犬の会陰ヘルニア(えいんへるにあ)

犬の会陰ヘルニア~肛門の周囲が膨らみ、便が出にくくなったりしたら~

犬の会陰ヘルニア(えいんへるにあ)とは、肛門の周囲を覆っている骨盤隔膜(こつばんかくまく)と呼ばれる膜に異常があり、お腹の中の臓器や脂肪が外側に飛び出してしまった状態のことです。
会陰ヘルニアには、臓器の脱出部位によって「坐骨型」、「腹側型」、「背側型」、「尾側型」という4タイプがありますが、最も多いのが「尾側型」です。
これは、しっぽに沿って走っている「尾骨筋」(びこつきん)、「肛門挙筋」(こうもんきょきん)と、肛門の周囲をぐるっと取り囲んでいる「外肛門括約筋」(がいこうもんかつやくきん)の間でヘルニアが生じる状態を指します。
外に飛び出す臓器は、脂肪組織、直腸、膀胱などいろいろです。
おなかの前方にあるはずの膀胱が出てしまった場合は、締め付けによっておしっこが出なくなり、より重篤な症状につながりやすくなります。

好発年齢は5歳以上とされます。
また、似た外観を示すものとして肛門嚢炎がありますが、会陰ヘルニアは一般的に、肛門嚢炎よりもはるかに大きなコブを形成します。

ここでは、犬の会陰ヘルニアの主な原因はもちろん、症状から対処法、かかりやすい犬種などをまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。


  • 犬の会陰ヘルニアの主な症状
  • 犬の会陰ヘルニアの主な原因
  • 犬の会陰ヘルニアの主な治療法
  • 犬の会陰ヘルニアの予防

犬の会陰ヘルニアの主な症状

犬の会陰ヘルニアの主な症状は、 肛門の周囲が膨らみます。
多くの場合、うんちが出にくくなったり、尿が出にくいなどの症状が見られます。
犬の会陰ヘルニアの主な症状は以下です。

主な症状
☆会陰部のふくらみ
☆うんちが出にくい(しぶり)
☆おしっこが出にくい
尿毒症(膀胱の場合)

犬の会陰ヘルニアの主な原因

犬の会陰ヘルニアの原因は、男性ホルモンが関与しているといわれ、未去勢の中高齢の雄の犬で多く発生します。

  • かかりやすい犬種
    会陰ヘルニアを発症しやすい犬種が確認されていますので、遺伝が何らかの関わりを持っている可能性があります。
    具体的なかかりやすい犬種は下記の通りです。

    ボストンテリア
    コリー
    ボクサー
    ペキニーズなどです。
    また、症例の95%がオスだとされています。

  • 原因不明
    会陰ヘルニアのは多くの場合原因不明です。
    骨盤筋が生まれつき弱い、性ホルモンのアンバランス、筋肉内におけるホルモンレセプターの障害、前立腺疾患などが考えられています..
    しかし、詳しい発症のメカニズムはよくわかっていません。

犬の会陰ヘルニアの主な治療法

犬の会陰ヘルニアの治療は、手術によって飛び出した臓器を元の状態に戻し、筋肉の隙間をふさぐ治療がほとんどとなります。
また、再発防止のために、同時に去勢手術を行います。

  • 外科的治療
    発症部位を修復するような外科手術
    が施されます。
    具体的には、結腸や膀胱をおなかの中に固定する手術や、筋肉の裂け目を縫ってしまう手術などです。
    また、男性ホルモンが何らかのかかわりを持っている可能性があるため、去勢手術も併せて行われます。

  • 抗生物質の投与
    傷口における二次感染を予防するため、抗生物質が投与されることもあります。

  • 便軟化剤の投与
    直腸に便がたまってヘルニアを起こさないよう、うんちを柔らかくする便軟化剤が投与されることもあります。

犬の会陰ヘルニアの予防

犬の会陰ヘルニアの予防としては、男性ホルモンが関係していると言われているので、若いうちに去勢をすることにより予防につながります。

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