【完全ガイド】犬の噛み癖をしつけ直す

犬を飼っている上で、最もコントロールしなくてはいけないのが、噛み癖かも知れません。
特に子犬の頃は、われわれ人間の足にじゃれて噛んできたり、机や柱などをいたずらして噛んでしまったり、ぬいぐるみやおもちゃを噛んで壊したりなど、犬と一緒に暮らしているとよく見かける光景かも知れません。
だからと言って、「子犬だから噛んでしまうのだろう」などと諦めてしまっていると、癖になって成犬になっても噛むようになってしまう恐れがあります。

犬の噛み癖のしつけは人や他の動物などへの事故を予防する上でとても大切です。
噛み癖を治すには、あなたの愛犬が噛む理由を知る事が大切です。
必ず何かしらの噛む原因がありますので、そこを理解するようにしましょう。
ここでは、犬が噛む原因と噛み癖がついてしまった犬のしつけ直しについて解説します。



子犬はなぜ甘噛みするのか?

~じゃれているつもりで甘噛みをする~

子犬の頃は、甘噛みをするのはよくある事ではあります。
子犬のうちはまだ力が弱いとは言っても、乳歯が尖っているため、噛まれると痛いです。
歯が痒かったり、遊んでいるつもりで子犬の頃は噛んでいます。
遊んでいるつもりで噛んでいたとしても、子犬のうちからしっかりとしつけを行わないと、噛むことが癖となってしまう事がありますので、しっかりとしつけを行う事が大切です。

成犬が噛む理由

恐怖

特に小さな子供は、力の加減が分からない為、乱暴に撫でてきたり、中には毛を掴んで引っ張ったりする事があります。
そのような場合、びっくりして反射的に噛んでしまう事があります。
これは、危険から自分の身を守るための本能的な行動です。
小さな子供と接する時は、十分に気を付けましょう。

極度のストレス

ストレスが過剰に溜まると、攻撃的になる事がよくあります。
犬はとても順応性の高い動物であり、多くの犬たちはわれわれ人間が決めたルールに従ってくれています。
しかし、いつも留守番をさせられ孤独を感じていたり、狭い空間に閉じ込められたり、運動不足であったりするとストレスを感じることがあります。
それはわれわれ人間も同じですよね。
私たちは、家族の一員である犬たちの幸せを常日頃から考え、接してあげる事が非常に必要です。

反射的行動

寝ている犬のしっぽを飼い主が触れた際に、急に噛んできたりといった場合などがこれに当てはまります。
急な接触に驚いた犬がそれを誰かからの攻撃と思い反射的に噛んでしまう時があります。

病気やケガ

いつも通り優しく撫でようとした際、そこに痛みがある場合、犬は反射的に噛んでしまうこともあります。
いつもの様子とは違ったり、普段はおとなしい犬が噛んでくるようであれば、どこかに問題を抱えている可能性があります。
いずれにしても、気になるような場合は、迷わず動物病院に相談して下さい。

大切なものを守る為

子犬を産んだ母犬が、子犬を抱き上げようとする人間をと子犬を守るために噛むことがよくあります。また、大好きなおもちゃやおやつを取り上げようとすると、噛んでくることもあります。

甘えている

愛犬にとってはじゃれているつもりで噛んでいる場合があります。

また、子犬の頃の甘噛みの癖が残っていて、軽く噛んでいる場合もあります。

犬の噛み癖のしつけについて

 NG例
手にじゃれついて遊んでいた時に噛んできた犬を叩いたり、抑えつけたりする事です。
「人の手=怖い」と認識してしまいます。
それにより、逆に、自分の顔に近づいてくる手を噛み付くようになってしまう恐れがあります。

まずは「犬のしつけの基本理論」をしっかりと理解しておいて下さい。⇒犬のしつけの基本

また犬の集中力は10分~15分程度です。
集中力が無くなってきたと感じたら、潔くしつけを中断しましょう。

犬の観察

犬がどんな時に噛んでいるのかを日ごろから観察しましょう。
自分のしっぽや手を噛むのか?
人間の手を噛んでくるのか?
その時の状況はどうなのか? などを見て、愛犬が噛む原因を確認しましょう。
また、何でも口に入れ噛んでしまう場合は、下記でも説明していますが、歯牙脱換期の可能性があります。

しつけの準備

ごほうびの中でも特に重要となるのがおもちゃです。
「人間の手なんかよりも遥かに面白い!」と思わせるため、魅力的なものをなるべくたくさん用意しておく必要があります。
犬の好みやその日の気分にとってベストなおもちゃは変わりますので、様々な種類を用意しておいたほうがよいでしょう。
ただし子犬の歯はまだ小さく成犬のものに比べてもろいため、プラスチック、木、生皮(ローハイド)などあまりにも固いものは避けてください。
また安くあげようとタオルやスリッパなど日用品で代用しないで下さい。
「日用品は噛んでよい」と勘違いしてしまいます。

愛犬のお気に入りのおもちゃを探す

愛犬がどんなおもちゃに興味を示すかは、実際に与えてみなければ分かりません。
愛するワンちゃんの為には、それ位の労力を惜しまずに与えて欲しいです。
その愛情はきっと愛犬にも伝わります。
飼い主と愛犬の絆とはそういうものだと思います。

下記に手頃な価格で様々なおもちゃを扱っているサイトです。
参考までにどうぞ。

愛犬のおもちゃを探す⇒外部リンク:犬の通販デパート ニコシティ

歯牙脱換期を理解する

下記の時期が「歯牙脱換期」(しがだっかんき)と呼ばれ、口の中がむずむずするため、何でも口に入れたがります。
この時期の子犬にとっては、何か噛む事はごく自然なことで、必要なことでもあります。
ですからかじらないようにするのではなく、噛んでもよい物だけを口に入れるようにしてあげましょう。

時期 状況
生後3週目ごろ 乳歯が生え始める
生後2ヶ月 乳歯が生え揃う
生後4~5ヶ月 乳歯から永久歯に生え替わり始める
生後7~8ヶ月 永久歯が生え揃う
※犬の乳歯:通常上に14本と下に14本の合計28本

他の犬を噛む場合

子犬が同居する他の犬を噛む場合
子犬たちはじゃれあいの中でお互いを噛み合い、どの程度の力で噛むと相手が痛がるのかを学んでいきます(噛み付き抑制)。

子犬に兄弟がいない場合
パピークラス(パピーパーティ)という教室が開催されていますので、参加することをも考えましょう。

特定の物を噛む場合

子犬がある特定のものを噛む場合
噛んで欲しくないものを、子犬が届かないところに隠してしまいましょう。
そのかわりに、子犬にとって魅力的なおもちゃを幾つか用意してあげてください。

子犬が人間の手を噛む場合
「手で子犬をあやしてきた」という事が原因になっている事が非常に多いです。
これは「人間の手=おもちゃ」と認識してしまいます。
この場合のしつけ方法は下記の通りです。

片手におもちゃを持ち子犬と遊ぶ
→子犬のテンションが上がって人間の手や足に甘噛みしてくる
→飼い主はリアクションせず黙って、用意していたおやつを子犬の鼻先に近付ける
→子犬がおやつを食べようとに口を開ける
→その瞬間、「いいこ」とほめ、おやつをあげる

※注意:
子犬の噛み癖に限らず、しつけの際に重要なのが一貫性です。
家族間や良く遊ぶ友人全員が同じ方針で子犬と接する必要があります。

人の手を怖がる場合

飼い主やドッグトレーナーが、「しつけ」のつもりで体罰を行ってきたような場合、犬が「人の手=怖い」と認識してしまい、近づいてきた手を噛んでしまうことがあります。
この「ハンドシャイ」と呼ばれる状態を直すためには、「人の手=怖くない」という事を徹底的に教えこむ必要があります。
詳しくは「ボディコントロールのしつけ」の「ハンドシャイをなおす」を参照して下さい。

犬が自分のしっぽを噛む場合

時たま、自分のしっぽを追いかけてぐるぐる回る犬を見かける事がりますよね。
犬は動くものを追いかける本能的な行動として、自分のしっぽを追いかけることがあります。
ただし、あまりにもしつこく行っている場合、しっぽに噛みつき、傷をつけてしまう事があるので注意が必要です。
また、しっぽやお尻に、かゆみや痛みなど違和感がある場合も、ぐるぐる回るしぐさをするので、注意しましょう。

犬が自分の手を噛む場合

ストレスが原因で自分の手足をなめたり噛んだりする場合が多々あります。
手を噛んでいる場合は、指先や指の間や爪の根本・骨に傷や炎症がある場合があります。
普段目の届きにくい場所なので、犬が自分の手を噛んでいたらよく見てあげましょう。
そのような時は、十分に愛情を注げていない可能性があります。
もっと触れ合う時間を増やし、散歩の時間も増やすなどしてあげて下さい。
ワンちゃんはそれだけで、とても幸せなのです。

犬の噛み癖矯正スプレーについて

犬の噛み癖を防止するためのグッズとして、スプレーがあります。
これは「苦味」などを与える事で噛み癖を矯正する狙いですが、愛する犬に対して苦痛を与える点からもお勧めしません。

口輪について

犬の噛み癖を防止するためのグッズとして、マズルとも呼ばれる口輪があります。
これはドイツなどで広く使われていたりしてはおりますが、こちらもお勧めしません。
犬は「パンティング」と呼ばれる口を開けて呼吸をする事で体温調整をする動物です。
犬たちの健康を著しく害する恐れがありますので、なるべく避けるか、どうしても使用が必要な時には、十分に注意しましょう。

まとめ

✔ 一貫性を持ってしつけを行う
✔ しつけをする上で叩いたり、抑えつけたりしない
✔ 犬の噛む力は人間の10倍

犬の噛み癖をしつけする上で、なかなか治らない原因として圧倒的に多いのは、しつけ方法に一貫性が無い事です。
ある1人の人間が時と場合によってしつけの方針をコロコロ変えるというパターンと、家族のメンバー間でしつけ方針がまちまちというパターンとがあります。
もう一度しつけの基本方針に立ち返り、一貫性が保たれているかどうか確認してみましょう。

犬が噛むには必ず理由があります。
ただ闇雲に叱るのではなく、愛犬の事を理解してあげて下さい。
心穏やかに愛犬と向き合うことによって、愛犬もわれわれ飼い主の気持ちを理解し、信頼感も高まっていくでしょう。

犬の噛む力は大変強く、小型犬でも人間の4~5倍もの強さです。
大型犬にもなると、10倍以上になります。
大きなトラブルに発展してしまう可能性もありますので、必ず対応するようにしましょう。
もし、自分だけではしつけが難しいようであれば、迷わずプロのドッグトレーナーにお願いする事も考えて下さい。

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