犬の骨髄炎(こつずいえん)

 骨の中にある骨髄と呼ばれる組織に病原体が侵入し、炎症が発生した状態のことです。
 骨は通常、緻密骨(ちみつこつ)と海綿骨(かいめんこつ)から構成されています。前者は骨の外側を取り巻く頑丈な骨のことで、骨組織が緻密に張り巡らされています。後者は骨の内側にある網の目のような骨のことで、骨梁(こつりょう)と呼ばれる小さな柱状の骨が三次元的に組み合わせることで内部を補強しています。

 通常であれば、緻密骨によって保護されている骨の内腔、すなわち髄腔(ずいくう)に病原体が入ってくる事はありません。しかし骨に傷が付き、外界と髄腔とを結び付けるトンネルができてしまうと、病原体が内部に侵入し、髄腔内を埋め尽くす骨髄に取り付いてしまうことがあります。このようにして発症するのが「骨髄炎」です。

 仮に病原体が骨髄内に侵入しても、ほとんどの場合は臨床症状を示す事はありません。しかし病原体に、周辺組織の損傷、骨の壊死、骨折の不安定化、免疫力の低下、異物、外科的なインプラントといった他の要因が加わると、激しい炎症が起こり骨髄炎に発展してしまいます。


  • 犬の骨髄炎の主な症状
  • 犬の骨髄炎の主な原因
  • 犬の骨髄炎の主な治療法
  • 犬の骨髄炎の予防

犬の骨髄炎の主な症状

主な症状
☆発熱
☆元気がない
☆運動を嫌がる

 骨髄炎を発症した際には、発熱が起き、元気がなくぐったりとした様子を見せるようになります。また、炎症を起こした患部に痛みが伴いますので、歩き方がぎこちなくなったり、運動を嫌がるようになります。さらに、痛みがある患部を触られることを嫌がるようになるといった症状も見られるようになります

犬の骨髄炎の主な原因

  • ケガによる骨髄炎
    出血を伴うような骨折や、骨膜に達するような傷があると、傷口から病原体が入り込み、さらに骨の亀裂部位から骨髄内へと侵入して骨髄炎を引き起こします。具体的には、高い場所からの落下、交通事故、他の犬との出血を伴うような激しいケンカなどです。
    その他にも、歯周病や手術などによる細菌の侵入なども原因になっています。
  • 母子感染による骨髄炎
    他の組織の病原体
    が、血液に乗って骨髄にやってくる事があります。このパターンは成犬よりも子犬に多く、ほとんどのケースはへその緒からの病原体侵入です。
     
  • 免疫力低下による骨髄炎
    免疫力が低下
    していると、通常であれば抑えられるはずの病原体の繁殖を抑えこむことができず、激しい炎症につながってしまうことがあります。

犬の骨髄炎の主な治療法

 骨髄炎は細菌が何らかの原因で骨髄に侵入し感染して起こります。ほとんどの場合、抗生物質の投与で完治しますが、長期間の内服が必要になると考えておいた方が良いでしょう。
 ただし、内科的な治療で症状が良くならないときには、手術が必要になります。
 骨の壊死などもおこることもありますので、できるだけ早期に治療を行なうことが重要です。

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  • 投薬に因る治療
    病原体を特定し、それに対応した薬剤を投与
    することがメインとなります。病原体として圧倒的に多いのはブドウ球菌で、これが全体の50%程度です。その他まれなケースとしては、アクチノミセス、コクシジオイデス、ヒストプラズマ、ブラストミセスといったものがあります。

  • 手術に因る治療
    骨折の治癒過程が正常に起こらなかった場合には、外科手術が行われることもあります。具体的には、壊死した骨組織である「腐骨」の切除や、炎症を引き起こしているインプラントの除去などです。

犬の骨髄炎の予防

 骨髄炎といのものは、病原菌が骨の内部に侵入することにより、発症する病気です。つまり、病気の発症を未然に防ぐようにする事で骨髄炎を予防する事につながります。歯周病も原因になる一つですので、日々の歯磨きもきちんと行いましょう。

 骨髄炎の予防を行う上で最も重要な事は免疫力を低下させないということです。骨髄の内部に病原菌が侵入してしまった際にも、免疫力が良好な状態であれば、骨髄炎の発症は抑えることができます。ですから、愛犬にとってストレスになってしまう状況をできるだけ減らし、愛犬にとって良好な環境を作る事を意識してあげましょう。

それに加えて、ワンちゃんが事故やケガなどで外傷や骨折などのケガをしないようにすることも骨髄炎の予防にも役にたちますので、そちらについても散歩や遊びの際には特に注意するようにしましょう。

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