犬の耳疥癬~愛犬に黒っぽい耳垢がたまり、悪臭を放っていたら~
犬の耳疥癬(みみかいせん)とは、耳の中でダニが繁殖した状態を言います。「耳ダニ症」とも呼ばれます。
犬の耳に寄生するのは主としてミミヒゼンダニと呼ばれる体長0.3mm~0.5mmのダニです。紛らわしいものとして疥癬を引き起こすイヌセンコウヒゼンダニがいますが、こちらが全身に寄生するのに対し、ミミヒゼンダニは主に耳の中に寄生するという特徴があります。
栄養源は耳の中の耳垢や傷ついた皮膚のカサブタ、リンパ液、血液などです。
イヌセンコウヒゼンダニのように皮膚を食い破って中に侵入することはないものの、耳垢を分泌する腺組織を刺激するため、耳の中が次第に耳垢とダニの排せつ物で埋め尽くされていきます。
かゆみを引き起こしているのは、ダニが血を吸うときに付けた小さな傷と、その傷口に集まってきた免疫細胞が放出する各種の化学物質です。
ここでは、犬の耳疥癬の主な原因はもちろん、症状から対処法などをまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。
- 犬の耳疥癬の主な症状
- 犬の耳疥癬の主な原因
- 犬の耳疥癬の主な治療法
- 犬の耳疥癬の予防
犬の耳疥癬の主な症状
犬の耳疥癬の代表的な症状は、黒っぽい耳垢がたまり、悪臭を放ちます。
感染していまうと、耳掃除をしたとしてもすぐに耳垢がたまってきます。
また、激しい痒みが特徴で、しきりに耳を掻いたり頭をぶるぶる振ったりするのが特徴です。
主な症状 |
☆耳の黒ずみ |
☆耳から悪臭が漂う |
☆耳垢がたまる |
☆耳をかく |
☆頭を振る |
犬の耳疥癬の主な原因
耳垢をエサにする体長0.5mm程度のミミヒゼンダニというダニが、外耳道の皮膚に寄生する事によって発症します。
ミミヒゼンダニに感染している犬と接触することによって感染します。
- 耳掃除不足
飼い主が耳の手入れを怠ると、耳の中に耳垢がたまり、ミミヒゼンダニにとって住みやすい環境が整ってしまいます。
また日常的に耳の中をチェックしないことは、ダニの感染を見落とすことにもつながります。 - 不衛生な環境
ミミヒゼンダニはすでに感染している動物から他の動物へと容易に移ります。
不衛生な環境における多頭飼育が増悪因子です。
犬の耳疥癬の主な治療法
耳垢をきれいに取り、ミミヒゼンダニの駆除を行います。
治療には1カk月程度かかることもあります。
- 薬剤塗布
まずたまった耳垢を洗浄剤を用いてきれいに除去します。
その後耳用の抗ダニ薬を局所的に塗布します。 - 薬剤投与
殺疥癬効果のある薬を投与します。
具体的にはセラメクチン、ミルベマイシン、イベルメクチンなどです。
セラメクチンに関しては、スポット式の薬剤(レボリューションなど)が流通しており、首筋に垂らすだけで治療効果が期待できます。
最後に挙げたイベルメクチンに関しては、フィラリアを保有している犬には使えません。
またコリー、シェットランドシープドッグ、オールドイングリッシュシープドッグ、オーストラリアンシェパードといった犬種においては、遺伝的に重い副作用を引き起こすことがありますので慎重に考慮します。
犬の耳疥癬の予防
- 日常的に犬の耳の中をチェックしてあげることが予防につながります。
また仮に感染してしまっても、早期に発見できればそれだけ症状の悪化を食い止めることができます。
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