犬の骨髄炎(こつずいえん)

 骨の中にある骨髄と呼ばれる組織に病原体が侵入し、炎症が発生した状態のことです。
 骨は通常、緻密骨(ちみつこつ)と海綿骨(かいめんこつ)から構成されています。前者は骨の外側を取り巻く頑丈な骨のことで、骨組織が緻密に張り巡らされています。後者は骨の内側にある網の目のような骨のことで、骨梁(こつりょう)と呼ばれる小さな柱状の骨が三次元的に組み合わせることで内部を補強しています。

 通常であれば、緻密骨によって保護されている骨の内腔、すなわち髄腔(ずいくう)に病原体が入ってくる事はありません。しかし骨に傷が付き、外界と髄腔とを結び付けるトンネルができてしまうと、病原体が内部に侵入し、髄腔内を埋め尽くす骨髄に取り付いてしまうことがあります。このようにして発症するのが「骨髄炎」です。

 仮に病原体が骨髄内に侵入しても、ほとんどの場合は臨床症状を示す事はありません。しかし病原体に、周辺組織の損傷、骨の壊死、骨折の不安定化、免疫力の低下、異物、外科的なインプラントといった他の要因が加わると、激しい炎症が起こり骨髄炎に発展してしまいます。

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主な症状
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犬の骨髄炎の主な原因

  • 出血を伴うような骨折や、骨膜に達するような傷があると、傷口から病原体が入り込み、さらに骨の亀裂部位から骨髄内へと侵入して骨髄炎を引き起こします。具体的には、高い場所からの落下、交通事故、他の犬との出血を伴うような激しいケンカなどです。
  • 他の組織の病原体が、血液に乗って骨髄にやってくる事があります。このパターンは成犬よりも子犬に多く、ほとんどのケースはへその緒からの病原体侵入です。 
  • 免疫力が低下していると、通常であれば抑えられるはずの病原体の繁殖を抑えこむことができず、激しい炎症につながってしまうことがあります。

 

犬の骨髄炎の主な治療法

  • 病原体を特定し、それに対応した薬剤を投与することがメインとなります。病原体として圧倒的に多いのはブドウ球菌で、これが全体の50%程度です。その他まれなケースとしては、アクチノミセス、コクシジオイデス、ヒストプラズマ、ブラストミセスといったものがあります。
  • 骨折の治癒過程が正常に起こらなかった場合には、外科手術が行われることもあります。具体的には、壊死した骨組織である「腐骨」の切除や、炎症を引き起こしているインプラントの除去などです。

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