【完全ガイド】犬の「出せ」のしつけ

「出せ」~くわえていたものを離させる~

犬に「出せ」というコマンドを教えることは、安全と健康の観点から非常に重要なトレーニングの一部です。

出せ」とは、飼い主が命令する事により、犬にくわえているものを離させることです。
はなせ」と言われる事もありますが、全く同じ意味です。
散歩中などに犬が道端に落ちている有害な物(タバコの吸い殻、落ちている食物など)を口に入れてしまった場合など、「出せ」のしつけができていればすぐに取り出すことができるでしょう。

犬が口に入れたものをすぐに出させる能力は、特に犬が危険な物を咥えた場合には、その健康を保護する上で極めて効果的です。
「出せ」のしつけは、飼い主と犬の間の信頼関係を深化させるだけでなく、犬の行動をより管理しやすくします。

ここでは、「出せ」のしつけの目的、基本的な方法、注意点などを段階的に詳しく解説していきます。安全で楽しい共同生活のための重要なスキルを、一緒に学んでいきましょう。

愛犬の命を守るとても大切なしつけです。
是非、面倒臭がらずに「出せ」のしつけをマスターさせましょう。



犬の「出せ」のしつけの意味

~健康や命を守る為にも必要~

犬の「出せ」のしつけは、犬との生活をより安全で円滑にするために極めて重要な要素です。
出せ(はなせ)」のしつけは、愛犬の健康や命を守る為にも必要なしつけと言えます。
以下に、その必要性を詳細に説明します。

  1. 緊急時の対応:
    犬が何か危険なものを口にしてしまった場合、即座にそれを出させる能力は、時に命を救うことができます。
    この能力は、犬の健康を守る基本的な要素です。

  2. 飼い主とのコミュニケーションの強化:
    「出せ」のコマンドに反応するためには、犬と飼い主との信頼関係が必要です。
    このしつけは、飼い主と犬の間のコミュニケーションを強化し、相互理解を深める手段となります。

  3. 犬のストレス軽減:
    犬が物を口から出す行為は、飼い主が理解できるコミュニケーションの一環です。
    このしつけによって、飼い主が犬の意図を正しく読み取ることが可能になり、犬のストレスを軽減することができます。

  4. 良好な生活習慣の形成:
    「出せ」のしつけは、食事のマナーを整えたり、他人の物に触れないようにしたりする際にも有効です。
    この訓練は、共同生活のルールを形成し、犬との共同生活をより快適にするための基盤を築きます。

  5. 社会的な受け入れられやすさの向上:
    他人や他のペットとの交流においても、「出せ」のコマンドは有用です。
    犬が他人の持ち物を取らないようにするなど、他者との円滑な交流を実現します。

総合的に見ると、犬の「出せ」のしつけは、犬と飼い主の関係をより深いものにし、相互の理解を促進し、そして日常生活における多くの危険や不都合から守る重要なスキルです。
このため、犬の訓練においては、非常に基本的かつ必須のスキルであると言えるでしょう。

世の中には、犬が口にいれてはいけないものが、数多くあります。
タバコの吸い殻、ネジなどの金属、タマネギなどのネギ類、チョコレートなど、実に様々です。
われわれ飼い主が目を離したすきにそれらを愛犬が咥えてしまっていたとしたら、すぐに離させなくてはいけません。
そこで必要になるコマンドが「出せ(はなせ)」になります。

拾い食いのしつけ」は、落ちている物を口にいれさせない為のしつけですが、「出せ(はなせ)」は既に口に咥えてしまった状態の時に必要なコマンドす。
無理に取り上げようとすると、飼い主の手を噛まれたり、逆に急いで飲み込んでしまう可能性がとても高いです。

犬の「出せ」のしつけをするタイミング

~早ければ早いほど良い~

犬の「出せ」のしつけを始めるタイミングについての理解は、効果的な訓練のために重要です。
以下、適切なタイミングとその理由について詳細に説明します。

  1. 幼い時期から:
    犬が若い時期から基本的なしつけを始めることは一般的で、これに「出せ」のコマンドも含まれます。
    目安としては、生後2~3ヶ月頃から始めると良いとされています。
    幼犬は学習能力が高いため、この時期に訓練を開始すると、基本的なコマンドをしっかりと理解させることができます。

  2. 信頼関係の構築後に:
    「出せ」のしつけは、飼い主との信頼関係が深まった後に導入すると良いでしょう。
    犬が信頼している人からの指示には素直に従うため、基本的なコマンドの習得後に取り組むと効果的です。

  3. 特定の問題行動が見られる場合:
    犬が何かを口に入れる癖があるなど、特定の問題行動が見られる場合は、その行動を直すために「出せ」のしつけを早めに始めることが重要です。

  4. 他の基本的なコマンドをマスターしてから:
    「座れ」や「待て」などの基本的なコマンドを犬が理解し、マスターしてから「出せ」の訓練に取り組むと、スムーズに訓練を進めることができます。

  5. 状況と犬の性格に応じて:
    すべての犬が同じタイミングで「出せ」のしつけを始めるべきではありません。
    犬の性格、健康状態、現在の訓練の進捗などを考慮し、個々の犬に合ったタイミングで始めることが大切です。

結論として、犬の「出せ」のしつけを始めるタイミングは、犬の年齢、性格、信頼関係、他のコマンドの習得状況など多岐にわたる要素に基づいて検討する必要があります。
専門のトレーナーや獣医と相談しながら、犬に合ったタイミングで訓練を開始するとよいでしょう。

犬の「出せ」のしつけについて

~ほめて伸ばす事を心掛けて~

しつけに入る前に「犬のしつけの基本理論」を把握しておいてください。⇒犬のしつけの基本
これを把握しているかいないかで、成果が出るスピードが変わりますので、是非読んでください。

NG例:体罰は絶対にダメ
犬が何かをくわえ込んでなかなか離そうしない時に叩くなど体罰を与えた場合、手を怖がるようになり、頭を撫でる事すら怖がるようになる可能性があります。
また、体罰は飼い主自体を嫌いになってしまう可能性があります。

しつけの準備

~指示語の統一をして下さい。

犬の「出せ」のしつけに取り組む前に、効果的な訓練を行うための適切な準備が必要です。
以下は、「出せ」のしつけに必要な準備についての詳細な説明です。

  1. 安全な訓練環境の確保:
    まず最初に、犬が怪我をする可能性のない、安全な訓練環境を確保する必要があります。
    散らかった場所ではなく、広くてフラットなスペースが理想的です。

  2. 指示語の統一:
    「出せ」の指示語は固定して下さい。
    その時々でそれぞれの人によって指示語が違うと犬も混乱してしまい、しつけは失敗してしまいます。
    下記に「出せ」の他の指示語の例を載せましたので、参考にして下さい。
    個人的には、言いやすくてカッコよい「英語の「Drop it(ドロッピッ)」が気に入っています。
    また、英語の方が犬は理解しやすいとも言われています。

    指示語例:
    「ダセ!」、「ダシナサイ!」、「ハナセ!」、「Drop it(ドロッピッ)」、「Release(リリース)」、「Out(アウト)」、「Leave it(リーヴィッ)」

  3. 適切なアイテムの選定:
    「出せ」の訓練には、犬が興味を持ちやすいが、かみ砕かない玩具やトレーニング用のアイテムを用意します。
    犬の口に合うサイズのものを選ぶことが重要です。

  4. 報酬の準備:
    しつけに成功した際に与えるご褒美として、犬が好きなおやつを準備します。
    小さくて食べやすいものが望ましいです。

  5. 犬の健康状態のチェック:
    訓練前に犬の健康状態を確認することで、無理な訓練を防ぐことができます。
    特に口腔内の健康状態を確認しておくと良いでしょう。

  6. 適切なタイミングの選定:
    犬がリラックスしている時間や適切なエネルギーレベルを持っている時間に訓練を行うと効果的です。
    疲れている時や興奮している時は避けましょう。

  7. 飼い主のメンタルセット:
    しつけは忍耐と一貫性が求められます。
    怒らず、冷静に指示を出し、犬が成功したら積極的に褒める心構えが大切です。

  8. 訓練プランの準備:
    最後に、どのように訓練を進めるか、段階的なプランを作成するとスムーズです。
    「出せ」のコマンドに徐々に慣れさせるための進行プランを立てましょう。

総合的に考えると、犬と飼い主双方の準備と心構えが、「出せ」のしつけの成功への鍵となります。
適切なアイテム、タイミング、報酬、そして愛情深い指導が、この訓練を楽しく効果的なものに変えるでしょう。

「出せ!」のしつけの手順

犬の「出せ!」のしつけは、犬が口に持っているものを安全に放すように教える重要なトレーニングです。
以下は、このしつけの具体的な手順になります。

  1. 適切なアイテムの選定:
    最初に、犬が口に持つ適切なサイズと形状の玩具やトレーニング用のアイテムを選びます。

  2. 犬にアイテムを咥えさせる:
    次に、選んだアイテムを犬に咥えさせます。犬が興味を示すアイテムであれば、すぐに咥えるでしょう。

  3. 「出せ!」のコマンドの導入:
    犬がアイテムを咥えた状態で、明確に「出せ!」とコマンドします。
    この際、怒鳴らず、落ち着いたトーンで指示します。

  4. 報酬の提供:
    最初のうちは、犬がアイテムを放す動作に対してすぐに報酬を提供します。
    おやつや褒め言葉を使い、積極的に褒めることが重要です。

  5. 反応がない場合の対処:
    もし犬が「出せ!」に反応しない場合、アイテムを軽く握ってみたり、別のおやつを見せるなどして反応を促します。

  6. 繰り返しの練習:
    「出せ!」のコマンドが一度成功したからといって終わりではありません。
    一貫性と繰り返しの練習が成功への鍵です。
    毎日少しずつ練習を重ね、犬がコマンドに従うまでの時間を徐々に短縮していきます。

  7. 状況を変えての練習:
    しつけが進んだら、異なる場所や異なるアイテムで練習すると良いでしょう。
    これにより、犬はさまざまな状況でコマンドに反応できるようになります。

  8. 強化の継続:
    しつけが完了した後も、時折「出せ!」のコマンドを使用し、犬の反応を強化し続ける必要があります。

「出せ!」のしつけは、犬が安全にアイテムを放す技術を身に付けるために非常に重要です。
忍耐強く、一貫性を持って訓練を行うことで、犬との信頼関係が深まり、共同生活がより円滑に進展します。
最終的には、このコマンドが犬の安全にも寄与する重要なスキルになるでしょう。

まとめ

✔ 成犬になってもトレーニングはあきらめないで
✔ あまりムキにならずに気楽に遊びの延長のつもりで
✔ 集中力が切れたらやめましょう

「出せ(はなせ)」は、口にくわえた物を命令に従って離させるしつけです。
愛犬のタバコなどの毒物を飲み込んでしまうなど健康や命に関わる事や誰かの洋服を噛んでしまうような事故防止の為にも、ぜひ覚えさせたいしつけです。

しつけは物覚えが良い子犬の頃に行わなくてはならないと思われがちです。
人間に怯える保護犬やしつけに失敗した犬たちをトレーニングし直して、見違えるようになった映像を見た事もあるかと思いますが、成犬になっても見捨てないであげて下さい。

あまり必死になって「早く教えなくちゃ」と意固地になってしつけを行うよりも、普段のふとした瞬間や散歩の帰り道などで愛犬と遊ぶつもりで練習した方がうまくいくもんです。
「出せ(はなせ)」のトレーニングは、おもちゃを使って、咥えて、離して、咥えて、離して・・・と遊びのような内容ですので、楽しんで行ってください。
そして、お互いどちらかが集中力が切れてきたら、止めてしまいましょう。

この「出せ(はなせ)」のしつけに関わらず、すべてのしつけはおだやかな気持ちで臨みましょう。
これらのしつけは愛犬とのコミュニケーションが深まり、さらに大切なパートナーにしてくれるものです。

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