犬の心筋炎~愛犬が突然失神してしまったら~
犬の心筋炎(しんきんえん)とは、心臓の鼓動を作り出している筋肉の層に炎症が生じてしまった状態のことです。
犬の心臓は「心筋」と呼ばれる特殊な筋肉で構成されており、中に埋め込まれたペースメーカー細胞の指示を受け、リズミカルに伸縮を繰り返しています。
しかし何らかの理由でこの心筋層に炎症が生じると、正常な拍動のリズムが崩れ、血液をスムーズに送り出すことができない「不整脈」が起こってしまいます。
この状態が「心筋炎」です。
一般的に、生前での診断は難しいとされています。
ここでは、犬の心筋炎の主な原因はもちろん、症状から対処法などをまとめていますので、是非ご参考になさってください。
- 犬の心筋炎の主な症状
- 犬の心筋炎の主な原因
- 犬の心筋炎の主な治療法
犬の心筋炎の主な症状
犬の心筋炎の主な症状としては、食欲不や咳、運動を嫌がったり、呼吸困難などがあげられます。
時には、突然の失神してしまう事もあります。
犬の心筋炎は、他の病気でもあらわれるような症状が出るので、何か異変に気づいた際には、すぐに動物病院に連れて行くようにしましょう。
主な症状 |
☆発熱 |
☆咳をする |
☆運動を嫌がる |
☆呼吸困難 |
☆突然失神する |
☆不整脈 |
☆頻脈 |
☆うっ血性心不全 |
犬の心筋炎の主な原因
犬の心筋炎の主な原因としては、主に3つあります。
一つは、交通事故や高い場所からの落下などによる心臓にできる外傷性。
もう一つは、パルボウイルス、ジステンパーウイルス、犬ヘルペスウイルス、トキソプラズマ、トリパノソーマ、ヘリコバクター、クリプトコッカス、コクシジオイデス、アスペルギルスなどの心筋層への感染です。
そして最後は、ドキソルビシン、抗腫瘍薬などの薬剤による免疫力の低下などのものがあります。
それぞれの詳細な下記にまとめましたので、是非ご参考になさって下さい。
- 心臓への強い衝撃
心臓の傷が原因で炎症が生じてしまうことがあります。
具体的には、交通事故や高い場所からの落下など、内臓に強い衝撃が加わるような状況です。
ナイフで切りつけたような明確な傷は無いものの、瞬間的に強くゆさぶられることにより、目に見えない小さな傷が心筋に生じてしまいます。 - ウイルス・細菌・寄生虫
心筋層に取り付いた病原体によって炎症が引き起こされることがあります。
ウイルスではパルボウイルス、ジステンパーウイルス、イヌヘルペスウイルス
原虫ではトキソプラズマ、トリパノソーマ(シャーガス病)
細菌ではヘリコバクター、真菌ではクリプトコッカス、コクシジオイデス、アスペルギルス、スピロヘータではボレリア(ライム病の原因)
藻類ではプロトテカなどが多いとされます。 - 薬の副作用
心臓に対して毒性を発揮する薬剤によって心筋炎が引き起こされることがあります。
具体的には、ドキソルビシンやカテコールアミン、抗腫瘍薬(シクロフォスファミド・インターロイキン-2 etc)などです。
また、重金属(ヒ素・鉛・水銀 etc)や生物毒(ヘビ・スズメバチ・サソリ・クモ etc)が原因となることもあります。 - 免疫力の低下
抱えてる病気や、免疫力を低下させるような薬剤の影響で免疫力が落ちていると、通常であれば抑え込めるはずの病原体の繁殖を抑えきることができず、心筋炎を発症しやすくなってしまいます。
犬の心筋炎の主な治療法
犬の心筋炎の主な治療法としては、細菌感染などが心筋炎の原因の場合には、病原菌を特定し、それに対応した薬剤を投与をします。
また、不整脈による突然死を予防するためにペースメーカーを埋め込むこともあります。
そして、何よりも基本的な事は、心臓への負担を減らすために安静にする事です。
- 投薬治療
感染が原因で発症している場合は、病原体を特定し、それに対応した薬剤を投与します。
また、不整脈とそれに伴う突然死を予防するため、抗不整脈薬が投与されることもあります。
しかしこの薬は、逆に不整脈の原因になる危険性もはらんでいるため、投与する際は慎重な判断とモニタリングが必要です。 - ペースメーカー
不整脈の一種である「完全房室ブロック」があり、心臓の拍動をうまくコントロールできなような場合は、人工的なペースメーカーが埋め込まれることがあります。 - 安静
心臓への負担を減らすため、安静を基本とします。
しかし家の中に閉じこもりっぱなしだと、筋肉の委縮を招いてしまいますので、心筋炎の重症度に合わせた運動制限が重要です。
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