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犬のダニ麻痺症

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 メスの成長したダニが、犬の体から吸血する際に分泌した唾液によって、筋肉が麻痺してしまった状態のことです。
 唾液腺から強力な神経毒を出すダニの多くは、アメリカとオーストラリアに集中しています。

 これらのダニは、哺乳動物から吸血する際、置き土産として唾液腺から分泌される神経毒を注入します。この神経毒は、神経と筋肉の接合部において分泌される「アセチルコリン」という物質の放出を阻害し、結果として運動機能の障害を引き起こします。
 ダニに噛まれた後、6~9日間の潜伏期を経て発症します。筋肉に付着している末梢運動神経が最も多く障害されますが、脳神経(迷走・顔面・三叉)や交感神経が影響を受けることもしばしばです。

主な症状
☆フラフラ歩く
☆後肢の脱力
☆顔面筋の弛緩
☆発声障害と嚥下困難
☆呼吸筋麻痺
☆瞳孔散大

 

犬のダニ麻痺症の主な原因 

  • ダニの唾液中に含まれる神経毒が直接の原因です。ダニが吸血を始めてから5~7日目に毒素が最大化すると言われています。麻痺を引き起こすダニの多くは林や森の中に生息していますので、こうした場所に犬を無防備な状態で連れていくことも、間接的な要因と言えます。
 

 ダニ麻痺の中で最も注意を要するのが、オーストラリアに生息している「オーストラリア麻痺ダニ」(Ixodes holocyclus)です。このダニが産生する神経毒はとりわけ強力で、呼吸筋の麻痺から酸欠→死亡を招くこともあります。生息域はオーストラリア東海岸の森林地帯に集中しており、通常はコアラ、カンガルー、オポッサムといった野生動物を宿主としていますが、森の中に入ってきた犬、猫、家畜動物や人間の血を吸うこともあります。

 
 

犬のダニ麻痺症の主な治療法

  • ダニを除去し、毒素の注入を遮断することで症状が回復します。成ダニを目視確認できる場合は、ピンセットなどでゆっくりと引き抜きます。ダニを確認できない場合は殺ダニ効果のある薬剤で薬浴させます。
  • オーストラリアに生息しているマヒダニの神経毒は強力なため、早急な回復を目指して血清が投与されることもあります。
  • ダニの神経毒が代謝されるまで運動を制限して安静を心がけます。もし横隔膜や肋間筋と言った呼吸筋にまで麻痺が広がり、自力で呼吸できないような場合は人工呼吸器を付けることも必要です。また嚥下困難や食道の蠕動不良が見られる場合は、チューブなどで強制的に給餌を行います。

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