やせた(げっそりした)

目次

もしも愛犬が異常に痩せたら~慢性胃炎やガンなどの疑いアリ~

愛犬の健康を日常的にチェックする中で、突然の体重の減少や異常な痩せ方を目の当たりにすることは飼い主として非常に心配なことです。
多くの場合、体重の減少は何らかの健康上の問題を示している可能性があります。

ここのページでは、愛犬が異常に痩せる場合に疑われる主な疾患やその原因、そしてどのように対処すれば良いのかについて情報を提供いたします。
愛犬の健康を守るための第一歩として、正確な知識を身につけ、早期発見・早期対応が必要です。


  • 寄生虫症
  • 糖尿病
  • アジソン病
  • 慢性胃炎
  • 幽門異常
  • 胃運動低下症
  • 肝臓・膵臓の病気
  • 肝性脳症
  • キー・ガスケル症候群
  • ガン
  • レッグパーセス病
  • 筋ジストロフィー
  • 多発性筋炎

寄生虫症

犬の寄生虫症は、内部または外部の寄生虫が愛犬の体内や体表に寄生して発症する疾患です。
これにより、犬の健康が損なわれる場合があり、特に消化器系の寄生虫の場合、栄養摂取の妨げとなり体重の減少を引き起こすことがあります。

主な寄生虫として、回虫、鉤虫、条虫、心臓フィラリアなどが挙げられます。
これらの寄生虫は、犬が汚染された土や水、感染した他の動物との接触、感染した蚊から媒介されるなどの様々なルートで感染します。

感染のサインとして、体重減少のほかにも下痢、嘔吐、腹部の膨張、毛並みの乱れなどが見られることがあります。
これらの症状が見られる場合や、愛犬の体調に異変を感じた場合は、早急に獣医師の診察を受けることが推奨されます。

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糖尿病

犬の糖尿病は、インスリンの不足や機能低下によって血糖値の調整がうまくいかなくなる疾患です。
この結果、血糖値が高くなり、さまざまな健康問題を引き起こす可能性があります。

糖尿病の典型的な症状としては、多飲多尿、異常な食欲、そして体重の急激な減少が挙げられます。
体内で糖の利用が効率的に行われないため、犬はエネルギーを得るための代替エネルギー源として脂肪や筋肉を分解することがあります。

早期発見と治療が重要であり、定期的な健康診断や日常の観察が犬の健康を守る鍵となります。
糖尿病が疑われる場合、速やかに獣医師の診断を受け、適切な治療を始めることが大切です。

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アジソン病

アジソン病は、副腎皮質の機能不全によりホルモンの分泌が不足する疾患です。
このホルモンは、体の塩分や水分のバランスを維持する役割や、ストレス応答に関与する重要な役割を果たしています。

アジソン病の犬は、体重減少、食欲不振、嘔吐、下痢、脱水症状や強い疲労を示すことが多いです。
症状は徐々に現れるため、初期段階では特定が難しい場合があります。

早期発見と治療がこの病気の管理には非常に重要です。
症状に気づいた場合は、速やかに獣医師の診断を受けることを推奨します。治療にはホルモン補充療法が主に用いられます。

なおアジソン病とは逆に、コルチゾールの産生が過剰になった状態がクッシング症候群です。

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慢性胃炎

慢性胃炎は、犬の胃の壁が長期間にわたって炎症を起こしている状態を指します。
この炎症は、様々な原因によって引き起こされることがありますが、具体的な原因が特定できないことも多いです。

犬が慢性胃炎を持っている場合、食欲不振、嘔吐、体重減少、腹部の不快感などの症状が見られることがあります。
症状は徐々に悪化することが一般的で、放置すると栄養失調や脱水の原因となることがあります。

症状の出現や悪化を感じた場合は、即座に獣医師の診察を受けることが必要です。
獣医師は胃の内視鏡検査や血液検査などを通じて診断を行い、適切な治療を開始します。

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幽門異常

幽門異常は、犬の胃と小腸を結ぶ部分、幽門部分の異常を指します。
この異常は、構造的または機能的な原因により、食物や液体の胃からの移動が妨げられる状態を生じさせます。

具体的には、幽門狭窄や幽門筋肉の動きの障害などが挙げられます。
これにより、食物や液体が胃から適切に小腸に移動しないため、嘔吐、食欲不振、体重減少などの症状が見られることがあります。

幽門異常の犬は、特に食後に嘔吐をすることが多く、持続的な栄養不足や脱水を引き起こす可能性があります。
早期の診断と適切な治療が重要ですので、症状を発見した場合は速やかに獣医師に相談することをおすすめします。

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胃運動低下症

胃運動低下症は、犬の胃の筋肉の動きが不十分となる状態を指します。
この症状が生じると、胃内の食物が適切に消化・移動されないため、胃内に食物が滞留することが起こります。

この状態は、食欲不振、吐き気、体重の減少などの症状を引き起こす可能性があります。
また、胃内の食物が長時間滞留することで、バクテリアの増殖や発酵が進行し、さらなる胃の不調を引き起こすことも考えられます。

胃運動低下症の原因は多岐にわたり、神経系の障害、代謝障害、感染症などが挙げられます。
症状の出現や進行には個体差があるため、異常を感じた場合は速やかに獣医師に診察してもらうことが重要です。

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肝臓・膵臓の病気

肝臓の主な働きは3つあります。1つ目は、犬たちの体に必要な蛋白の合成や栄養を貯蔵する事、2つ目は有害物質が体内に入って際のの解毒と分解、そして3つ目が食べ物の消化に必要な胆汁の合成や分泌になります。
犬たちが食べたものは胃や腸で吸収されやすい形に変えられた後、肝臓へ送られます。そして肝臓で体に必要な様々な成分に加工されると、動脈を通って必要な場所に配られていきます。
例えば、食事などからとった糖質は、グリコーゲンとして肝臓に蓄えられ、夜間にエネルギー源として血中に放出されます。
利用されて不要になった老廃物は、今度は静脈を通って肝臓へ戻され胆汁へ排泄されます。
その老廃物の一部は再び吸収されて肝臓で再利用されます。このように肝臓は栄養素の生産、リサイクルの中心となっています。

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肝性脳症

肝性脳症は、肝臓の機能障害が原因で起こる神経系の障害を指します。
肝臓は体内の有害物質を取り除く役割を果たしていますが、その機能が低下すると、これらの有害物質が脳に影響を与える可能性があります。

この状態は、行動の変化、興奮、錯乱、歩行障害などの神経症状を引き起こします。
また、食欲不振や体重減少が伴うことも多く、これが犬が異常に痩せる原因の一つとなり得ます。

肝性脳症の主な原因は、肝硬変、肝門脈シャント、肝臓の感染症などが考えられます。
症状の早期発見と適切な治療が必要であり、犬の異常な行動や体調の変化を感じたら、速やかに獣医師の診断を受けることが重要です。

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キー・ガスケル症候群

キー・ガスケル症候群(KCS: Key-Gaskell syndrome)は、自律神経系の障害による疾患であり、特に猫において報告されることが多いものの、犬にも稀に見られます。

この症状は、瞳孔の拡張、涙の減少、そして食道の運動機能低下を特徴とします。
特に食道の機能低下は、食物が胃にうまく進まないため、食欲不振や体重減少を引き起こす可能性があります。

病因は明確ではありませんが、感染症や免疫関連の原因が考えられています。
もし愛犬に上記の症状が見られる場合は、早めの診断と適切な治療が必要です。獣医師の指示のもと、適切な治療とケアを行うことが重要です。

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ガン

犬におけるガンは、体のどの部分にも発生する可能性がある疾患です。
ガンとは、細胞が正常でない増殖を繰り返し、組織や器官を破壊する病気を指します。
これにより、体のさまざまな機能に影響を及ぼすことがあります。

ガンの初期症状としては、食欲不振や体重の減少が挙げられます。
しかし、これらの症状は他の疾患でも見られるため、ガンの診断は獣医師の専門的な検査によって行われます。

犬のガンの種類や進行度によって、治療法や予後が異なります。
早期発見・早期治療が非常に重要であり、定期的な健康診断や異常を感じた際の速やかな獣医師の診察が勧められます

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レッグパーセス病

レッグパーセス病は、成長期の大型犬や中型犬に多く見られる関節の障害です。
この病気は、大腿骨頭の骨が正常に供給されないことで壊死(骨の死滅)を起こすことが特徴です。

症状としては、急な足の痛みや跛行(びこう、足を引きずること)が現れることが多いです。
また、痛みのために犬が食事を取ることができなくなり、体重の減少が見られることもあります。

原因は完全には解明されていませんが、遺伝的要因や急激な成長、外傷などが関与していると考えられています。
早期発見と治療が重要で、治療法としては、外科手術やリハビリテーションが選択されることが多いです。

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筋ジストロフィー

犬の筋ジストロフィーとは、細胞骨格を形成するタンパク質が不足しているか全く欠落しているため、筋肉が正常に働かなくなる病気です。
多くの種類がありますが、犬では「ベッカー型筋ジストロフィー」(日本スピッツなど)、「常染色体劣性型筋ジストロフィー」(ラブラドールレトリバーなど)などがあり、中でもX連鎖型筋ジストロフィーが最も有名です。
「X連鎖型」とは、性染色体である「X」に関連して発症することを意味しています。
多くの場合、生後10週~12週ごろに発症し、運動能力が著しく劣るため食事や授乳がままならず、結果的に栄養失調や肺炎、心臓の機能不全などで死んでしまいます。

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多発性筋炎

犬の多発性筋炎とは、遺伝的な要因により皮膚や体を動かす筋肉である複数の骨格筋に炎症を起こしてしまった状態のことです。
皮膚症状が強い場合は「皮膚筋炎」とも呼ばれます。
炎症が何によって引き起こされているのかはよく分かっておらず、免疫系統の乱れ、感染症、腫瘍などの可能性が考えられています
多くの場合、生後6ヶ月ごろまでに股間やわきの下に皮膚炎症状が見られますが、他の疾患との鑑別が難しいとも言われます。

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まとめ

愛犬が異常に痩せた場合、以下の疾患や要因が疑われます:

  1. 寄生虫症:内部寄生虫(例:回虫、鞭虫、条虫)や外部寄生虫(例:ノミ、マダニ)が原因で栄養摂取不足や消化不良を引き起こすことがある。
  2. 糖尿病:インスリンの不足や効果不足により、体内の糖をエネルギーとして使用できなくなる。
  3. アジソン病:副腎皮質ホルモンの不足による、体内の塩分や水分のバランスの異常。
  4. 慢性胃炎:胃の持続的な炎症による食欲不振や吐き気。
  5. 幽門異常:胃と腸との間の通り道の異常による食物の通過障害。
  6. 胃運動低下症:胃の筋肉の動きの低下による食物の滞留。
  7. 肝性脳症:肝臓の機能低下による神経症状や体重減少。
  8. キー・ガスケル症候群:小腸の筋肉の運動異常による消化不良。
  9. ガン:悪性腫瘍の発生に伴う栄養摂取不足や代謝の異常。
  10. レッグパーセス病:大腿骨頭の壊死による痛みや不快感での食事摂取減少。

これらの疾患や要因は、異常な体重減少の原因となる可能性があります。
ただし、体重減少の原因は多岐にわたりますので、具体的な症状や原因を正確に診断するためには、獣医師の診察を受けることが重要です。