甲斐犬の特徴は?性格・外見・病気・しつけなど飼い方がここに!

「かいいぬ」ではなく「かいけん」 甲斐犬

日本古来の犬種である甲斐犬。その力強さと美しいシルエットは、一度見たら忘れられない存在感を放っています。
山岳地帯での狩猟や守りのパートナーとして歴史を刻んできた彼らの秘密を、あなたは知りたくはありませんか?
ここでは、甲斐犬の歴史から特徴、そして適切な飼い方について、深く掘り下げていきます。
あなたが甲斐犬という犬種に新たな魅力を見いだすこと間違いなしの内容となっております。
どうぞお付き合いください。

ここでは、甲斐犬の誕生した背景や歴史、性格や外見、手入れ方法や散歩の頻度、性質から見るしつけ方の詳細をまとめていますので、是非ご参考になさってください。



甲斐犬の歴史

天然記念物に指定される犬種

日本には数多くの独自の犬種が存在しますが、その中でも甲斐犬は非常に古い歴史を持つ犬種です。
その名前は、彼らが最初に生まれたとされる地域、現在の山梨県(旧甲斐国)から来ています。

甲斐犬の起源については完全には明らかになっていませんが、縄文時代から存在していたと考えられています。
そのため、甲斐犬は数千年の間にわたり、日本の厳しい自然環境と共に生き抜いてきた生物とも言えます。
古代の人々は彼らの力強さと忠誠心を頼りに、狩猟や山岳地帯での生活のパートナーとして活用してきました。

昭和4年(1929年)に当時甲府地方検察庁に赴任した安達太助が発見しました。
甲斐地方(山梨県)の山岳地方に元々いた土着の中型犬をベースに、自然交配と猪や鹿の猟犬としての選択繁殖とを繰り返しながら、長い時間をかけて今の形に定まったとされています。
山岳地方の狭い地域で繁殖をされていたこと、他犬種との相性を選ぶことから、純血化したと考えられています。

昭和6年(1931年)に「甲斐日本犬愛護会」を創立、昭和7年(1932年)日本犬保存会の初代会長斎藤弘吉、獣医師の小林承吉等が中巨摩郡芦安村(現南アルプス市)や奈良田村(後の西山村、現南巨摩郡早川町)に群生していた虎毛、立耳の地犬を調査し、発見した地方に因んで「甲斐犬(かいけん)」と命名され、保存活動が開始されました。
また、本来、日本犬の名は「柴犬(しばいぬ)」や「土佐犬(とさいぬ)」のように「◯◯犬(いぬ)」という呼称が基本ですが、甲斐犬の場合は「◯◯犬(いぬ)」と呼ぶと「飼い犬(かいいぬ)」と誤解される可能性がある為、例外的に「甲斐犬(かいけん)」と命名される事になりました。

戦国時代には、「門西家文書」によれば永禄3年(1560年)11月3日に甲斐河内領の国衆・穴山信君が湯之奥郷(身延町湯之奥)の土豪で家臣である佐野縫殿右衛門尉が所有する犬3匹の保護を命じています。
これは、穴山氏が佐野縫殿右衛門尉が飼育する猟犬を保護する政策で、縫殿右衛門尉の所有する犬は甲斐犬であった可能性があると考えられています。

昭和9年(1934年)、天然記念物に指定されました。

近代に入り、甲斐犬は一時期絶滅の危機に瀕しましたが、愛好家たちの保護活動により、数は回復。
現在では、その美しさと誇り高さから「日本の自然と歴史を体現する犬種」として、国内外から多くの愛好家に支持されています。

一見、野性的で勇猛というイメージがある甲斐犬ですが、一方で忍耐力があり、状況判断力にも長けています。
そのため、適切な訓練とケアが施されれば、家庭犬としても非常に優れたパートナーとなります。

以上のような甲斐犬の歴史と起源を理解することで、その持つ独特な特性や性格、そして飼い主との関係性についてより深く理解することが可能となります。

甲斐犬の特徴

まるで武士のような一途で強い忠誠心

日本が誇る自然と歴史を体現する甲斐犬の特徴は、その見た目と性格の両方にわたります。
ここでは、その魅力を詳しく解説します。

  1. 見た目:
    甲斐犬は一見すると野性味があり、身体は筋肉質で頑丈です。
    体高は雄で約52cm、雌で約46cm程度で、中型犬に分類されます。
    特徴的な表情を作る厚い皮膚のため、力強くも温和な印象を与えます。
    耳は肉厚な三角形の立ち耳で、尻尾は巻尾または差尾です。

  2. 被毛:
    被毛はダブルコートの短毛で、被毛は太く真っ直ぐなオーバーコートと細くて柔らかく密なアンダーコートを有しています。
    カラーは、別名で「甲斐虎」や「虎毛犬」とも呼ばれるように虎毛です。
    そのバリエーションも3種類あり、黒虎毛と中虎毛と赤虎毛とに分かれます。
    この虎毛が「甲斐犬」の最大の特徴と言えるでしょう。

  3. 性格:
    甲斐犬は非常に賢く、忍耐力があります。
    また、警戒心が強く、一度信頼関係を築いた飼い主に対しては深い忠誠心を示す傾向があります。
    一代一主」と言われるように、一人の飼い主のみに一生仕えるほどの非常に強い忠誠心を持っています。
    自主性が強い一方で、適切な訓練と社会化によって、家庭犬としての良いマナーも学びます。

  4. 活動性:
    甲斐犬はもともと狩猟犬として使われていた歴史があり、その名残で非常に活発で運動量が多いです。
    適切なエクササイズを与えることで、健康を保ちながらそのエネルギーを適切に発散させることができます。

このように、甲斐犬は外見の美しさと内面の力強さを併せ持つ犬種です。
しかし、その飼育には犬種の特性を理解し、適切なケアとトレーニングを提供できる飼い主が求められます。

外見

・被毛は短めのダブルコート
・太く長い毛オーバーコートと、細くてやわらかい短毛のアンダーコートが密集
・尾は差し尾、または巻尾
・毛色は虎毛で、赤虎・黒虎・中虎
・年齢を重ねる毎に虎毛がはっきりしてくることもあります
・虎毛は山野で狩りをする際の保護色となります
・虎毛部分の色が美しい赤い色素を持つ個体を赤虎毛とするが、赤の色素の無い褐色の縞の黒虎毛も勇壮な虎模様を特徴とするため、「虎毛犬(とらげいぬ)」の別名を持ちます

性格

・甲斐犬は、現在でも猟犬として活躍していて、気性の強さも大切な要件として繁殖されている犬です
・自ら飼い主だと決めた人に対してだけに見せる純真ともいえる姿は、まるで武士のようです
・状況に敏感で見知らぬ人や犬、他の動物には警戒心を見せます
・信頼し尊敬する飼い主に対しては別犬のように甘えん坊で従順な面を見せます

体重  12~18kg
体高  43~56cm

甲斐犬の健康

とても健康的な犬種

甲斐犬の平均寿命は、13~16歳ほどです。
日本原産の甲斐犬は、適切なケアを提供することで健康的なライフスタイルを維持することが可能な犬種です。
それでも、飼い主としては彼らの健康状態に注意を払う必要があります。
以下に、甲斐犬の一般的な健康問題とその対策を紹介します。

  1. 皮膚疾患:
    甲斐犬は厚い皮膚を持っており、そのため皮膚疾患にかかりやすい傾向があります。
    定期的なブラッシングとバスタイムを設け、皮膚と被毛の健康を維持することが重要です。

  2. 関節問題:
    犬全般に言えることですが、甲斐犬もまた肘や股関節の症状に苦しむ可能性があります。
    これらは主に遺伝的な要素によるものですが、適切な運動と栄養バランスの良い食事でリスクを低減できます。

  3. 視覚と聴覚の問題:
    年齢を重ねるにつれて、甲斐犬も視覚と聴覚の問題を経験する可能性があります。
    これらの問題は避けられないかもしれませんが、定期的な健康チェックと適切なケアで、症状の進行を遅らせることができます。

これらの問題は全ての甲斐犬に起こるわけではありませんが、これらの病気が発症した場合には速やかに専門の獣医師の診察を受けることが大切です。
また、適切なケアと愛情深い環境を提供することで、甲斐犬の健康的で幸せな生活をサポートすることができます。

甲斐犬の食事

年齢や体調に合わせたフードを選びましょう

甲斐犬は健康で活発な犬種であり、そのエネルギーを維持するためには適切な栄養が必要です。
以下に、甲斐犬の食事に関する基本的なガイドラインをご紹介します。

  1. バランスの良い食事:
    甲斐犬に必要なのは、タンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミン、ミネラルがバランス良く含まれた食事です。
    犬用のフードを選ぶ際は、タンパク質が主成分となっていることを確認してください。

  2. 体重管理:
    甲斐犬は適切な体重を維持することで最高の健康状態を保つことができます。
    過食や不適切な食事は肥満を引き起こし、それが様々な健康問題につながる可能性があります。

  3. 年齢と活動レベルに応じた食事:
    子犬、成犬、シニア犬といった甲斐犬のライフステージや、活動レベルに応じて食事の量や内容を調整することが重要です。

  4. 人間の食べ物の取り扱い:
    人間の食べ物は、必ずしも甲斐犬にとって安全とは限りません。
    チョコレートやブドウ、玉ねぎなど、犬に有害な食品を避け、必要であれば獣医師に相談してください。

  5. 水分補給:
    水分は甲斐犬の健康にとって不可欠です。
    常に清潔な水が利用できるようにしてください。

以上が甲斐犬の食事に関する基本的なポイントですが、個々の犬の状態により、最適な食事内容や量は変わる場合があります。
必要に応じて獣医師と相談しながら適切な食事管理を行ってください。

甲斐犬の運動

散歩は1回1時間程度を1日2回

十分な量の散歩や運動が必要です。
散歩は1回1時間程度を1日2回を心掛けるようにしましょう。

人間の身長程度の壁をよじ登って越えてしまうことがしばしばあるようです。
運動場を作る場合は、2m以上の高さのフェンスを用意することが安全のようです。
他の犬との相性があまり良くない個体が多いため、ドッグランの利用などはトラブル防止によく注意しておく必要があります。

運動不足になるとストレスが溜まり、無駄吠えなどの問題行動の原因ともなりますので、毎日しっかりと運動を心掛けてあげて下さい。

甲斐犬のしつけ

日々の訓練を行いながら信頼関係を

甲斐犬は気性が強い上に、ただひとりの主人に生涯仕えようとする「一代一主」の典型的な犬です。
主従関係がしっかりと構築できるように、毅然とした態度で臨みましょう。

また、小さい子犬の頃から様々な人や他の犬と積極的に触れ合わせ、社会性を身に付けさせるようにしましょう。

長く共に暮らしてから他人に譲渡することになった場合、新しい飼い主に馴染むのが大変難しい場合が多くあります。

飼う人の年齢や体力、犬の飼育経験を十分に検討した上で迎えるようにしましょう。
愛玩犬として可愛がるだけでは、気の強い甲斐犬から尊敬される飼い主になるのは難しく、しつけがしにくくなったり、言うことを聞かなくなることがあります。
生活にけじめをつけるとともに、日々しっかりと訓練を行いながら信頼を作りあげましょう。

しつけの基本は必ず確認しましょう⇒犬のしつけの基本理論 完全ガイド
「おすわり」や「待て」など行動別のしつけ方法はこちら⇒犬の行動別しつけ方法

甲斐犬の手入れ

被毛の手入れは楽

甲斐犬は日本の原種で、その体質は自然に適応する能力に長けていますが、それでも一定の手入れが必要です。
その基本的なケアと手入れについて以下に詳述します。

  1. 毛づくろい
    甲斐犬の被毛は比較的手入れが簡単で、週に1~2回のブラッシングで抜け毛を取り除き、皮膚の健康を保つことができます。
    甲斐犬の毛は直毛であり、汚れが付きにくい特徴がありますので、頻繁な入浴は必要としません。
    ただし、犬の体調や活動量によりますので、必要に応じてシャンプーをしてあげましょう。

  2. 爪の管理
    甲斐犬はアクティブな犬種ですので、散歩や遊びにより自然に爪が削れることが多いです。
    しかし、爪が伸びすぎると歩行に影響を及ぼす可能性がありますので、定期的にチェックし、必要な場合は爪を切ってあげましょう。

  3. 耳のケア
    甲斐犬の耳は立っていることが多いですが、それでも耳の中に汚れが溜まることがあります。
    耳の中を定期的に観察し、異常な臭いや汚れがある場合は清掃してあげましょう。
    また、獣医師による定期的な健康チェックも重要です。

  4. 歯磨き
    甲斐犬もまた他の犬種と同じく、口腔内のケアが必要です。
    適切な歯磨きや、歯石取りを行い、口腔病を予防しましょう。

  5. 適切な運動
    甲斐犬は元々野生の環境で生きてきた犬種であり、適切な運動量を確保することが健康維持に重要です。
    毎日の散歩や遊びを通じて、体力を使う機会を持たせましょう。

以上が甲斐犬の基本的な手入れとケアになります。これらを続けることで、甲斐犬の健康と快適さを確保できます。

甲斐犬の価格

20万円前後が相場

甲斐犬は、ペットショップで見かける事はまずありません。
もしも家族に迎え入れるのであれば、ブリーダーさんから直接購入する方法がメインとなります。
その際の値段ですが、20万円前後が相場となります。

ブリーダーさんから直接購入する際は、必ず現地へ行き、飼育環境やブリーダーさんの人柄などを確認し、信頼できるかを見極めたうえで決定するようにしましょう。

まとめ

✔ 「一代一主」の忠誠心
✔ 一般的に健康な犬種

甲斐犬は日本原産の犬種で、その歴史は古く、日本の自然環境に長く適応してきた犬種です。
その名前は、甲斐国(現在の山梨県)に由来しています。
豊富なエネルギーと持久力を持ち、素晴らしい狩猟能力を備えています。また、その体格は中型で、直毛の被毛が特徴です。

健康面では、一般的に健康な犬種であり、特定の遺伝性の病気に影響を受ける可能性が低いですが、中耳炎や股関節形成不全などの問題が発生することもありますので、定期的な獣医師のチェックが重要です。

食事については、活発な運動量を考慮して、栄養素がバランスよく含まれた食事を与えることが重要です。適切な食事によって、健康とエネルギーを維持することが可能です。

手入れは比較的容易で、週に1~2回のブラッシングと、必要に応じた入浴で被毛の管理が可能です。また、爪の管理、耳のケア、適切な歯磨きなどの基本的なケアも重要です。

甲斐犬は賢く、忍耐強く、独立した精神を持つ犬種です。
その性格は忠誠心が強く、家族に対して深い愛情を持っていますが、その一方で独立心も強く、飼い主との良好な関係を築くためには、しっかりとしたリーダーシップと適切な訓練が必要とされます。

甲斐犬は、「一代一主」と言われる程の古来の武士のような性格をしています。
一人の主人に一生付いていくようなこの性格は、飼い主自身も愛おしくてたまらなくなります。
その反面、見知らぬ人や他の犬に対しては、警戒心が強く、敵意を見せる事もあります。

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