犬の多発性筋炎~愛犬が急に筋肉がやせて起き上がれなくなったら~
犬の多発性筋炎とは、遺伝的な要因により皮膚や体を動かす筋肉である複数の骨格筋に炎症を起こしてしまった状態のことです。
皮膚症状が強い場合は「皮膚筋炎」とも呼ばれます。
炎症が何によって引き起こされているのかはよく分かっておらず、免疫系統の乱れ、感染症、腫瘍などの可能性が考えられています。
多くの場合、生後6ヶ月ごろまでに股間やわきの下に皮膚炎症状が見られますが、他の疾患との鑑別が難しいとも言われます。
ここでは、犬の多発性筋炎の主な原因はもちろん、症状から対処法、かかりやすい犬種などをまとめていますので、是非ご参考になさってください。
- 犬の多発性筋炎の主な症状
- 犬の多発性筋炎の主な原因
- 犬の多発性筋炎の主な治療法
犬の多発性筋炎の主な症状
どの部位の筋肉に筋炎が起こるかによって、症状は異なります。
筋肉に痛みが出ることもあれば、出ないこともあります。
主な症状 |
☆成長が遅い |
☆食道アカラシア |
☆元気がない |
☆筋肉の萎縮 |
☆食事が遅い |
☆不妊 |
☆皮膚炎(耳、顔、唇、しっぽ、骨の突出部) |
☆脱毛(生後12週ごろから) |
☆かさぶた |
犬の多発性筋炎の主な原因
多発性筋炎は、特発性と呼ばれる検査によっても原因が特定できないものと、または自己免疫の異常により筋肉の疾患に分類されます。
- かかりやすい犬種
コリーやシェットランドシープドッグ(シェルティー)、もしくはその血統が入った混血犬に多く発症します。
また、チャウチャウ、ジャーマンシェパード、ミニチュアシュナウザー、ミニチュアダックスフントなどでも似たような症例が報告されています。 - 病原菌
発症した犬を生体検査すると、ウイルスのような微粒子を確認できることから、何らかの病原性生物が関わっているのではないかと推察されています。
具体的には、トキソプラズマ、ネオスポラ、ヘパトゾーン、エールリヒアなどです。
犬の多発性筋炎の主な治療法
- 対症療法
多発性筋炎に対しては効果的な治療法が無いため、症状の軽減を優先するような対症療法が施されます。
具体的には皮膚炎に対する抗炎症薬の投与などです。 - 投薬治療
免疫の異常が認められるので、免疫抑制剤であるプレドニゾロンなどを投与します。
ほとんどの場合、免疫抑制剤の投与により、状態は改善します。 - 自然治癒
症状が軽いものの中には1歳になる頃までに自力で回復するものもいますが、本症は優性遺伝するため、病因遺伝子を保有した両親から生まれた子犬は、ほぼ全て多発性筋炎にかかります。
ですから回復したかしないかにかかわらず、本症を発症した個体を繁殖計画からはずす必要があります。
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