犬の筋ジストロフィー~愛犬の発育が遅かったり、歩き方がおかしかったら~
犬の筋ジストロフィーとは、細胞骨格を形成するタンパク質が不足しているか全く欠落しているため、筋肉が正常に働かなくなる病気です。
多くの種類がありますが、犬では「ベッカー型筋ジストロフィー」(日本スピッツなど)、「常染色体劣性型筋ジストロフィー」(ラブラドールレトリバーなど)などがあり、中でもX連鎖型筋ジストロフィーが最も有名です。
「X連鎖型」とは、性染色体である「X」に関連して発症することを意味しています。
多くの場合、生後10週~12週ごろに発症し、運動能力が著しく劣るため食事や授乳がままならず、結果的に栄養失調や肺炎、心臓の機能不全などで死んでしまいます。
遺伝的な進行性疾患であり、有効な治療法が無いというのが現状です。
ここでは、犬の筋ジストロフィーの主な原因はもちろん、症状から対処法、かかりやすい犬種などをまとめていますので、是非ご参考になさってください。
- 犬の筋ジストロフィーの主な症状
- 犬の筋ジストロフィーの主な原因
- 犬の筋ジストロフィーの主な治療法
犬の筋ジストロフィーの主な症状
筋ジストロフィーの症状は、生後数か月から見られ始め、一般的に発育不良もみられます。
重症化すると、食事を飲み込めなくなるなどの症状が出てきます。
主な症状 |
☆進行性の筋肉の弱化 |
☆成長が遅い |
☆食事に時間がかかる |
☆よだれが異常に多い |
☆あまり動かない |
☆筋肉が固い |
☆筋肉が震える |
☆歩き方がおかしい(うさぎ跳びのよう) |
☆足や背中がたわんでいる |
☆体側や側頭部の筋の萎縮 |
☆舌の肥大 |
犬の筋ジストロフィーの主な原因
- オス
ほとんどがオスに発症します。
メスで発症した場合は、染色体の突然変異がかかわっています。 - ゴールデンレトリバー
ほとんどがゴールデンレトリバーであり、この疾患がゴールデンレトリバー筋ジストロフィー(Golden Retriever muscular dystrophy, GRMD)という異名を持つ由来となっています。
他の犬種ではラブラドールレトリバー、サモエド、ミニチュアシュナウザー、アラスカンマラミュート、ロットワイラー、ウェルシュコーギーペンブローク、ブリタニーなどで若干の報告例があります。
犬の筋ジストロフィーの主な治療法
- 生活の質(QOL)の維持
遺伝的、かつ進行性の疾患であるため、病気を根治する方法は今のところありません。
多くは食道、呼吸筋、心筋の機能不全で生後1年以内に命を落とします。
ですから生きている間の生活の質(QOL)をできるだけ高めることが飼い主のすべきこととなります。
またブリーディングする際、種牡・台牝からはずし、遺伝子プールから原因となる遺伝子を根絶します - 対症療法
疾患の原因を取り除くよりも、症状の軽減を目的とした治療が施されます。
具体的には肺炎を起こさないような管理が重要です。
特に食べ物を飲み込む筋肉が弱いため、食道ではなく気管に入り込み、そのまま肺に炎症を起こしてしまうという誤嚥性肺炎に気をつけます。
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