犬の脱肛(だっこう)

脱肛~愛犬がなかなか排便できずに排便姿勢をとる仕草をみせたら~

 犬の脱肛(だっこう)とは、肛門から粘膜の一部や直腸がはみ出してしまった状態を言います。

 肛門から、肛門と直腸の境目付近にある粘膜(肛門直腸粘膜)が飛び出してしまった軽度のものが「肛門脱」(脱肛)、そして肛門から遠く離れた場所にある直腸の粘膜が、ビヨーンと伸びて外に飛び出してしまった重度のものが「直腸脱」です。前者を「部分脱出」、後者を「完全脱出」と呼び分けることもあります。
 完全脱出した場合、外に飛び出した直腸が、まるでドーナツのように円形に膨らみます。

 ここでは、犬の脱肛の主な原因はもちろん、症状から対処法などをまとめていますので、是非ご参考になさってみて下さい。


  • 犬の脱肛の主な症状
  • 犬の脱肛の主な原因
  • 犬の脱肛の主な治療法

犬の脱肛の主な症状

 脱肛は、内臓が外の空気に触れるため、強い痛みと不快感があります。また、「しぶり」と言われるなかなか排便できずに排便姿勢をとる仕草もみられます。

主な症状
☆肛門からソーセージのようなものが出ている(肛門脱)
☆肛門にドーナツ状のふくらみ(直腸脱)

犬の脱肛の主な原因

 特に肛門括約筋の弱った老犬や力のない犬や出産経験のあるメスの犬に多く見られます。また、栄養不良により肛門括約筋や直腸周囲組織が弛緩することでも発症しやすくなります。

  • 感染症、寄生虫症、胃腸の疾患などがあると、直腸に炎症が起こり、粘膜の体積を増やしてしまうことがあります。
  • メス犬が分娩するときなど、おなかに力を入れて腹圧(おなかの内部の圧力)が高まると、ちょうど風船を膨らませるように外に広がろうとします。この力が強すぎると、肛門に隣接している直腸の一部、もしくは全部が外に押し出され、脱肛が発生します。
  • 栄養不足や内科的な疾患によって肛門を閉めている肛門括約筋(こうもんかつやくきん)の力が弱まると、通常であれば押さえ込めるはずの腹圧に負け、結果として腸の脱出を許してしまいます。
  • 便秘のときは通常よりも強い力で便を外に押し出そうとします。このときの腹圧が強すぎて脱肛を起こすことがあります。

犬の脱肛の主な治療法

  治療は脱出した部分に潤滑剤を塗って肛門内に押し戻すのが基本です。損傷がひどく細菌感染が疑われるときは損傷した部分を外科的に切除する必要があります。

  • 飛び出した部分を押し戻す
    取り急ぎ、脱出部分に潤滑剤を塗ってやさしく肛門の中に押し戻します
    。腫れがひどい場合は、浸透圧製剤や硬膜外麻酔が必要となることもあります。

  • 肛門周囲の皮膚を縫合
    軽症の場合は、肛門周囲の皮膚を巾着袋のように縫合し、脱出が起こりにくくします。何度も再発するような場合は、直腸や結腸をおなかの中に固定する手術が必要です。また脱出した部分がすでに壊死しているような場合は、直腸の切除と吻合が必要となります。

  • 食事療法
    繊維質のものをやや多めに取り、腸の蠕動運動を活発にします
    。排便時のいきみが弱くなれば、腸が外に出ることもなくなります。

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