犬のマダニ症

犬のマダニ症~皮膚炎や貧血、けいれんや麻痺の症状があったら~

森の中で歩く犬の足音、青空の下で遊ぶ犬の笑顔、そんな素晴らしい時間を過ごす愛犬が、何者かに狙われているとしたら?

その敵は小さく、目には見えにくいが、その影響は甚大。
彼らはマダニ、そして彼らが引き起こす疾患は「マダニ症」。
愛犬が健康で幸せな生活を送るためには、この小さな侵入者に立ち向かう知識と準備が必要です。

この驚異の世界へ、一緒に足を踏み入れてみませんか?
マダニとは何か、そして愛犬を守るために何ができるのか、この冒険の旅で一緒に学んでいきましょう。
ここでは、犬のマダニ症の主な原因はもちろん、症状から対処法どをまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。



マダニ症の概要

マダニ症は、犬がマダニに刺されることにより引き起こされる一連の疾患です。
マダニは、犬の血を吸う小さな外部寄生虫で、この過程でさまざまな感染症を伝えることがあります。
ライム病やバベシアなど、マダニが媒介する病気は犬の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
これらの病気は、犬の免疫システムに負担をかけ、時には慢性的な症状を引き起こすことがあります。

マダニとは、主に屋外の山野に生息している大型のダニのことで、家庭の中で見られるコナダニやチリダニ、あるいは動物の皮膚に穴をあけて居座るヒゼンダニといった種類とは違います。

マダニは一生のうちに1~3種類の宿主に寄生し、血を吸うことで栄養を補給します。
口の先はまるでノコギリのようにギザギザになっているため、宿主の皮膚を切り裂きます。
マダニに大量に寄生され、大量に吸血されると、貧血を起こします。

マダニ症の予防と早期発見は、犬の健康を維持する上で非常に重要です。
愛犬のマダニ症に対する理解を深め、適切な予防と対策を行うことで、犬との生活をより安全で快適なものにすることができます。

マダニによる一次被害と主な症状

マダニによる一次被害は、その控えめなサイズと犬の豊かな被毛に紛れて、しばしば見過ごされることが多いです。
マダニに食い破られた皮膚表面では、破損した皮膚の細胞とマダニから分泌された唾液成分(吸着セメント)によって免疫反応が起こります。
しかし、愛犬の健康を守るためには、マダニの存在とそれによる症状に敏感である必要があります。

  • 赤みや腫れ:
    マダニに噛まれた場所は赤く腫れることが多い。

  • かゆみ:
    犬は噛まれた場所をかゆがり、舐めたり噛んだりすることがよくあります。

  • マダニの存在:
    マダニ自体が犬の皮膚に取り付いている場合、小さな黒っぽい塊として確認できることがあります。

  • アレルギー反応:
    マダニの唾液に含まれる成分により、犬がアレルギー反応を示すことがある。
    これにより皮膚がさらに赤く腫れあがり、かゆみが悪化することがある。

  • 元気の低下:
    マダニに刺された犬は元気がなくなり、活動量が減少することがよくあります。

  • 食欲不振や体重減少:
    犬の食欲が落ちるか、急激な体重減少が見られることがある。

これらの症状に注意し、早期発見と適切な対応が犬の健康を守るために重要です。
マダニによる一次被害は、容易に見過ごされることが多いですが、愛犬の行動や健康状態に変化がある場合は、すぐに注意し、マダニの存在を確認しましょう。早期発見が、犬の健康を長期的に守るカギとなります。

マダニによる二次被害と症状

マダニの刺し傷は、一次被害である局所的な赤みやかゆみにとどまらず、マダニが運ぶさまざまな感染症によって、犬の健康に深刻な二次被害を及ぼすことがあります。
この二次被害は、驚くべきダイナミックさで進行し、犬の体全体を巻き込むことがあります。

この被害は、犬や猫と言ったペット動物のみならず、人間にも及ぶことがありますのでますます厄介と言えるでしょう。
以下は、主に日本国内で見られるマダニ媒介性の疾患です。

日本紅斑熱 キチマダニ、フタトゲチマダニ、ヤマトマダニなどが媒介します。
病原体はリケッチアの一種「リケッチア・ジャポニカ」です。
2~8日間の潜伏期を経て、頭痛、発熱、倦怠感、発疹を発症します。
ライム病

マダニによって媒介される細菌によって引き起こされるライム病は、関節炎や関節の腫れを引き起こし、犬の運動能力に大きな影響を及ぼします。
高熱や食欲不振も一般的な症状です。
シュルツェマダニなどが媒介。
病原体は「ボレリア」です。
初期において倦怠感、頭痛、発熱、紅斑など、インフルエンザに似た症状を示したのち、神経、循環器、皮膚、目、関節など多様な部位に発展します。
流行地域は本州中部以北で、特に北海道や長野県に多いです。

ダニ麻痺症 メスダニの唾液に含まれる神経毒によって起こる麻痺があります。
6~9日間の潜伏期を経て、迷走神経、顔面神経、三叉神経といった脳神経のほか、交感神経系や呼吸筋を障害することもあります。
重症熱性血小板減少症候群(SFTS) 近年、確認された新しい疾患です。
フタトゲチマダニ、ヒゲナガマダニ、オオトゲチマダニ、キチマダニ、タカサゴキララマダニなどが媒介していると推測されます。
病原体は「SFTSウイルス」です。
発熱、消化器症状といった症状が中心ですが、重症化した場合は血小板が減少し、死亡することもあります。
バベシア症 マダニが運ぶ寄生虫によって引き起こされるこの感染症は、犬の赤血球を攻撃します。これにより、貧血、黄疸、発熱、体重減少などの症状が現れます。
約2~4週間の潜伏期を経て、溶血性貧血、倦怠、食欲不振、発熱といった症状を示します。
症状が重い場合は急死することもあります。
Q熱 病原体はリケッチアの一種「コクシエラバーネティー」です。
動物においてはあまり症状が出ないが、人に感染した場合は発熱、頭痛、筋肉痛といったインフルエンザに似た症状を示したのち、肺炎、肝炎、心内膜炎などに発展することもあります。
野兎病 野兎からの感染がほとんどだが、マダニが媒介することもある。
病原体は「野兎病菌」(やとびょうきん)です。
東北地方全域と関東地方の一部で多いです。
1週間程度の潜伏期を経て、40℃近くに達する急な発熱、寒気、頭痛、筋肉痛といったインフルエンザに似た症状を示したのち、皮膚の膿瘍、リンパ節の腫脹に発展します。

これらの二次被害は時として致命的であるため、マダニから犬を守り、刺し傷の初期症状に敏感でいることが重要です。
早期の発見と適切な治療は、犬の健康と生活の質を維持するうえで不可欠です。

犬のマダニ症の主な原因

マダニ症の舞台は、しばしば美しい自然の中で繰り広げられます。
愛犬と一緒に森や草地を散策する際、犬のマダニ症の主な原因となる小さな“悪役”が待ち構えていることもあるのです。

  1. マダニの生息地:
    マダニは湿気が多く、草が茂っている場所を好む傾向があります。
    森林や草地は、マダニが犬に取り付く絶好の場所です。
    犬は好奇心旺盛で、草むらを探検するのが大好きなため、マダニとの出会いが増えます。

  2. 季節:
    春から秋にかけては、マダニが最も活動的な時期です。
    この時期、犬と一緒に外で過ごす機会が増えるため、マダニに刺されるリスクも高まります。

  3. マダニ寄生:
    犬が他の動物やマダニに感染した犬と接触すると、マダニが移ることがあります。
    これは、散歩中に他の犬と遊ぶ際や、ペット同士で過ごす室内でも起こりえます。

  4. 予防措置の欠如:
    マダニ予防の薬剤を使用していない、または定期的なチェックを怠っている場合、犬はマダニに狙われやすくなります。

これらの原因を知り、適切な予防策を講じることで、愛犬をマダニの脅威から守ることができます。
森の中の冒険が、マダニのドラマに巻き込まれることなく、愛犬との楽しい時間であるようにしましょう。

犬のマダニ症の主な治療法

マダニ症が愛犬の幸せな生活を奪おうと脅かしてきた時、その対策はまるで騎士が盾と剣を手に取るかのように、犬を守るためのアーマーとなります。
愛犬がマダニに襲われた場合、以下のような治療法が魔法のように彼らを守るのです。

  1. マダニの除去:
    最初の一歩として、マダニを丁寧に除去します。
    これは繊細なプロセスで、つまようじや特殊なマダニ除去器具を使用して、皮膚からマダニを引き抜く必要があります。
    この時、マダニが犬の皮膚に残らないよう注意しましょう。
    犬の皮膚に食いついているダニを見つけたら基本的には獣医さんに抜いてもらったほうが無難です。

  2. 獣医の診察:
    次に、勇敢な戦士である獣医に相談します。
    獣医は犬の症状を評価し、マダニが持っている可能性のある感染症に対しても検査を行うでしょう。

  3. 抗生物質と抗寄生虫薬:
    獣医は、マダニによって伝えられる感染症を治療するために抗生物質を処方するかもしれません。
    また、抗寄生虫薬も使用され、これにより他のマダニが犬に取り付くのを防ぐことができます。

  4. トピカル治療:
    皮膚に直接塗布するトピカル治療薬が犬に処方されることがあります。
    これは、マダニを追い払い、新たなマダニの寄生を防ぐ効果があります。

  5. フォローアップ:
    治療後、愛犬の回復を確認するために獣医に再診察してもらうことが大切です。

これらの治療法は、愛犬をマダニの攻撃から守り、健康で幸せな生活を送るための盾となります。
マダニとの戦いに備え、最善のケアを提供しましょう。

マダニ症の予防法

マダニは、犬の健康を脅かす小さな怪物ですが、彼らに立ち向かうための魔法のような防御手段がたくさんあります。
その秘密の武器を持って、愛犬の健康を守りましょう!

  1. 定期的なチェックアップ:
    犬の毛皮を頻繁にチェックし、マダニが寄生していないか確認します。
    特に、散歩の後や外で遊んだ後は念入りにチェック。
    これはまるで、城の門を見張る番人のようなものです。

  2. 予防薬の使用:
    獣医が推奨する予防薬を定期的に使用することで、マダニが犬に取り付くのを防ぎます。
    これはまるで、防御の魔法の結界を張るかのようなものです。

  3. 庭のメンテナンス:
    庭や散歩コースの草木を刈り込み、木陰やブッシュを避けることで、マダニの住みかを減らします。
    これは、敵の城を攻撃する前に、敵の領土を限定する戦術のようなものです。

  4. 防虫剤の使用:
    マダニが嫌う特定の防虫剤を使用して、犬の寝床や居住空間を処理します。
    これにより、マダニが犬に近づくのを阻止する防壁を作ることができます。

  5. 犬の健康管理:
    犬が健康であるほど、マダニに対して自然な防御力が高まります。
    栄養バランスの良い食事と適度な運動は、戦士を戦いに備えるための訓練のようなものです。

マダニから愛犬を守るために、これらの秘密の武器を使って戦いに挑むことが重要です。
それぞれが犬を守るための貴重な鎧となり、健康と幸せな生活を続けるサポートとなるのです。

マダニ症の予後

マダニ症の予後は、まるで絵に描いたような冒険の結末です。
愛犬の行く末は、彼らが遭遇するマダニの種類、感染がどれだけ早く発見されたか、そして適切な治療が施されたかにかかっています。

まず、マダニがただの通行人であった場合、つまり、マダニが病気を持っていなかった場合、予後は非常に良好です。
愛犬は、小さな傷跡を持つ勇敢な戦士のように、何事もなく通常の生活に戻ることができます。

しかし、マダニが悪名高い敵、つまり感染症を抱えていた場合、物語は異なります。
犬が感染した場合、戦いは激しくなりますが、早期発見と迅速な治療が鍵となります。
この場合、犬はハードルを乗り越える必要があり、回復には時間と忍耐が必要です。

そして、獣医との連携はこの冒険における強力な同盟です。
彼らの知識とスキルは、愛犬を安全に導くためのコンパスのようなものです。
獣医のアドバイスに従い、処方された治療を適切に行うことで、愛犬の回復をサポートします。

最後に、愛とサポートは、この旅において愛犬にとって不可欠なエネルギー源です。
愛犬が戦っている間、彼らを支え、安心させ、最高のケアを提供することで、彼らの勇気と回復力が増します。

この冒険がどのように進むかは予測できませんが、早期発見、適切な治療、そして愛情深いサポートで、愛犬がマダニ症という挑戦に立ち向かい、元気になる手助けをすることができます。

まとめ

マダニ症は、マダニが犬に寄生することで引き起こされる病気です。
これには二つの主な被害が含まれます。
一次被害はマダニの咬み付きそのもので、炎症、かゆみ、赤みなどが見られます。
二次被害はマダニが媒介する感染症で、ライム病やバベシアなどが含まれます。

  • 原因: マダニは高草地や森林地帯に生息しており、犬がこれらの場所を散歩すると寄生のリスクが高まります。

  • 症状: 皮膚の炎症、激しいかゆみ、疲れ、食欲不振、時には発熱や関節痛など。

  • 治療法: マダニの除去、抗生物質の使用、感染症に対する特定の治療。

  • 予防: 定期的なマダニ予防薬の使用、散歩後の体のチェック、マダニの生息地を避ける。

  • 予後: 早期発見と適切な治療が行われた場合、多くの犬は完全に回復します。ただし、感染症が関与する場合は、より注意深い管理と治療が必要となることがあります。

愛犬の健康を守るために、マダニ症に対する予防と早期発見に努めましょう。

 

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