犬のハエウジ症~愛犬が不眠になったり、鳴き続けていたら~
犬のハエウジ症とは、傷口にハエの幼虫である「ウジ」が寄生し、皮膚を食い破って皮下に侵入した状態を言います。
犬のハエウジ症は、主に夏に蛆の偶発的に寄生されることが多いです 。
また、近年はペットの高齢化も進み、特に立つことが困難な寝たきりの高齢犬に寄生されるケースが増えてきています。
ハエには非常にたくさんの種類がいますが、ハエウジ症を引き起こすのは主として「ヒツジバエ科」に属する種です。
具体的には「ヒトヒフバエ」、「ウサギヒフバエ」、「ウシバエ」、「ウマバエ」、「イエバエ」、「ニクバエ」などがいます。
こうした種の中には、植物や腐敗物を好むものがいる一方、哺乳動物の皮膚に穴を掘って寄生し、そこで栄養分をかすめ取りながら生きるものもいます。
このときに発生するのが「ハエウジ症」です。以下は、日本国内における動物寄生性を持ったハエの代表格です。
- ウシバエ
ウシバエやキスジウシバエが主にウシに寄生し、「ウシバエ幼虫症」を引き起こします。
症状は皮膚の疼痛、脊髄への侵入、体内で死んだ幼虫に対するアレルギー反応などです。
家畜伝染病予防法において届出伝染病に指定されています。 - イエバエ
クロイエバエなどはウシやウマといった大型草食動物の体表に取りつき、傷口を見つけてそこから滲出体液を摂取します。 - ニクバエ
センチニクバエ(クロニクバエ・ナミニクバエなど)は、動物の死体や傷口に卵を産み付け、そこで孵化した幼虫は皮膚の中にもぐりこみ、栄養をかすめ取りながら5~10日間成長を続けます。
ここでは、犬のハエウジ症の主な原因はもちろん、症状から対処法などをまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。
- 犬のハエウジ症の主な症状
- 犬のハエウジ症の主な原因
- 犬のハエウジ症の主な治療法
犬のハエウジ症の主な症状
犬のハエウジ症の症状は、激しい痛みや不快感を生じます。
不眠になったり、鳴き続けたりすることもあります。
主な症状 |
☆体表の病変(腫瘍・潰瘍・化膿など) |
☆不眠 |
☆夜半になっても鳴き続ける |
☆体臭の悪化 |
犬のハエウジ症の主な原因
- 皮膚の傷
皮膚の表面に傷口があるとハエが卵を産み付けたり、幼虫が這い登ってきたりしてハエウジ症を発症します。
特に肛門、外陰部といった角質層の薄い部分が要注意です。
また老齢で動けなくなった犬は、長時間同じ姿勢で寝たきりになって床ずれを起こしてしまうことがあります。
こうした傷口を放置することも発症につながります。 - 外飼い
外飼いの犬は近年は減少傾向にありますが、寄生されても飼主の発見が遅れることが多いため多数の蛆寄生を認める場合が多いです。 - 生活環境の衛生状態が悪い
単に糞尿の始末をきちんとしなかったり、部屋が不潔であったりの他にも、育児放棄を受けていたり、ブラッシングをしてあげていなかったりなども含めて原因になりえます。 - 暖かい季節に注意
ハエが活動する暖かい季節に、常時戸外で飼育されているような犬では感染率が高まります。
犬のハエウジ症の主な治療法
犬のハエウジ症の治療は、まずはウジをできるだけ取り除くために、ウジが寄生している部位を含めて広範囲の毛を剃る必要があります。
- 表面にいる幼虫の除去
傷口に幼虫がわいているだけの場合は、ピンセットで幼虫を一匹ずつ除去し、傷口をきれいに消毒します。 - 皮膚内部にいる幼虫の除去
幼虫が皮膚を食い破って内部に潜伏しているような場合は、何とかして傷口から頭を出すよう仕向けます。
膨らんだ場所を外から押して刺激する方法と、傷口を封鎖して酸欠状態にする方法が主流です。
内部で幼虫が死んでしまうと激しい炎症反応を引き起こすことがありますので、どうしても取り出すことができない場合は局所麻酔で患部を切開します。 - 投薬治療
幼虫が皮膚の中を移動し、もはやどこにいるのかわからないような場合は、イベルメクチンを含んだ薬剤を投与することで幼虫を殺してしまいます。
ただしイベルメクチンに関しては、フィラリアを保有している犬には使えません。
また遺伝的に重い副作用を引き起こす事がある犬種がいます。
具体的には、下記の通りです。・コリー
・シェットランドシープドッグ
・オールドイングリッシュシープドッグ
・オーストラリアンシェパード上記の犬種は、投薬時は注意が必要です。
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