犬の細菌性腸炎~愛犬の食欲が無くなったり、下痢をしていたら~
犬の細菌性腸炎とは、細菌によって腸炎が引き起こされた状態を示す広い概念です。
代表的な細菌はサルモネラ菌、クロストリジウム菌、カンピロバクター菌、スピロヘータ、大腸菌、プロテウス菌、緑濃菌などです。
サルモネラ菌は小腸に定着して細胞内に侵入し、腸間膜のリンパ節で増殖しながらエンテロトキシンと呼ばれる毒素を産生します。
腸炎を引き起こす主犯格はこの毒素です。
またカメ、ヘビ、トカゲといった爬虫類が高率で保菌していることでも知られています。
カンピロバクターもありふれた菌で、下痢をしていない犬の49%、正常な猫の45%程度が保有し、日常的に糞中に排泄していると考えられています。
発症する犬のほとんどは、免疫力の弱い6ヶ月齢未満の子犬、妊娠中のメス犬などです。
ここでは、犬の細菌性腸炎の主な原因はもちろん、症状から対処法をまとめていますので、是非ご参考になさってください。
- 犬の細菌性腸炎の主な症状
- 犬の細菌性腸炎の主な原因
- 犬の細菌性腸炎の主な治療法
- 下痢止めの使用は危険?
犬の細菌性腸炎の主な症状
主な症状 |
☆下痢(軟便・水様便・血便) |
☆食欲不振 |
☆腹痛(触ると痛がったり、背中を丸めている) |
☆脱水症状(下痢による体液の喪失) |
犬の細菌性腸炎の主な原因
- 細菌に汚染された水、食べ物、食器などをなめることで犬の体内に侵入します。
具体的には生ごみあさり、屋外の死肉、古いドライフード、生肉、豚耳などが危険因子として考えられています。
また糞便を口にしやすく、ストレスのかかりやすい繁殖施設、保護施設、多頭飼い(ホーディング)といった高密度・不衛生環境も同様に危険です。
犬の細菌性腸炎の主な治療法
- 抗生物質の投与
抗生物質を投与することで細菌を駆除します。
代表的なものはクロラムフェニコール、カナマイシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、テトラサイクリンなどです。
しかし薬剤に対して耐性をもった菌が出現する危険性もあるため、症状が重い場合に限ります。 - 対症療法
症状の軽減を目的とした各種の治療が施されます。
脱水症状が起こっているときは輸液(リンゲル液やブドウ糖液)を行い、腸粘膜を保護するための保護剤なども用いられます。 - 日頃からのケア
免疫力が正常であれば症状が出ませんが、ストレスや手術、栄養不足などをきっかけとした免疫力の低下につけ込んで細菌が繁殖し、発症することがあります。
こうした 「日和見感染」(ひよりみかんせん)を予防するため、日ごろから免疫力を落とさないよう気をつけることが重要です。
下痢止めの使用は危険?
愛犬が下痢で苦しんでいるからと言って、安易な下痢止めの使用は危険です。
下痢止めの中には、腸の運動を低下させて下痢を出にくくするものがあります。
しかし、細菌性腸炎では、腸内の運動を低下させ、下痢を止めることによって、腸内細菌や毒素が体の外へ出ていかず、どんどん増えてしまうことになります。
ですので、安易な下痢止めの使用は控え、しっかりと動物病院に受診し、医師の指示を仰ぎましょう。
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