犬の舐性皮膚炎~ケガや赤みなどが無い場所を執拗になめていたら~
舐性皮膚炎(しせいひふえん)は、皮膚の同じ箇所を繰り返し舐め続けることで炎症を起こしてしまった状態を言います。
一般的には、足先に起こりやすい皮膚炎です。
その原因の多くはストレスです。その場合は、ストレスを取り除いてあげるよう環境改善が必要になってきます。
多くの場合、口が届きやすい前足の甲が対象となるため、「肢端舐性皮膚炎」(したんしせいひふえん)と呼ばれますが、前足の上面(人間でいう前腕)、太ももの裏、肘、足の甲といった部分が舐性皮膚炎となることもあります。
ここでは、犬の舐性皮膚炎の主な原因はもちろん、症状から対処法などをまとめていますので、是非参考になさって下さい。
- 犬の舐性皮膚炎の主な症状
- 犬の舐性皮膚炎の主な原因
- 犬の舐性皮膚炎の主な治療法
犬の舐性皮膚炎の主な症状
主な症状 |
☆犬が執拗に同じ場所を舐め続ける |
☆脱毛 |
☆皮膚の炎症 |
☆皮がめくれる |
☆骨が露出する |
犬の舐性皮膚炎の主な原因
犬は痛みやかゆみがある場所を舐める習性があります。
特にケガや赤みなどが無い場所を執拗になめている場合は、その部位の奥の内臓や関節に病気が隠れている可能性があります。
また、精神的ストレスからなめている可能性があります。
不安を紛らわすため、飼い主さんの気をひくためということもあります。
- 怪我、かゆみ
虫刺され、接触性アレルギー、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎、怪我、かゆみ、痛みといった何らかの刺激が皮膚に加わり、ペロペロと舐めているうちに止められなくなってしまうというケースがあります。 - ストレス
外につなぎっぱなしにしている、散歩に連れて行かない、留守番ばかりさせている、同居犬との折り合いが悪いなど、犬にとってストレスになるようなことがあると、同じ行動を繰り返してしまうということがあります。
重症の場合は強迫神経症(きょうはくしんけいしょう)という精神病の一種とみなされることもあります。 - 脳の異常
脳内に何らかの病変があると、ある一つの行動に対して抑制が効かなくなるということもあります。
「大脳辺縁系」のうち、基底神経節や尾状核の異常が関係しているとされていますが、いまだに詳しい因果関係は分かっていません。 - 甲状腺機能低下症
特に黒色のラブラドールレトリバーでは、甲状腺機能低下症が発症原因の一つとして考えられています。
犬の舐性皮膚炎の主な治療法
- 皮膚炎の治療
ひとまず皮膚炎に対する治療が行われます。
具体的には患部をレーザーで焼き切る、患部の刺激を和らげる薬剤を塗布する、抗生物質を投与するなどです。 - 基礎疾患の治療
食品アレルギー、接触性アレルギー、アトピー性皮膚炎といった皮膚病が基礎疾患としてある場合は、それらの病気を治療することが優先です。 - ストレスの原因の排除
屋外飼育、ニグレクト(散歩に連れて行かなかったり、適度なスキンシップを取らないなど、ペットを無視するような行動全般)、長時間の留守番等、犬にとってストレスの原因と思われる要因を排除します。 - エリザベスカラー
なめた部分が化膿したり骨が露出しているような場合は、これ以上症状が悪化しないよう、エリザベスカラーなどを装着して物理的な接触を遮断します。 - 舐める部位を覆い隠す
前足を包帯、ギブスなどで隠してしまうという方法もあります。
しかし根本的な衝動がなくならない限り、こうした遮蔽物の上からなめ続けるということもしばしばです。
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