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愛犬がふらふらしている? その背後に隠れる疾患を探る
愛犬の健康を常に気にかけている飼い主として、突然の行動や健康の変化には敏感になるもの。
特に、愛犬が歩く際にふらついたり、立つのが困難な様子を見せると、何かしらの健康問題が潜んでいるのではないかと心配になることでしょう。
ここのページでは、犬がふらふらする原因となる様々な疾患について詳しく探っていきます。
もし愛犬の様子に変わった点を発見したら、この情報を参考にして、早期に適切な対処や治療を受ける手助けとなることを願っています。
- 内耳炎
- 前房出血
- 白内障
- 網膜剥離
- 副甲状腺機能低下症
- 熱中症
- 変形性関節炎
- 感染性関節炎
- 椎間板ヘルニア
- 股関節形成不全
- 肘関節形成不全
- 骨軟骨異形成
- 脊椎奇形
- 重症筋無力症
- 筋ジストロフィー
- 髄膜脳炎
- 肝性脳症
- 小脳障害
- 前庭神経炎
- ジステンパー性神経症
- ボツリヌス中毒
- ガン
- 泌尿器疾患
- 門脈体循環シャント
- 尿毒症
- 肥満
内耳炎
耳の構造は外側から外耳、中耳、内耳に分けらています。
犬の内耳炎とは、耳の奥にある内耳と呼ばれる部位に炎症が発生した状態のことです。
内耳は聴覚に関わる「蝸牛」(かぎゅう)という器官と、バランス感覚に関わる「三半規管」(さんはんきかん)という器官から構成されており、聴覚と平衡感覚に関係する神経が伸びてきています。
「蝸牛」は「蝸牛神経」を通して音を脳に伝えます。
「三半規管」は「前庭神経」(ぜんていしんけい)を通して体の位置情報を脳に伝えるのが役割です。
両方を合わせて「内耳神経」(ないじしんけい)、もしくは「第八脳神経」といいます。
内耳炎の症状は、蝸牛神経と前庭神経のどちらに炎症が発生したかによって違ってきます。
内耳炎でみられる神経症状は、他の重大な病気の可能性も考えられますので、状況によりさまざまな検査の実施を行う必要があります。
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前房出血
犬の前房出血(ぜんぼうしゅっけつ)とは、角膜と虹彩の間にある前眼房(ぜんがんぼう, 前房とも)で出血が起こった状態です。
見た目はショッキングですが、前房出血自体が有害な影響を及ぼすことはほとんどありません。
それよりも、前房出血を引き起こした元の原因や、前房出血が慢性化したときに起こる眼圧の上昇、および緑内障に対する管理の方が重要です。
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白内障
犬の白内障とは、眼球内にある水晶体と呼ばれる組織が白く濁ってしまった状態のことです。
白内障とよく似た外観になる病気として「核硬化症」(かくこうかしょう)があります。
これは加齢に伴って発生する水晶体の硬化と白濁であり、通常は視覚障害を伴いません。
初期の白内障と鑑別する際は「徹照法」(てっしょうほう)と呼ばれる方法が用いられます。
これは瞳孔の中に光を照射し、眼球の奥にあるタペタム層からの反射光を観察するというものです。
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網膜剥離
犬の網膜剥離(もうまくはくり)とは、眼球内部にある網膜が土台からはがれてしまった状態を言います。最悪の場合は、失明する恐れのある怖い状態です。
眼底鏡(がんていきょう)で瞳孔の中をのぞいた時、剥離した網膜の端を視認できることもしばしばです。なお「裂孔原性」(れっこうげんせい)、「滲出性」(しんしゅつせい)、「牽引性」(けんいんせい)とは発症原因による網膜剥離の分類です。
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副甲状腺機能低下症
犬の副甲状腺機能低下症(ふくこうじょうせんきのうていかしょう)とは、のどにある副甲状腺と呼ばれる器官から分泌される副甲状腺ホルモンの作用が弱くなりすぎた状態を言います。
副甲状腺機能低下症は、上皮小体機能低下症とも呼ばれます。
副甲状腺(上皮小体とも呼ばれる)とはのどの甲状腺の少し上についている分泌器官であり、副甲状腺ホルモンを生成します。
副甲状腺ホルモンはパラトルモンとも呼ばれ、主に血液のカルシウムの濃度を増加させる働きをもち、骨、腸、腎臓などに作用します。
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熱中症
犬の熱中症とは、上がりすぎた体温をうまく下げることができず、体中の機能が低下してしまった状態のことです。
平熱が37.5~39.2℃の犬においては深部体温(直腸温)が41℃を超えた場合に熱中症と診断されます。
41℃を超えると熱によって脳にまでダメージが及び始め、43℃を超えると体中の様々な器官が機能不全に陥って急激に死亡率が高まります。
さらに49~50℃というと極端な温度にまで高まると、たった5分でも細胞の構造が崩れて組織の壊疽が始まり、そうなると生存する事が困難となります。
なお熱中症と紛らわしい表現として「高体温症」「発熱」「熱痙攣」「熱疲労」「熱射病」などがありますが、全て別々の意味を持っています。
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変形性関節炎
犬の変形性関節症とは、骨と骨とをつないでいる関節に炎症が発生し、変形をきたすことによって、痛みなどの症状があらわれる進行性の関節疾患です。
基本的にはどこの関節でも起こりうる生理現象ですが、体重を支える前足のひじ関節、および後足の膝関節・股関節などで多発します。
しかし進行が緩やかなため、見落とされることも多い疾患の一つです。
同じ場所に繰り返し炎症が生じることによって骨が増殖したり(=骨棘, こつきょく)、関節表面の滑りをよくする軟骨が磨り減ったりします。
特に中高齢以上の大型犬に発生が多い傾向があります。
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感染性関節炎
犬の感染性関節炎とは、関節液や関節組織の感染症で、関節の中に何らかの病原体が侵入することによって炎症が生じた状態のことです。
ウイルスや真菌の感染によって起こることもあります。
炎症の結果、関節の中に膿が溜まってしまった場合は「化膿性関節炎」とも呼ばれます。
関節炎が一ヶ所だけで発生している場合は、病原体が傷口から入ったと分かりますが、複数箇所で同時に発生している場合は、他の組織から血液に乗って病原体が関節内にたどり着いたと考えられます。
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椎間板ヘルニア
犬の椎間板ヘルニア(ついかんばんへるにあ)とは、背骨の間に挟まって背骨同士をつないでいる椎間板と呼ばれるクッションがつぶれ、変形してしまった状態のことです。
椎間板は、クッションの外側に相当する繊維輪(せんいりん)と、クッションの中身に相当する髄核(ずいかく)と呼ばれるゼリー状の組織から構成されます。
外傷や肥満、老化などにより椎間板が破れてしまうと、中の髄核が外に飛び出し、近くにある神経や脊髄を圧迫してしまうことがあります。
これが「椎間板ヘルニア」です。中の髄核が完全に飛び出したものを「ハンセンI型」(髄核脱出型)、髄核が繊維輪の中にとどまっているものの椎間板が後方に膨らんだものを「ハンセンII型」(繊維輪突出型)として分けることもあります。
I型の場合は、それまで元気だった犬が急に動かなくなりますが、II型の場合は病変を抱えたまま普通に生活していることも少なくありません。
椎間板は首から腰にいたる全ての背骨に挟まっていますので、基本的にどの部位でも発生します。
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股関節形成不全
犬の股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)とは、太ももの骨と骨盤とを結合する股関節の形が先天的に異常な状態を言います。股関節が発育の段階で形態的な異常を起こし、様々な症状を引き起こす病気です。一般的に両側の股関節に発症することが多いといわれてますが、片側の場合もあり、大型犬や超大型犬での発症が多くみられます。股異形成(こいけいせい)とも言われます。
一般的に、子犬のころははっきりとした症状を示さず、生後6ヶ月頃から徐々に異常の徴候が見られるようになります。これは、成長とともに大きくなるはずの骨盤の骨が不完全で、太ももの骨がすっぽりとはまるソケット部分が小さすぎるために起こる現象です。
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肘関節形成不全
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骨軟骨異形成
犬の肘関節形成不全(ひじかんせつけいせいふぜん)とは、CEDとも呼ばれ、前腕部と上腕部を連結する肘関節に異常が発生した状態のことです。
犬の肘関節形成不全は大型から超大型犬種で発症率が高い疾患で、発症した場合は生活の質 (QOL) を著しく低下させます。
肘関節は、上腕部を形成する「上腕骨」と、前腕部を形成する「橈骨」(とうこつ)、「尺骨」(しゃっこつ)という3本の骨がうまくかみ合わさることで構成されています。しかし、こうした構造のどこか1ヶ所にでも異常があると関節がうまく噛み合わなくなり、痛みや運動障害を引き起こしてしまいます。
肘関節形成不全の好発部位は、肘の内側に集中しています。
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脊椎奇形
背骨を構成している椎骨(ついこつ)の一部が正常に形成されていない状態のことです。
いくつかのパターンがあります。
特に「半椎」は、上下に位置する骨の並べ方をゆがめることにより、正常な背骨のラインを大きく変えてしまうことがあります。
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重症筋無力症
神経から筋肉に対する伝達が十分にうまく伝わらず、筋肉の疲労や脱力がおこる状態のことです。
脳からの指令は、運動神経を通じて神経の末端まで来ると、そこから「アセチルコリン」と呼ばれる物質が放出されます。
このアセチルコリンを受け取るアセチルコリン受容体が筋肉側に存在し、受容体とアセチルコリンが結合すると、筋肉に刺激が伝達され、筋肉を収縮させます。
しかし重症筋無力症においては、筋肉の側に付いているアセチルコリン・レセプターに異常があるため、脳からの指令をうまく受け取ることができません。
その結果、「すぐに疲れてしまう」、「なかなか力が入らない」といった支障をきたしてしまいます。
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筋ジストロフィー
犬の筋ジストロフィーとは、細胞骨格を形成するタンパク質が不足しているか全く欠落しているため、筋肉が正常に働かなくなる病気です。
多くの種類がありますが、犬では「ベッカー型筋ジストロフィー」(日本スピッツなど)、「常染色体劣性型筋ジストロフィー」(ラブラドールレトリバーなど)などがあり、中でもX連鎖型筋ジストロフィーが最も有名です。
「X連鎖型」とは、性染色体である「X」に関連して発症することを意味しています。
多くの場合、生後10週~12週ごろに発症し、運動能力が著しく劣るため食事や授乳がままならず、結果的に栄養失調や肺炎、心臓の機能不全などで死んでしまいます。
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髄膜脳炎
犬の中枢神経は脳と脊髄から成り立っており、それらを守るように髄膜(または 脳脊髄膜)が外側を覆って、内部には髄液(または 脳脊髄液)と呼ばれる液体が循環しています。
脳に発生した炎症が「脳炎」、脊髄に発生した炎症が「脊髄炎」、そして髄膜に発生した炎症が「髄膜炎」です。「髄膜脳炎」と言った場合は、脳と髄膜の両方に炎症が発生した状態を指しています。
脳と脊髄は髄液によって連絡しているため、脳の炎症が脊髄にも波及し、「髄膜脳脊髄炎」に発展することもあります。
脳炎は、ウイルスや細菌、寄生虫などの病原体による感染性とそれ以外の非感染性に分けられます。
犬の脳炎では、非感染性のものがほとんどです。
非感染性では、肉芽腫性髄膜脳脊髄炎(GME)壊死性髄膜脳炎(NME)ステロイド反応性髄膜炎・動脈炎(SRMA)などが挙げられます。
いずれも比較的若い年齢で発症する傾向があります。
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肝性脳症
犬の肝性脳症とは、肝臓の機能不全により血液の成分が変化し、アンモニアなどの腸管の毒素が血液に乗って脳にまわり、脳に障害を与えてしまった状態を言います。
肝性脳症は従来、肝機能低下により血液中のアンモニアなどが増えて発症すると考えられてきました。
しかし、血中アンモニア濃度と症状の程度は必ずしも相関しないため、アンモニア以外にもメルカプタン、スカトール、インドール、短鎖脂肪酸、芳香族アミノ酸なども関わっているのではないかと推測されています。
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小脳障害
犬の小脳障害(しょうのうしょうがい)とは、主に運動機能をつかさどる小脳に病変が生じることにより、正常に動くことができなくなってしまった状態を言います。
小脳は大脳の後ろについている小さ目な脳のことで、主に平衡感覚や姿勢保持に関わり、「体のバランスを保つ」、「眼球運動を調整する」、「感覚と運動を連携させる」といった役割を担っています。
この脳に障害が発生すると、上記全ての機能が大なり小なり影響を受け、様々な症状を示すようになります。
そのほとんどが先天性であるため、症状は生後3週齢頃から現れ始めます。
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前庭神経炎
犬の前庭神経炎(ぜんていしんけいえん)とは、脳神経の一種である前庭神経(ぜんていしんけい)に炎症が発生し、主に平衡バランス感覚が障害を受けた状態を言います。
犬の耳の奥には「内耳」と呼ばれる部分があり、そこにカタツムリのような形をした「蝸牛」(かぎゅう)と呼ばれる器官と、プレッツェルのような形をした「三半規管」(さんはんきかん)が、骨の中にすっぽりと収まっています。
「蝸牛」には「蝸牛神経」がつながっており、音を脳に伝える役割を果たしています。
一方、「三半規管」には「前庭神経」(ぜんていしんけい)がつながっており、体の位置情報を脳に伝える役割を果たしています。
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ジステンパー性神経症
犬のジステンパーウイルス感染症とは、感染症の一つであるジステンパーが原因で起こる伝染性疾患のことです。
ジステンパーウイルスは空気感染し、母親からの移行抗体がなくなる時期の子犬で感染の危険性が一番高まります。
ジステンパーを引き起こすイヌジステンパーウイルスは、鼻やのどから侵入した後、マクロファージと呼ばれる免疫細胞によってリンパ節に運ばれ、そこから血液に乗って呼吸器、消化器、泌尿器、生殖器に拡散します。
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ボツリヌス中毒
犬のボツリヌス中毒とは、クロストリジウム属の細菌である「クロストリジウムボツリヌス」(Clostridium botulinum)が産生する神経毒素によって神経が障害を受けた事によって発症する中毒です。
ボツリヌス菌はA~Gまでの7種類に分類されており、人間の中毒症状を引き起こすタイプとしては「A・B・E・F」の4型、犬の中毒症状引き起こすタイプとしては「C型」が確認されています。
主に腐った食品に含まれるボツリヌス神経毒を摂取すると、神経筋接合部におけるアセチルコリンの放出が抑制され、筋肉の収縮障害と自律神経障害が引き起こされます。
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ガン
犬の高齢化や診断技術の進歩に伴って、犬でもがんと診断されることが増加しています。
そして、犬の死亡原因として最も多いものがガンになっています。
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泌尿器疾患
泌尿器とは、尿に関わる器官(腎臓・尿管・尿道・膀胱など)のことを指します。
泌尿器に疾患がある場合は、おしっこの回数が多い・少ない、水をたくさん飲む、血尿が出た、元気がない、食欲がない、などの症状をみせる事が多いです。
加齢とともにかかりやすい腎不全や若い年齢からもかかる尿石症や膀胱炎などがあり、最悪の場合は命を落とす危険な疾患もあります。
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門脈体循環シャント
本来、体の中でつくられたアンモニアなどの毒素が胃腸から吸収され、門脈と呼ばれる血管を通って肝臓に運ばれ無毒化されます。しかし、この病気は肝臓に入るべき胃腸からの血液が、「シャント」と呼ばれる異常な血管を経由して、解毒を受けないまま全身を巡ってしまい、さまざまな症状が引き起こされます。
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尿毒症
犬の尿毒症(にょうどくしょう)とは、腎臓の機能が著しく低下することで尿素を含む老廃物や毒性物質の排出がうまくいかず、血中の老廃物濃度が高まってしまった状態を言います。
腎臓内では糸球体(しきゅうたい)と呼ばれる網目状の血管網に血液を通し、血圧によって老廃物をろ過します。
しかし腎臓を通る血液の量が減少したり、血圧が弱まると、糸球体でのろ過能力が悪化したり、全くの機能不全に陥ることがあります。
その結果、本来尿として体外に排出されるはずの老廃物が徐々に血中に蓄積していき、血液の組成を大きく変えてしまうというわけです。たまった老廃物が窒素を含む場合を高窒素血症(こうちっそけっしょう)といい、さらに悪化した形が尿毒症です。
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肥満
犬の肥満とは、体内に脂肪がたまりすぎた状態を言います。
消費カロリーよりも摂取カロリーの方が多い場合、余ったエネルギーはまず肝臓や筋肉の中に「グリコーゲン」という形で貯蔵されます。
そしてそれでもなお過剰エネルギーがある場合は、全身に存在しているエネルギー貯蔵庫ともいえる「脂肪細胞」(しぼうさいぼう)の中に、中性脂肪(ちゅうせいしぼう, トリアシルグリセロール)という形にエネルギー転換(てんかん)して蓄えていきます。
そしてこの「中性脂肪」こそが、ぜい肉の正体であり肥満の原因なのです。
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