犬の骨肉腫(こつにくしゅ)

犬の骨肉腫(こつにくしゅ) ~犬の関節に瘤(こぶ)があったら~

骨肉腫は犬の原発性骨腫瘍として最も多く、骨に含まれる組織がガン化した状態のことです。
ガンの元となる組織としては、骨の中空部分である「骨髄」や骨の外側を形成する「皮質骨」、および骨を外側から包み込んでいる「骨膜」などが挙げられます。
犬の骨から腫瘍が発生した場合、それが悪性のガンである確率は85%にまで達するといいます。
大型~超大型犬に特に多く、好発年齢は2歳と7歳~9歳の二相性です
オスの方がメスよりも2割ほど多く発症するというデータもあります。
好発部位は、上腕の骨、前腕骨の一部(橈骨)、太ももの骨、すねの骨、頭蓋骨、下顎骨、肋骨、椎骨(背骨)などです。

関節内への転移はほとんどない代わりに、肺への転移が頻繁に見られるというのが大きな特徴です。


  • 犬の骨肉腫の主な症状
  • 犬の骨肉腫にかかりやすい犬種
  • 犬の骨肉腫の主な原因
  • 犬の骨肉腫の主な治療法
  • 犬の骨肉腫の予後
  • 最後に

犬の骨肉腫の主な症状

主な症状
☆足の硬い腫れ
☆足を引きずるように歩く
☆歩くのを嫌がる
☆日に日に運動量が減る

骨肉腫は主に四肢の骨に発生します。
四肢の骨肉腫の場合、大抵の場合、跛行(はこう)や局所の腫れがある事で気づきます。
骨肉腫は、非常に強い痛みが伴い、時には骨折を引き起こします。

犬の骨肉腫にかかりやすい犬種

骨肉腫が発生しやすい犬種は下のように報告されています。

ゴールデン・レトリバー
ジャーマン・シェパード
ロットワイラー
アイリッシュ・セッター
・ドーバルマン・ピンシャー
グレート・デーン
セント・バーナード など

犬の骨肉腫の主な原因

犬の骨肉腫の原因は具体的にはっきりとは分かっていません。

  • 体の大きさによる違い
    骨肉腫は、犬の大きさ(体高)が危険因子として重要であるといわれています。
    10kg以上の犬種における骨腫瘍(良性+悪性)の発症率は、10kg未満の犬の150倍だといいますので、正確なメカニズムは分からないながらも、体の大きさが関わっていると思われます。
    また、体重が15kg未満の小型犬においては、骨肉腫の発症パターンが大型犬(25kg以上)のものとは若干違うようです。
    例えば、大型犬の場合はそのほとんどが四肢の骨に発症しますが、小型犬の場合は60%以上が体軸骨に発症するといいます。
    また大型犬の場合は、骨に出来た腫瘍の内80%以上が悪性ですが、小型犬の悪性率は50%以下です。
    こうした違いから、小型犬と大型犬では、悪性腫瘍の発生メカニズムが違うのではないかと考えている研究者もいます。

  • 骨折による骨肉腫
    骨肉腫のうち、約5%は骨折が原因ではないかと疑われています。
    具体的には、骨折部位に用いられた金属プレートの腐食と、そこから溶け出した金属イオンが怪しいとされています。
    金属プレートが内固定でも外固定でも発症し、骨折から肉腫発生までの期間は6.3年です。

犬の骨肉腫の主な治療法

  • 手術による治療
    ガンが小さく、犬に体力がある場合は、外科手術によってがん細胞を除去
    してしまいます。
    具体的には、前肢を肩関節から切断する「肩甲帯離断術」や、後肢を股関節から切断する「股関節離断術」などです。
    しかし手術後の予後はそれほどよくはなく、余命は半年あるかどうかで、化学療法を併用した場合でも10ヶ月程度です。
    ただし下顎の骨肉腫に関しては侵襲性が弱いため、切除した場合、1年以上生きることも少なくありません。

  • 化学治療
    ガンが進行しており、犬に体力がない場合は手術療法が見送られ、抗がん剤治療などが施されます。
    また手術療法後の補助療法としても行われます。

  • 放射線治療
    局所的な幹部の痛みの緩和には非常に有効ではありますが、転移を抑制することは出来ません。

犬の骨肉腫の予後

骨肉腫の予後は一般的に悪く、転移スピードが早いです。骨肉腫は転移率が高く、治療後の死因のほとんどは転移によるものといわれています。
骨肉腫は、外科的切除や補助的治療を行ったとしても、転移などを完全に抑えることは極めて難しいといわれています。
過去の報告では、四肢に発生した骨肉腫を断脚+化学療法で治療した場合、ドキソルビシン単独、カルボプラチン単独、両者の併用で各々の中央生存期間は約8-12ヶ月、6.9-10.7ヶ月、7.8-10.7ヶ月と言われています。

最後に

飼い主が日頃から、病気の早期発見を兼ねてマッサージしてあげていると、いち早く骨の病変を見つけることができます
前足の先端や肩口、ひざの周辺に妙な盛り上がりはないかどうかを注意深く確認するようにしましょう。
なお見つかった盛り上がりがもしガンだった場合、むやみに触っているとリンパ管を通して細胞が広がってしまう危険性があります。
「怪しい」と思ったらすぐにかかりつけの獣医さんに相談した方がよいでしょう。

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