犬の気管支炎

 外から吸い込んだ空気の通り道である気管に炎症が発生した状態を言います。
 気管とは、のどと肺を結ぶ管のような器官で、C字形の軟骨が連続して外側を囲み、首の動きに合わせて柔軟に変形するようにできています。この気管から枝分かれした部分が気管支(きかんし)です。

 気管支に炎症が起こると、表面やその下にある組織が腫れ、管の直径が狭くなってしまいます。その結果、空気の通りが悪くなり、酸素と二酸化炭素の交換がうまくいかなくなります。
 突然発症した後で元の状態に戻る場合は「喘息発作」、症状が2ヶ月以上だらだらと続いている場合は「慢性気管支炎」と呼ばれます。

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主な症状
☆痰を伴わない咳
☆咳の後の吐くそぶり
☆食欲不振
☆ぐったりして元気がない
☆呼吸困難
☆運動を嫌がる
☆失神(重症例)

 

犬の気管支炎の主な原因

  • 感染症 ウイルスや細菌に感染することで気管に炎症が発生することがあります。たとえば免疫力の弱い子犬がイヌアデノウイルII型、イヌパラインフルエンザウイルス、イヌヘルペスウイルスなどによるケンネルコフにかかると、その症状の一つとして気管支炎を発症します。また歯周病が症状を悪化させることもあります。
  • 寄生虫症 線虫類の幼虫が気管に入り、炎症を引き起こすことがあります。具体的にはフィラリア、気管寄生線虫、毛細線虫などです。
  • 異物の誤飲・吸引 本来口に入れるべきではないものを誤飲・誤食し、それが気管支に間違って入り込んでしまったり、あるいは刺激性のあるガスや煙などの毒物を吸引することで気管に傷が付き、炎症を引き起こすことがあります。
  • 揮発性有機化合物 目に見えない状態で室内を漂う揮発性有機化合物が気道に刺激を与えている可能性もあります。揮発性有機化合物(きはつせいゆうきかごうぶつ, VOC, Volatile Organic Compounds)とは常温で蒸発し、気体となる有機化合物の総称です。この物質は化学物質過敏症や内分泌かく乱といった症状を引き起こし、環境中のあらゆるものから放出されていますが、目には見えないため原因として見過ごされる傾向があります。慢性気管支炎の多くが原因不明とされている理由はここにあるのかもしれません。

 

犬の気管支炎の主な治療法

  • 別の疾病によって気管支炎が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。例えばウイルスに感染しているときは抗生物質、寄生虫に感染しているときは駆虫薬を投与するなどです。また歯周病を患っている場合は、こちらも合わせて治すようにします。
  • 疾患の原因を取り除くよりも、症状の軽減を目的とした治療が施されます。具体的には酸素吸入、咳止め薬や気管支拡張薬の投与などです。
  • 気管支炎が毒物の摂取や誤飲誤食によって引き起こされた場合は、再発を予防する目的で生活環境を改善します。また肥満は症状を悪化させる一因ですので、体重が重すぎる場合はダイエットをすることも効果的です。犬の前でタバコを吸わないのはもちろんのこと、環境中に漂う目に見えない揮発性化合物が原因になっていそうな場合は、こうした物質の発生源をひとつずつつぶしていくようにします。気管に対する外からの刺激が咳を誘発することもあるため、散歩する際は首輪ではなくハーネス(胴輪)を用いるよう注意します。

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