犬の歯周病

犬の歯周病~愛犬の口が臭くなったり、歯茎が赤くはれていたら~

 犬の歯周病とは、歯の表面などで細菌が毒素を産生し、歯茎や骨に炎症が起こった状態を言います。
 歯周病は、ほとんどの犬たちが罹患していると言われています。
 この病気は、口の中だけの問題だと思われがちですが、鼻炎呼吸器感染症心臓病、腎臓病などの原因にもなりえる重要な病気です。

 ここでは、犬の歯周病の主な原因はもちろん、症状から対処法などをまとめていますので、是非ご参考になさってください。


  • 歯科用語の意味
  • 犬の歯周病の進行段階
  • 犬の歯周病の主な症状
  • 犬の歯周病の主な原因 
  • 犬の歯周病の主な治療法
  • 犬の歯周病の予防

歯科用語の意味

動物病院などへ診察に行った際や、ネットで色々と調べていく上でも、当たり前のように専門用語が出てきます。
自分自身も歯医者に行ったりするので、聞いたことのある言葉でも、実際はよく分かっていなかったりします。
そこで、主な用語を下記にまとめましたので、是非ご参考になさってください。

主な用語 意味
☆菌膜  菌膜(きんまく, ペリクル, エナメル薄膜)とは、歯を磨いた直後から歯の表面に形成される薄い膜のことで、構成成分は唾液に含まれるタンパク質や糖タンパク、および歯肉から出される分泌液などです。
☆歯垢  歯垢(しこう, プラーク)とは細菌コロニーに唾液に含まれる糖タンパク、細胞外の多糖類、上皮細胞、炎症細胞などが加わってできた、ネバネバした塊のことです。
舌の運動や飲水では容易に除去できませんが、機械的・化学的方法では除去が可能という性質を持っています。
☆歯石  歯石(しせき, ターター)とはプラークと歯肉の溝から放出されるカルシウムやリン酸塩が結合し、石灰化して硬くなったものです。
余りにも大きくなった場合は自然に壊れて剥がれ落ちることもありますが、基本的に除去することは困難です。
☆歯肉  歯肉(しにく)とは歯の根元を覆うピンク色の上皮組織です。
 外から見える部分は歯茎と呼ばれます。
☆歯周組織  歯周(ししゅう)とは歯の周りにある歯根膜、歯槽骨、歯肉など全てを総括する表現です。
☆歯槽膿漏  歯槽膿漏(しそうのうろう)とは、炎症によって生じた膿が歯槽に排出された状態です。
 大変な悪臭を放ちます。
☆炎症  炎症(えんしょう)とは異物を排除しようとする血液によるの防御機構です。
 発赤、腫脹、疼痛、発熱を4大徴候としています。

犬の歯周病の進行段階

犬の歯周病には進行度合によって、3つフェーズがあります。
それらを下記にまとめましたので、ご参考になさってください。

第1段階:
歯周病の始まりは「菌膜」からです。
菌膜は口の中を保護したり潤いを保つ働きをしますが、時間が経つとそこに細菌成分が加わるようになり、歯の表面を覆うエナメル質1平方ミリメートルあたり100万個にまで増殖します。
このようにしてできた細菌のコロニーが歯垢の土台となります。

第2段階:
歯垢は、菌膜が歯の表面に付着してから約24時間で形成されます。
歯磨きなどを通して機械的な刺激を与えると容易に剥がれ落ちるものの、歯と歯茎の隙間にある「歯周ポケット」と呼ばれる部分に食べかすなどがたまると、きれいに除去することは困難です。
口の中にとどまった歯垢の中では数百種類の細菌が繁殖し、その中の一部は毒素を放出します。
そしてこの毒素による攻撃と、毒素を排除しようとする免疫細胞の攻撃の両方が、歯肉組織を刺激し、徐々に炎症が進行していきます。
これが「歯肉炎」です。

第3段階:
歯垢が長時間放置されると、石灰化が進んで歯石が形成されます。
歯垢から歯石が形成されるまでには、一般的に2~3日あれば十分です。
歯石の表面はデコボコしているので歯垢が付きやすく、放置された歯石の表面にさらに歯垢が蓄積するという悪循環を招きます。
仮に除去したとしても、歯の表面に薄い膜が残っているため、再び石灰化してすぐに復活してしまいます。

犬の歯周病の主な症状

犬の歯周病の主な症状としては、口が臭くなったり、歯茎が赤くはれていたりなどがあげられます。
歯周病が進行すると歯を支えている顎の骨が溶けてしまいます。
最終的には歯が抜け落ちたり、下顎が骨折してしまうこともあります。
また、歯周病菌が血管に細菌が入り込み、心臓病や腎臓病の原因になることもあります。

主な症状
☆歯茎の赤み
☆口が臭い(腐敗臭)
☆歯茎からの出血
☆歯がぐらぐらする
☆歯が長くなったように見える
☆食べるのが遅い
☆嘔吐(尿毒症による)
副鼻腔炎の併発
☆心臓、腎臓、肝臓、肺への悪影響

犬の歯周病の主な原因 

  • 固いものを噛んでしまった
    犬が固いものや尖ったものをかんだりすると、歯茎に傷がつくことがあります。
    この傷から炎症
    が広がり、歯茎に歯肉炎が発生するというパターンです。
    この場合、傷が治れば歯肉炎も治まることがほとんどです。

  • 歯磨き不足・口内が汚い
    口の中の衛生状態が悪いと
    、歯の間に挟まった食べカスや歯の表面に付着した歯クソを栄養源として、細菌が繁殖します。
    繁殖した細菌は歯垢と呼ばれる肉眼でも確認できる塊になり、周囲の組織に炎症を引き起こします。
    口の中に食べかすが残るのは、ウェットフードなど柔らかくて粘着度が高いものばかり食べていたり、飼い主が歯磨きを怠るなどのことが主な要因です。

  • 小型犬
    犬の歯周病はグラム陰性の嫌気性桿菌による反復的な歯周組織の炎症が原因であり、特に小型犬に発生しやすいという結果が出ています。
    「加齢」と「小型犬」という要素は、歯周病の発症と深く関わっています。

犬の歯周病の主な治療法 

 歯周病は進行性の病気で、放っておくと歯周組織がじわじわ破壊していきます。
 軽度の段階であれば、歯石をはがすスケーリングがメインとなります。

  • 歯石の除去
    歯の表面で歯垢が硬く石灰化した歯石を除去して、炎症の大元を根絶やしにします。
    麻酔を掛けずに行うと犬が暴れて怪我をしたり、治療効果自体が中途半端になってしまうため、多くの場合、全身麻酔をした上で、獣医さんがスケーリング(歯石はがし)を行います。
    用いられるのはスケーラーと呼ばれる金属器具や超音波などです。
    その他、歯石の土台を完全に取り去るために研磨(ポリッシング)を行ったり、歯石の再付着を遅らせるためコーティングなどが行われることもあります。

  • 固めのフードに変える
    やわらかくて歯の間に残りやすいウェットフードばかり与えている場合、もう少し固いものに切り替えましょう。
    その理由は、咀嚼回数を増やすことで唾液の分泌量を増やし、歯の表面に付着した菌膜を洗い流す効果を高めるためです。
    また食後の歯磨きを習慣化することも重要です。

  • 基礎疾患の治療
    糖尿病など別の疾病によって歯周病が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。

  • 対症療法
    歯周病が他の病気を併発している場合は、それらの症状の軽減を目的とした治療が施されます。

犬の歯周病の予防

 歯周病によって破壊されてしまった歯周組織は、元の状態には決して戻りません。
 最悪の場合、心臓や腎臓の疾患の原因ともなりますので、日頃からの歯磨きや歯科検診などのデンタルケアが大事となります。

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