チベタンテリアの特徴は?性格・外見・病気・しつけなど飼い方がここに!

山岳地帯の小さなヒーロー チベタンテリア

チベタンテリア――この犬種名を聞くと、恐らく多くの人がテリア犬を思い浮かべるでしょう。
しかし、驚くべきことに、チベタンテリアは実はテリア犬ではありません。
その名前は、西洋の犬種分類上の偶然から来ているだけです。
それでは、この不思議な名前を持つチベタンテリアとは一体何者なのでしょうか?
また、どのような魅力が隠されているのでしょうか?

この愛すべき小型犬は、その原産地であるチベットの高地で何世紀にもわたり飼われてきました。
そこでは、一見小さな体格ですが、その独特の被毛は彼らを厳しい寒さから守り、均整の取れた体格と強靭な運動能力は、困難な地形を難なく移動することを可能にします。

彼らの目には穏やかさと知性が宿り、その愛らしい顔つきとふわふわの被毛は、人々を魅了します。
それでは、この魅力的なチベタンテリアの世界を、一緒に深く探っていきましょう。

チベタンテリアの誕生した背景や歴史、性格や外見、手入れ方法や散歩の頻度、性質から見るしつけ方の詳細をまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。



チベタンテリアの歴史

紀元前から存在していた幸福を招く犬種

チベタンテリアの物語は、遠く東方の国、チベットの荒れた高地から始まります。
何千年も前にさかのぼる起源を持つこの独特で魅力的な犬種は、長い間チベットの一部として存在してきました。

もともと、チベタンテリアはチベットの僧院や村々を守る目的で飼われていました。
ラマ教の寺院では神の使いとして寵愛を受け、「チベタン・テリアが逃げてしまうと幸せも逃げてしまう」といわれて、厳重に管理されていました。
その中型サイズと力強さは、侵入者を遠ざけ、村や僧院を警護するのに適していました。
独特の鳴き声は、侵入者が近づくと警告するための信号として機能していました。

また、遊牧民には主に家畜の羊やヤクを移動させる牧畜犬として使われていましたが、番犬、猟犬としても活躍していました。

チベタンテリアは、チベットの厳しい高地環境にうまく適応していました。
厚くてふわふわの被毛は寒さから保護し、足の間にも毛が生えているので雪や氷から足を保護します。
均整の取れた体と強靭な運動能力は、困難な地形を難なく移動することを可能にしました。

寺院や遊牧民の間で大切に飼育されてきましたが、かつては中国政府の命令により多くが殺され、絶滅の危機に陥いりました。

チベタンテリアが西洋に広まったのは、20世紀初頭になってからでした。
これは主に、イギリス人の医師で探検家のDr. Agnes R. H. Greigのおかげでした。
彼女は1930年代にチベットからイギリスへとチベタンテリアを持ち帰りました。
その後、この犬種はすぐに人々の間で人気を博し、次第に世界中に広まっていきました。

そして今、チベタンテリアはその美しさと賢さ、そして特にその忠実で親しむことができる性格で、多くの家庭の一員となっています。何世紀にもわたる歴史を通じて、その本質は変わらず、まさにチベットの心と魂をその小さな体内に宿しています。

チベタンテリアの特徴

長く豊かな被毛で覆われた温和で陽気な犬種

チベタンテリアはその名前に反して実はテリアではなく、その独自の特性と魅力に溢れた存在です。
この愛すべき犬種の特徴を深く掘り下げていきましょう。

  1. 外観:
    チベタンテリアの体型は、体高と体長がほぼ同じ正方形のスクエア型で、頑丈な体をしており、顔全体を覆うほどの豊富な被毛を持っています。
    耳は垂れ耳、尾は巻き尾で、耳と尾には飾り毛があります。

  2. ふわふわの被毛:
    チベタンテリアの最も顕著な特徴の一つは、その長くてふわふわの被毛です。
    その厚いコートは彼らをチベットの厳しい寒さから保護し、また、その豊かな毛並みは彼らを一層魅力的に見せます。
    毛色は黒、白、グレー、ゴールド、クリームなど、さまざまな色合いで見られます。

  3. 適応力の高さ:
    チベタンテリアは極めて適応力が高く、さまざまな環境やライフスタイルに対応できます。
    また、家族の一員として、または一人で時間を過ごすことも得意とします。
    その独立性と一方で人懐っこさは、多様な家庭環境に適応する能力を示しています。

  4. 活発で遊び好き:
    チベタンテリアは活発で遊び好きな犬種です。
    彼らは散歩や遊びを通じてエネルギーを発散することを愛し、体を動かすことが大好きです。
    また、彼らは物を追いかけるのが大好きで、ボール遊びやフリスビー遊びがおすすめです。

  5. 忠実で家族思い: 
    チベタンテリアはその家族に対して深い愛情と忠誠心を持っています。
    彼らは人間の感情に敏感で、家族が困っているときや悲しんでいるときには必ずそばにいて支えてくれます。

  6. 中型サイズ:
    チベタンテリアは中型犬種で、成犬の体重は通常、8-15キロ、体高は38-41cm程度です。
    このサイズは、都市環境や郊外、田舎など、どのような住環境にも適応しやすいです。

これらすべての特徴が合わさったチベタンテリアは、その魅力的な外見と忠実な性格、そして高い適応力を持って、多くの人々に愛される存在となっています。
家庭に穏やかさと活力をもたらし、その存在自体が癒しとなることでしょう。

チベタンテリア
外見

・手足やマズルは比較的長め
・耳は垂れ耳で飾り毛がある
・尾は巻き尾で飾り毛がある
・被毛はストレート、または少しウエーブがかったシャギーコート(むく毛)のオーバーコートで、アンダーコートは柔らかい毛質
・毛色はチョコレート以外のブラック,ホワイト,ゴールド,ブルー,スチールなどの単色やパーティカラーなど

性格

・温和で陽気
・好奇心が強い
・警戒心も強くやや頑固な面も
・飼い主に忠実
・子供にもなつきやすいので家庭犬として適している
・見知らぬ人に対しては、用心深いので番犬としても向いている

体重  8〜13.5kg
体高  36〜41cm

チベタンテリアの健康

「膝蓋骨脱臼」や「股関節形成不全」に注意

 

チベタンテリアの平均寿命は、13~16年ほどで、比較的健康的な犬種ではありますが、それでもいくつかの健康上の留意点を知っておくことは、愛犬が健康で快適な生活を送るために重要です。
以下に、この犬種に特に見られる健康上の問題をいくつか挙げてみましょう。

  1. 眼の問題:
    チベタンテリアは一部で進行性網膜変性症(PRA)という遺伝的な眼の病気に影響を受けることがあります。
    これは徐々に視力を失う病気で、最終的には完全な失明につながることもあります。
    遺伝的な眼科の検査を定期的に行うことが推奨されています。
    その他には、「白内障」,「緑内障」などの眼病にも注意して下さい。

  2. 股関節形成不全:
    股関節形成不全」は、大型犬種や中型犬種にしばしば見られる骨格の問題です。
    これは股関節が正しく形成されず、痛みや運動障害を引き起こす可能性があります。
    適切な栄養と適度な運動が予防に役立ちますが、遺伝的要素も存在します。

  3. 耳の問題:
    チベタンテリアは長い耳毛と折れた耳を持つため、耳感染症を起こしやすいです。
    垂れ耳ですので、「外耳炎」にも気を付けましょう。
    定期的な耳掃除と乾燥を保つことでこれを予防することができます。

  4. アレルギー:
    チベタンテリアは食物や環境のアレルギーに影響を受けることがあります。
    アレルギーの兆候には皮膚の炎症、かゆみ、消化器系の問題などがあります。
    アレルギーが疑われる場合は、獣医師に相談することが重要です。

  5. 肥満:
    チベタンテリアは食べ物に対して大きな愛情を持っているため、過食により肥満になる可能性があります。
    適切な食事と定期的な運動により、適切な体重を維持することが重要です。

これらの問題は、適切なケアと予防措置によって管理または最小限に抑えることが可能です。
定期的な健康診断と適切な食事、適度な運動が、チベタンテリアが健康で快適な生活を送るための鍵となります。

また、チベタンテリアをブリーダーから入手する場合は、遺伝的な問題について十分に理解し、健康な親犬から子犬が生まれるようにブリーダーに確認を求めることが重要です。

愛犬の健康は、我々が彼らに与える愛情とケアの甲斐があることを最もはっきりと示すものです。
だからこそ、チベタンテリアの健康管理に関するこれらの知識は、あなたのパートナーとの生活をより充実させ、長く健康に過ごすための一助となるでしょう。

チベタンテリアの食事

年齢や体調に合わせたフードを選びましょう

チベタンテリアは、その健康と活力を保つために、適切な食事が必要です。
この犬種には特に留意すべき食事上の注意点がいくつかあります。

  1. 適切な量:
    チベタンテリアは食べ物が大好きで、与えられる限り食べ続ける傾向があります。
    しかし、過食は肥満を引き起こし、関節への負担や心臓病、糖尿病などの健康問題を引き起こす可能性があります。
    適切な食事量を与え、規則正しい食事スケジュールを守ることが重要です。

  2. 高品質なフード:
    全ての犬がそうであるように、チベタンテリアも高品質なドッグフードが必要です。
    これには、適切なタンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルが含まれているべきです。
    低品質な食事は消化問題やアレルギー反応を引き起こすことがあります。

  3. 年齢に適した食事:
    子犬、成犬、シニア犬はそれぞれ異なる栄養ニーズがあります。
    子犬は成長と発達に必要な栄養素を、成犬は活力と健康を維持する栄養素を、そしてシニア犬は老化による変化に対応する栄養素を必要とします。

  4. アレルギーへの注意:
    チベタンテリアは食物アレルギーや感受性に問題を抱えることがあります。
    これは消化器系の問題や皮膚の炎症を引き起こす可能性があります。
    アレルギーが疑われる場合、獣医師と相談して適切な食事プランを立てることが重要です。

  5. 水分補給:
    適切な水分補給も重要です。常に新鮮な水が利用可能であることを確認しましょう。

適切な食事管理は、チベタンテリアの健康と長寿に大きく貢献します。
彼らの食事を注意深く管理し、必要な栄養素を摂取することで、活力を持続させ、病気のリスクを最小限に抑えることができます。

また、チベタンテリアは食事時間を楽しみにしていますので、食事は愛犬との絆を深める絶好の機会でもあります。
優れた品質の食事を提供することは、愛犬に対する愛情の一つの形であり、チベタンテリアが長く健康的な生活を送るための重要なステップです。

チベタンテリアの食事管理について知っておくべき点はこれだけではありませんが、これらの留意点は基本的なガイドラインとなります。
食事は愛犬の健康管理において最も重要な要素の一つであり、この責任を果たすことで、愛犬との長い時間を最大限に楽しむことができるでしょう。

チベタンテリアの運動

毎日20~30分程度の散歩を2回

チベタンテリアは活発な犬種ですので、運動不足にならないように注意して下さい。
毎日20~30分程度の散歩を出来れば、1日2回させてあげられれば良いでしょう。
また、たまには思いっきり遊ばせて、ストレスを発散させてあげて下さい。

運動不足になるとストレスが溜まり、無駄吠えなどの問題行動の原因ともなりますので、毎日しっかりと運動を心掛けてあげて下さい。

チベタンテリアのしつけ

しつけはやや入りにくい?

状況判断力に優れていますが、頑固さがあり、しつけはやや入りにくい面があります。
感受性が強い犬種なので、厳しく叱りすぎると落ち込んだり不安になりすぎたりしてしまいます。
気長に根気よく、笑顔を絶やさずにしつけに取り組んでください。

吠え癖がある傾向がありますので、「無駄吠え防止のしつけ」を行うと良いでしょう。

また、小さい子犬の頃から様々な人や他の犬と積極的に触れ合わせ、社会性を身に付けさせるようにしましょう。

始めのうちは、犬の気が散らないように集中できる環境を整えて上げましょう。
しつけがある程度できてから、どんな状況で対応できるようにテレビをつけてみるなど少しずつ環境を変えていきましょう。

愛犬がしつけをマスターしていくと、ついつい「できて当然」と思ってしまいがちになります。
そうなるとしつけができても全く褒めなくなってしまうでしょう。
でも、これでは犬たちもしつけを忘れてしまう可能性もありますので、毎回ご褒美を与える必要はありませんが、しつけができた時には、褒めてあげるなどの気持ちを伝え続けることを忘れないようにしてください。

しつけの基本は必ず確認しましょう⇒犬のしつけの基本理論 完全ガイド
「おすわり」や「待て」など行動別のしつけ方法はこちら⇒犬の行動別しつけ方法

チベタンテリアの手入れ

毎日のブラッシングかコーミングが必要

長めの被毛は伸び続けますので、毎日のブラッシングかコーミングが必要です。

また定期的なトリミングが必要になります。

特に目の周りの毛は「結膜炎」などの原因になりますので、眼球に触れないようカットしてあげてください。

シャンプーは月1回を目安に行って下さい。

チベタンテリアの価格

20万円前後が目安

チベタンテリアは、ペットショップで見かける事はまずありません。
もしも家族に迎え入れるのであれば、ブリーダーさんから直接購入する方法がメインとなります。
その際の値段ですが、20万円前後が目安となります。

ブリーダーさんから直接購入する際は、必ず現地へ行き、飼育環境やブリーダーさんの人柄などを確認し、信頼できるかを見極めたうえで決定するようにしましょう。

まとめ

✔ 名前にテリアと付いているが、テリア種ではない⁉
✔ 吠え癖が気になる所

チベタンテリアは、スクエア型の体型がテリア種に似ている事から、テリアとつけられてしまっただけで、実はテリア種ではありません。
ですので、テリア特有の興奮しやすい性格は持ち合わせていないので、飼いやすい性格です。

ただ、警戒心が強く、見知らぬ人が家に来たりすると、吠えたてる事もあります。
番犬としては、持ってこいの性質ですが、吠えるのが気になる方は、「無駄吠え防止のしつけ」を行うと良いでしょう。

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