犬の耳疥癬~愛犬に黒っぽい耳垢がたまり、悪臭を放っていたら~
犬の耳疥癬(みみかいせん)とは、の耳の中で小さなダニが繁殖し、痒みや炎症を引き起こす病気です。
時には「耳ダニ症」とも呼ばれます。
この病気は非常に感染力が強く、犬たちの快適な生活を大きく脅かすものです。犬の耳疥癬について学び、その症状や治療法、予防策を理解することで、愛犬の耳の健康を守り、彼らの苦痛を軽減することができます。
ここでは、犬の耳疥癬の主な原因はもちろん、症状から対処法などをまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。
さあ、犬の耳疥癬について詳しく学びましょう!
犬の耳疥癬の主な症状
犬の耳疥癬の代表的な症状は、黒っぽい耳垢がたまり、悪臭を放ちます。
感染していまうと、耳掃除をしたとしてもすぐに耳垢がたまってきます。
また、激しい痒みが特徴で、しきりに耳を掻いたり頭をぶるぶる振ったりするのが特徴です。
犬の耳疥癬の主な症状は以下の通りです。
- かゆみ: 寄生虫が耳の中で繁殖することで、犬は強いかゆみを感じ、耳を掻いたり、頭を振ったりします。
- 赤みや腫れ: 耳の内部や外側が赤く腫れあがることがあります。
- 耳垢の増加: 黒っぽい耳垢や異常な分泌物が増え、耳の中が汚れて見えることがあります。
- 悪臭: 耳の中に異常な臭いが発生することがあります。これは細菌や酵母の感染が原因であることが多いです。
- 耳の痛み: 犬が耳に触られることを嫌がる、耳周辺を舐める、噛むなどの行動が見られることがあります。
- 聴力の低下: 重度の感染や炎症が聴力に影響を与えることがあります。
これらの症状が現れた場合、獣医師の診察を受けることが重要です。
早期発見と適切な治療が、犬の耳疥癬からの回復に役立ちます。
犬の耳疥癬の主な原因
耳垢をエサにする体長0.5mm程度のミミヒゼンダニやオトデクトス・シリクラルム(耳ダニ)というダニが、外耳道の皮膚に寄生する事によって発症します。
これらのダニに感染している犬と接触することによって感染します。
犬の耳疥癬の主な原因は以下の通りです:
- 寄生虫: オトデクトス・シリクラルムという耳ダニが耳の中に寄生し、炎症やかゆみを引き起こします。
- 他の感染: 耳ダニの寄生による炎症が、細菌や酵母の感染の引き金となることがあります。
- アレルギー: 食物や環境に対するアレルギーが、耳疥癬の原因となることがあります。
- 免疫力の低下: ストレスや病気による免疫力の低下が、耳ダニの繁殖を促進し、耳疥癬を引き起こすことがあります。
- 耳の構造: 犬種によっては、耳の形状や皮膚の特徴が耳疥癬にかかりやすい環境を作ることがあります。
例えば、垂れ耳の犬種は通気性が悪く、湿気がこもりやすいため、耳疥癬になりやすい傾向があります。
また、症状が現れた場合は早めに獣医師に相談し、適切な治療を受けることが大切です。
犬の耳に寄生するのは主としてミミヒゼンダニと呼ばれる体長0.3mm~0.5mmのダニです。
紛らわしいものとして疥癬を引き起こすイヌセンコウヒゼンダニがいますが、こちらが全身に寄生するのに対し、ミミヒゼンダニは主に耳の中に寄生するという特徴があります。
栄養源は耳の中の耳垢や傷ついた皮膚のカサブタ、リンパ液、血液などです。
イヌセンコウヒゼンダニのように皮膚を食い破って中に侵入することはないものの、耳垢を分泌する腺組織を刺激するため、耳の中が次第に耳垢とダニの排せつ物で埋め尽くされていきます。
かゆみを引き起こしているのは、ダニが血を吸うときに付けた小さな傷と、その傷口に集まってきた免疫細胞が放出する各種の化学物質です。
耳疥癬の予防には、定期的な耳掃除や適切なケアが重要です。
下記の事に十分に留意するようにして下さい。
- 耳掃除不足
飼い主が耳の手入れを怠ると、耳の中に耳垢がたまり、ミミヒゼンダニにとって住みやすい環境が整ってしまいます。
また日常的に耳の中をチェックしないことは、ダニの感染を見落とすことにもつながります。 - 不衛生な環境
ミミヒゼンダニはすでに感染している動物から他の動物へと容易に移ります。
不衛生な環境における多頭飼育が増悪因子です。
犬の耳疥癬の主な治療法
犬の耳疥癬の主な治療法は、以下のようなものがあります。
まず、獣医師の診断が必要です。
その後、獣医師が指示する治療法に従ってください。
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耳掃除:
まずは感染している耳の掃除が重要です。
耳の分泌物やダニの死骸を取り除くことで、治療薬が効果的に働くようになります。
獣医師が指示する方法で、適切な耳掃除液を使用して耳を丁寧に掃除してください。 -
抗寄生薬:
獣医師が処方する抗寄生薬を使用して、耳ダニを駆除します。
薬は通常、点耳薬の形で提供され、感染している耳に直接投与します。
獣医師の指示通りに、定期的に薬を使ってください。通常、数週間の治療が必要です。 -
抗炎症薬・抗菌薬:
耳の炎症や感染がひどい場合、獣医師は抗炎症薬や抗菌薬を処方することがあります。
これらの薬は、症状を緩和し、感染が治るのを助けます。 -
全身的治療:
重度の感染や他のペットへの感染拡大のリスクがある場合、獣医師は全身的な治療法を検討することがあります。
これには、経口投与される抗寄生薬や、皮膚に塗布する抗寄生薬などが含まれます。 -
予防措置:
耳疥癬が完全に治った後も、再発を防ぐために予防措置が重要です。
定期的な耳掃除やペット同士の接触を適切に管理し、獣医師の指示に従ってください。
犬の耳疥癬は、適切な治療を行えば完治することが多いです。
ただし、獣医師の指示に従い、治療期間中も注意深くケアを続けてください。
犬の耳疥癬の治療に使用される具体的な治療薬は、以下のようなものがあります。
ただし、これらの薬は獣医師の処方箋が必要ですので、まずは獣医師に相談してください。
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セラメクトイン(Selamectin):
セラメクトインは、ダニやノミを駆除するために使用される薬です。
首筋など皮膚に塗布するタイプの薬で、1か月ごとに使用します。 -
モキシデクチン(Moxidectin):
モキシデクチンは、ダニやノミ、回虫などの寄生虫を駆除するために使用されます。
経口投与または皮膚に塗布するタイプの薬があります。 -
イベルメクチン(Ivermectin):
イベルメクチンは、ダニやノミ、回虫、フィラリアなどの寄生虫を駆除するために使用されます。
経口投与または皮膚に塗布するタイプの薬があります。
ただし、一部の犬種では副作用が報告されているため、獣医師と相談して使用してください。※コリー、シェットランドシープドッグ、オールドイングリッシュシープドッグ、オーストラリアンシェパードといった犬種においては、遺伝的に重い副作用を引き起こすことがありますので慎重に考慮します。
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フィプロニル(Fipronil):
フィプロニルは、ノミやダニを駆除するために使用される薬です。皮膚に塗布するタイプの薬で、1か月ごとに使用します。 -
オタクト・ミット(Otodectes mitis)耳ダニ駆除薬:
オタクト・ミットは、耳ダニを駆除するために開発された点耳薬です。
感染している耳に直接投与し、獣医師の指示通りに使用します。
これらの薬は、獣医師の指示に従って正しく使用することが重要です。また、他のペットや家族に感染が広がらないように、環境の清潔さにも注意してください。
犬の耳疥癬の予防
犬の耳疥癬を予防するためには、以下のようなことに注意しましょう。
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定期的な耳のチェック:
犬の耳を定期的に観察し、異常がないかチェックしましょう。
耳の中が赤くなっていたり、異臭があったり、ダニが見える場合は、すぐに獣医師に相談してください。 -
適切な耳掃除:
犬の耳は、過度な湿気や汚れがたまると、ダニや細菌の繁殖につながることがあります。
定期的に耳掃除を行い、耳の中を清潔に保ちましょう。
ただし、過度な掃除は逆に炎症を引き起こすことがあるため、獣医師に指導を受けて正しい方法で行ってください。 -
他のペットとの接触制限:
耳疥癬は他のペットに感染する可能性があります。
感染した犬がいる場合は、他のペットとの接触を制限しましょう。
また、ペット同士の共有物(ベッドやブラシなど)にも注意が必要です。 -
ストレスの軽減:
ストレスは、犬の免疫力を低下させることがあります。
犬がストレスを感じないように、適切な運動や遊び、安定した環境を提供しましょう。 -
定期的な健康診断:
犬の健康状態を維持するために、定期的な健康診断を受けさせましょう。
これにより、耳疥癬や他の病気の早期発見・対処が可能になります。
これらの予防策を実践することで、犬の耳疥癬を予防し、健康な耳を維持することができます。
何か異常を感じたら、すぐに獣医師に相談しましょう。
まとめ
犬の耳疥癬は、耳に住むダニが引き起こす病気で、かゆみや赤み、腫れなどの症状があります。
このダニを退治するために、獣医さんに診てもらって耳掃除や薬を使います。
予防のためには、定期的に耳をチェックし、きちんと掃除をして、ストレスを減らすことが大切です。
これで、愛犬の耳を健康に保つことができます!
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