犬の喉頭麻痺~呼吸がうまく出来ず、「ぜーぜー」と苦しそうな呼吸をしていたら~
犬の喉頭麻痺(こうとうまひ)とは、息を吸うときに自動的に開くはずの声門裂が神経のトラブルから思うように開かず、十分な酸素を取り込めなくなった状態のことです。
犬が呼吸する際は、空気の通り道となる「声門裂」(せいもんれつ)と呼ばれる門を、披裂軟骨(ひれつなんこつ)とそれに付着する筋肉、およびその筋肉をコントロールしている反回喉頭神経(はんかいこうとうしんけい)でタイミングよく開閉しています。
しかし喉頭麻痺においては、筋肉か神経のどちらかが障害され、通常であれば息を吸うときに開くはずの声門裂を広げることができず、十分に空気を吸い込むことができません。
喉頭麻痺には先天性と後天性があります。
先天性の喉頭麻痺では、1歳未満で発症し、症状が進行していく疾患です。
予後はとても厳しく、2年以内で亡くなることが多いといわれています。
後天性の喉頭麻痺は、「特発性」と言って検査ではっきりとした原因が分からない場合がほとんどです。
中年齢から高年齢の大型犬で多くみられます。
ここでは、犬の喉頭麻痺の主な原因はもちろん、症状から対処法、かかりやすい犬種などをまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。
- 犬の喉頭麻痺の主な症状
- 犬の喉頭麻痺の主な原因
- 犬の喉頭麻痺の主な治療法
犬の喉頭麻痺の主な症状
犬の喉頭麻痺の主な症状としては、呼吸がうまく出来ず、「ぜーぜー」と苦しそうな呼吸音を出します。
呼吸がうまくできないことによって、熱中症になってしまうことが多いです。
主な症状 |
☆呼吸困難 |
☆喘鳴(ぜーぜーする) |
☆運動を嫌がる |
☆鳴き声が変わる |
☆チアノーゼ |
☆酸欠による失神 |
犬の喉頭麻痺の主な原因
喉頭麻痺には先天性と後天性があります。
後天性の喉頭麻痺は、「特発性」と言って検査ではっきりとした原因が分からない場合がほとんどです。
- のどの損傷、炎症、神経周辺の腫瘍など
披裂軟骨とそれに付着している筋肉を動かしている反回喉頭神経に障害があると喉頭麻痺が発生します。
具体的にはのどの損傷、炎症、神経周辺の腫瘍などです。
また反回神経は胸の上部に発生した病変によっても影響を受けます。
その他「多発性ニューロパチー」という原因不明の神経炎に続発するパターンもあります。 - 筋肉群に障害
披裂軟骨に付着している小さな筋肉群に障害があると喉頭麻痺が発生します。
具体的には重症筋無力症などです。 - かかりやすい犬種
喉頭麻痺を発症しやすい犬種がいくつか確認されています。
具体的には下記にまとめています。・ブービエデフランダース
・シベリアンハスキー
・ブルテリア
・ダルメシアン
・ロットワイラー
・グレートピレニーズ
・ゴールデンレトリバー
・ラブラドールレトリバーなどです。その多くは生後1年以内に発症します。
犬の喉頭麻痺の主な治療法
喉頭麻痺の主な治療法は、呼吸が十分にできておらず、体が高温になっている場合は、ますは体を冷まし、酸素吸入します。
呼吸を落ち着かせるために、必要であれば鎮静剤やステロイド剤を投与します。
愛犬の状態によっては、気管切開を行い、気道を確保する必要があります。
肺炎などの疾患がある場合は、その治療も同時に行われます。
一般的には、披裂軟骨側方化術など外科手術が行われます。
- 救命治療
著しい呼吸困難を呈している場合は、取り急ぎ救命治療が施されます。
具体的には緊急気管切開や酸素吸入などです。 - 外科手術
この病気は進行性であり、放置して治るものではないため、根治を目指しての外科手術が行われます。
手術には披裂軟骨外転術(片側・両側)、披裂軟骨部分切除術、喉頭形成術などがあり、2016年に行われた調査では、原因がよくわからない特発性喉頭麻痺に対する手術的な介入は、犬の生活の質および術後の生存期間を延長するとの結果が出ています。
手術に際して注意すべきは、のどを開きすぎて誤嚥性の肺炎が起こらないようにすることです。
なお、多発性ニューロパチーを基礎疾患として持っている場合の予後はあまりよくありません。 - 運動制限
呼吸する際の負担を減らすため、激しい運動や暑い環境中での散歩などをなるべく控えるようにします。
また首輪はのどへの負担を増やしてしまうため、ハーネスに切り替えるようにします。
当然ですが、しつけと称してリードをぐいっと引っ張る手技(ジャーク / ラピッドチェック)を行うのはNGです。
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