犬の副甲状腺機能亢進症(ふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)

犬の副甲状腺機能亢進症~水をたくさん飲み、尿の量が増えたら~

犬の副甲状腺機能亢進症(ふくこうじょうせんきのうこうしんしょう)とは、のどにある副甲状腺から分泌される副甲状腺ホルモンの作用が強くなりすぎた状態を言います。
副甲状腺機能亢進症は、上皮小体機能亢進症とも呼ばれます。

副甲状腺ホルモンはパラトルモンとも呼ばれ、主に血液のカルシウムの濃度を増加させる働きをもち、骨、腸、腎臓などに作用します。

ここでは、犬の副甲状腺機能亢進症の主な原因はもちろん、症状から対処法などをまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。


  • 犬の副甲状腺機能亢進症の主な症状
  • 犬の副甲状腺機能亢進症の主な原因
  • 犬の副甲状腺機能亢進症の主な治療法

犬の副甲状腺機能亢進症の主な症状

犬の副甲状腺機能亢進症の主な症状としては、水をたくさん飲み、尿の量が増えます。
また、骨密度が低下してくるので、骨折しやすくなったり、筋肉の萎縮、尿結石がみられることもあります。

主な症状
☆水をたくさん飲む
☆尿の量が増える
☆骨密度が低下する

犬の副甲状腺機能亢進症の主な原因

犬の副甲状腺機能亢進症の原因は、主に下記の3タイプに分かれます。
いずれのタイプも上皮小体の過形成が起こり、パラソルモンの分泌過多が引き起こされます。

  • 食事の栄養バランスが悪い
    エサに含まれる栄養バランスの悪さが、副甲状腺を過剰に刺激して亢進症の引き金となることがあります。
    具体的にはカルシウムの量が少ない、カルシウムとリンの摂取量に不均衡がある、ビタミンDが不足することにより血中カルシウム濃度が低下する(低カルシウム血症)などです。
    これらは栄養に原因があることから、「栄養性副甲状腺機能亢進症」とも呼ばれます。

  • 腎臓の疾患
    腎臓に疾患を抱えている場合、尿中に放出されるカルシウム量が増えたり、ビタミンDの生成が不足気味
    になることがあります。
    結果として血中のカルシウム濃度が低下し、副甲状腺を刺激して亢進症が起こります。
    腎臓に原因があることから「腎性副甲状腺機能亢進症」とも呼ばれます。

  • 副甲状腺の異常
    副甲状腺そのものに腫瘍やガン、傷などの変性が生じると、ホルモンの分泌が過剰
    となり、亢進症を引き起こすことがあります。
    病気の出どころが副甲状腺自体であることから「原発性副甲状腺機能亢進症」と呼ばれることもあります。

犬の副甲状腺機能亢進症の主な治療法

  • 食事のバランスの見直し
    過度のおやつ
    (たとえばレバーなど)によって、カルシウム量は適正でも、リンとの摂取バランスが崩れている(理想は1:1)可能性もあります。
    ですので、不必要なおやつを控えたり、リン酸塩を含まないような素材に切り替えます。

  • ビタミンDの補給
    カルシウムの腸管からの吸収を促すビタミンDも、カルシウムと同じくらい大切な物質です。
    犬は、体内でビタミンCを生成することはできますが、皮膚中の「7-デヒドロコレステロール」と呼ばれる有機化合物が不足しているため、ビタミンDを自給自足することができません。
    つまり、人間とは逆で、犬はビタミンDをエサから補給する必要があるというわけです。

  • 基礎疾患の治療
    腎臓や副甲状腺の腫瘍や炎症など、別の疾病によって副甲状腺機能亢進症が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。
    腎臓に関しては、特に慢性腎不全の管理が重要です。
    これは、腎不全によって血中のカルシウム濃度を高める「カルシトリオール」の量が減り、この不足分を補うために副甲状腺がオーバーワークになってしまうからです。
    また副甲状腺に腫瘍ができた場合は、外科的に切除します。

  • 外科的切除
    副甲状腺(上皮小体)は、通常4つありますので、問題のあるものを切除します。
    4つとも肥大している場合は、3つを摘出し、1つを残すようにします。

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