犬のノミ皮膚炎

犬のノミアレルギー性皮膚炎~愛犬が激しく痒がったり、脱毛が見られたら~

犬のノミアレルギー性皮膚炎とは、ノミの唾液によってアレルギー反応を起こし、患部が赤くなったりかゆくなったりする病気を言います。
皮膚のかゆみが非常に激しく、ノミ駆除だけでなく皮膚炎の治療も必要になります。

皮膚上にノミがいるかどうかは、「1~2ミリ程度の褐色の虫を視認できること」「濡れたティッシュなどで被毛をふき取ると、じわっと赤いしみが広がるような糞(フリーダート)が被毛中に確認できること」「0.5ミリほどの米粒を小さくしたような卵が視認できること」などで判定します。
しかし、犬が自分自身で患部を掻いたり舐めたりするため、症状があるにもかかわらず、ノミの本体を見つけることができないこともしばしばです。

ノミ皮膚炎を引き起こしているものは、主として体内の免疫系によるアレルギー反応です。
「アレルギー」とは、免疫反応が激しすぎて、本来守るべき生体に害を及ぼしてしまう状態のことで、アレルギーを引き起こす原因物質は「アレルゲン」(抗原)と呼ばれます。
ノミ皮膚炎におけるアレルゲンは、ノミの唾液(Cte f1)と糞です。
これらの物質中には、アレルゲンの卵とでも言うべき低分子「ハプテン」のほか、血管を拡張する「ヒスタミン」に似た物質が含まれており、侵入した場所に痛みやかゆみを引き起こします。

ここでは、犬のノミアレルギー性皮膚炎の主な原因はもちろん、症状から対処法などをまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。

 

  • 犬のノミ皮膚炎の主な症状
  • 犬のノミの見つけ方
  • 犬のノミ皮膚炎の主な治療法
  • 生活環境からノミを駆除する
  • 避けたいノミ駆除法

犬のノミアレルギー性皮膚炎の主な症状

下記の症状が見られたら、ノミやノミの糞がないか、ノミ取りぐしや毛をかき分けるなどして確認してください。
 
主な症状
☆小さな発疹
局所的な脱毛
☆激しいかゆみ
☆貧血(重症)
 

犬のノミの見つけ方

寝床・ベッドをチェック
 
犬の体についたノミが寝ている間に落下し、寝床やベッドにとどまっていることがあります。
犬が頻繁に使う場所にコロコロをかけてみましょう。
生きた成虫や成虫の死骸がくっついてきたら感染確定です。
動物病院などで殺ノミ薬を処方してもらいましょう。
また細くて白っぽいものがうねうねと動いている場合は幼虫かもしれません。
早急に駆除しましょう。
一方、まるで粉コーヒーのような黒~焦げ茶色のカスが付いてきた場合は、単なるゴミなのかそれともノミの糞なのかを判別しなければなりません。
取れたカスを軽く湿らせてみましょう。
溶けて赤茶色に変色した場合はノミの糞である可能性が大です。
動物病院などで殺ノミ薬を処方してもらいましょう
 
犬の体をチェック
 
犬の被毛をかき分け、ノミの成虫やフリーダート(糞)がないかどうかを確認してみましょう。
ちょこまかと動き回る0.5~2mmほどの茶色い虫がいた場合はノミです!
その他の部位にも生息しているはずですので、殺ノミ薬を投与しましょう。
黒っぽい被毛の犬では見えませんが、白~クリーム色の犬の場合、毛の中にインスタントコーヒーのような黒っぽいカスが付着していることがあります。
ティッシュを濡らしてそのカスを取ってみましょう。
紙の上で溶けて赤茶色に変色した場合はノミの糞かもしれません。
動物病院などで殺ノミ薬を処方してもらいましょう。
 

ノミ取りコームをかけ

まず床に白っぽい紙を敷き、中性洗剤を溶かした水をカップラーメンの容器などに入れて用意しておきます。
次に紙の上に犬を立たせ、クシ目の粗い「ノミ取りコーム」を使って被毛をブラッシングしてみましょう。
コームの間にノミの死骸や生きている成虫が挟まった場合は、中性洗剤溶液の中にコームごと入れて溺死させます。

犬のノミアレルギー性皮膚炎の主な治療法

  • 対症療法
    まずは症状の軽減を目的とした治療が施されます。
    アレルギー反応を軽減する抗アレルギー薬や、かゆみを抑える抗掻痒薬(こうそうようやく)などが投与されます。
  • ノミの駆除
    ノミを殺す各種の薬剤が投与されます。
    錠剤タイプもありますが、簡便さから近年は滴下式(スポットタイプ)の薬が多用されます。
    ノミは通年性でどの季節にも見られますが、夏から秋にかけて多くなる傾向がありますので、特にこの時期は予防を忘れないよう注意しましょう。
    なお犬用の薬剤として用いられている「ペルメトリン」と呼ばれる成分を猫に使用してはいけません
    この成分は犬に対しては毒性を発揮しないものの、誤って猫に用いてしまうと最悪のケースでは死んでしまいます。

生活環境からノミを駆除する

環境中における成虫の割合は、わずか5%程度にすぎません。
ですから成虫を殺すだけではダメで、卵、幼虫、さなぎといった他の様態にあるノミもまた、環境中から一掃する必要があります。
そのため、「掃除機をこまめに掛ける」「掃除機のごみパックをすぐに交換する」「シーツや布製品をこまめに洗濯する」といった日々の努力が必要となります。
また屋外で過ごす時間の長さや使役目的(番犬や猟犬)が感染リスクを高めるという可能性が指摘されています。
番犬として1年中庭につなぎっぱなしにしているとノミに食われやすくなりますので、できれば室内飼いに切り替え、それができない場合は犬小屋の清掃とノミ駆除薬の投与をしっかり行うようにします
 

避けたいノミ駆除法

仮にノミ駆除薬で体についた成虫を駆除したとしても、卵やさなぎといったノミの温床を環境中から完全に除去するのは容易ではありません。
もし一気に解決してくれる方法があれば、すぐにでも飛びつきたくなるでしょう
しかし安全性の観点から、いくら魅力的に見えても控えたほうがよい解決策がいくつかあります。

  • ノミ取り首輪
    殺ノミ成分を含有した首輪がありますが、犬が首輪に対して炎症を起こしたり、また首輪のかけらを誤飲してしまう危険性があります。

  • エアロゾルスプレー
    効果が希薄で、また噴霧するときの音を犬が怖がってしまいます。

  • 殺ノミスプレー
    空気中に噴霧した成分が水槽に入らないように注意が必要です。
    また壁や家具についた成分を、犬が口に入れないよう十分注意する必要があります。

  • 発煙式殺ノミ製品
    発煙を行った部屋の表面についた成分を、犬が舐めてしまう可能性を否定できません。
    使用する場合は、犬が近づかない狭い空間に限定した方がよいでしょう。

  • ノミよけ製品
    ハーブやユーカリオイルといった、ノミを寄せ付けない効果を謳(うた)った製品は、医薬品ほどの効果をもっていません。
    また独特の匂いを犬が嫌う可能性もあります。
    なお高濃度のティーツリーオイルは、皮膚に塗ったり飲ませたりすると中毒症状を引き起こしますので使用は厳禁です。
 

※犬のノミ感染を予防する上で最も重要なのは「飼い主の危機意識」です。 

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