犬の横隔膜ヘルニア(おうかくまくへるにあ)

犬の横隔膜ヘルニア~愛犬が吐き気や腹痛などを訴えたりしたら~

犬の横隔膜ヘルニアとは、胸部と腹部とを隔てている横隔膜という筋肉の膜が破れたり裂けたりして、腹部の臓器が傷口から胸の内部に入りこんでしまった状態のことです。
横隔膜(おうかくまく)とは 、肺や心臓のある胸腔(きょうくう)と、胃や腸などがある腹腔(ふっくう)とを分け隔てる膜で、筋肉によってできています。

この横隔膜に損傷が生じてしまうと、腹部の臓器が胸腔内の臓器を圧迫し、呼吸困難などの症状を引き起こします。
これが横隔膜ヘルニアです。
ちなみに「ヘルニア」とは穴や裂け目がない場所に穴ができ、内容物が外に出てしまうことをいい、これが背骨の間に挟まっている椎間板で発生すると椎間板ヘルニア、へそで発生すると臍ヘルニアと呼ばれます。

ここでは、犬の横隔膜ヘルニアの主な原因はもちろん、症状から対処法、かかりやすい犬種などをまとめていますので、是非ご参考になさってください。


  • 犬の横隔膜ヘルニアの主な症状
  • 犬の横隔膜ヘルニアの主な原因
  • 犬の横隔膜ヘルニアの主な治療法

犬の横隔膜ヘルニアの主な症状

犬の横隔膜ヘルニアの主な症状は、吐き気や腹痛などを訴えたり、肺や心臓が圧迫されると咳や呼吸困難などの症状がみられます。
入りこんでいる臓器の状態により無症状の事もありますが、最悪の場合は死に至ることもあります。

主な症状
☆ぐったりして元気がない
☆食欲不振
☆嘔吐
☆腹痛(触られると痛がる)
☆呼吸困難

犬の横隔膜ヘルニアの主な原因

犬の横隔膜ヘルニアの原因には、先天的なものと後天的なものとがあります。
先天的なものでは、生まれつき横隔膜の一部が癒合していないことが原因となります。
後天的なものでは、交通事故や高所からの落下事故による衝撃により外傷が原因となります。

  • 先天来な横隔膜の奇形
    先天的に横隔膜に奇形
    があり、ヘルニアを生じている場合があります。
    この場合、子犬の頃から症状を見せ始めますが、全くの無症状であることも少なくありません。
    かかりやすい犬種は下記の通りです。

    ワイマラナー
    アメリカンコッカースパニエル
    イングリッシュコッカースパニエルです。

  • 外傷
    成犬の横隔膜ヘルニアのほとんどは外傷が原因です。
    交通事故、落下、衝突など、胸部に大きな衝撃が加わるあらゆる外傷が原因となりえます。
    どんな年齢でも発生しますが、外界に対する危機意識が薄く、活動性が高い1歳未満の犬の方が要注意です。

犬の横隔膜ヘルニアの主な治療法

犬の横隔膜ヘルニアの主な治療法は、基本的には手術を行って腹部の臓器を元の位置に戻し、横隔膜の穴を閉じる処置が一般的です。
ただ、先天性の場合や慢性的な経過をたどっており、既に体がその状態に順応している場合は、経過観察で様子を見ることもあります。

  • 経過観察
    目立った症状を示していない軽症の場合は、そのまま何もせず様子見という措置がとられることがあります。

  • 外科手術
    呼吸困難などの症状が出ている重症例では、外科手術による横隔膜の修復が行われることがあります。
    先天性ヘルニアの場合はなるべく早めの手術がよいとされています。
 

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