかの理由により、本来体外に出すべき尿が出せない状態が長く続くと、血中の老廃物濃度が高まってしまうことがあります。

犬の尿毒症の主な治療法

犬の尿毒症の治療は、体液量の調節や電解質のバランスの調整などの腎機能への治療と、けいれんや口内炎による口の痛みを抑えるような症状に対処した治療が主になります。

  • 投薬治療
    症状の軽減を目的とした治療
    が施されます。
    たとえば血液量を増加させることを目的とした輸液や輸血、心臓の機能を正常化することを目的とした薬剤の投与などです。

  • 基礎疾患の治療
    別の疾病によって尿毒症が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。
    たとえば急性腎不全慢性腎不全急性糸球体腎炎などが原因となっている場合は、それらの疾患治療が優先されます。

  • 人工透析
    機能不全に陥った腎臓を補佐するため、人工的に血液を濾しとって老廃物を除去することを人工透析(じんこうとうせき)といいます。
    おなかのなかにカテーテルを取り付ける腹膜透析(ふくまくとうせき)や、体内の血液をいったん外へ引き出し、腎臓の代わりとなる機械(ダイアライザー)の中を循環させる血液透析(けつえきとうせき)といった方法があります。

犬の尿毒症の予防

犬の尿毒症の予防は、重度の腎不全で起こるので、腎不全のケアを心掛ける事が大切になります。
犬にとって毒性のあるものを誤食に気を付け、腎不全のきっかけとなりえるレプトスピラ症のワクチン接種を行いましょう。

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