犬のツメダニ皮膚炎~愛犬に大量のフケが発生したら~
犬のツメダニ皮膚炎とは、ダニの一種であるイヌツメダニ(Cheyletiella)の寄生によって引き起こされる皮膚炎のことです。
この皮膚炎の特徴は、かゆみ自体は軽いですが大量のフケが発生します。
皮膚症状を引き起こすツメダニとしては、主に犬に寄生する「イヌツメダニ」(C.yasguri)、主に猫に寄生する「ネコツメダニ」(C.blakei)、主にウサギに寄生する「ウサギツメダニ」(C.parasitovorax)の3種が有名で、体の前方についた鋭い鉤爪(フック)を最大の特徴としています。
この鉤爪で宿主の皮膚に取りつき、傷をつけて体液やリンパ液を摂取しながら生きていきます。
皮膚に穴をあけて掘り進めるヒゼンダニ(疥癬)と大きく異なるのはこの点でしょう。
大きさはメスが0.6mm、オスが0.4mm程度とやや大きめで、虫眼鏡さえあれば視認することができます。
宿主の皮膚の上で出会ったツメダニのオスとメスは、そこで交尾をして産卵します。
生まれた卵はまるで蚕のように糸で被毛に付着し、3~4週間かけて3回脱皮しながら、成虫へと育っていきます。
これがツメダニの基本的なライフサイクルです。
人にも動物にも感染する人獣共通感染症の一種ですが、人間にとって幸いなことに、ツメダニは人の皮膚の上では繁殖できません。
ですから一過性の症状を引き起こしたのち、自然消滅していきます。
ここでは、犬のツメダニ皮膚炎の主な原因はもちろん、症状から対処法などをまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。
- 犬のツメダニ皮膚炎の主な症状
- 犬のツメダニ皮膚炎の主な原因
犬のツメダニ皮膚炎の主な症状
犬のツメダニ皮膚炎の症状は、何といっても大量のフケの発生が特徴的です。
われわれ人間も発症しますが、その際イヌツメダニに刺されると発疹を起こし、強い痒みや痛みを伴います。
主な症状 |
☆フケ:ツメダニ皮膚炎の最大の特徴は大量のフケです。 |
☆ただれ |
☆かさぶた(痂皮, かひ) |
☆かゆみ |
犬のツメダニ皮膚炎の主な原因
犬のツメダニ皮膚炎は、イヌツメダニが寄生する事によって起こります。
このイヌツメダニの大きさは0.4~0.5mmぐらい、頭に巨大なかぎ爪を持っているのが特徴です。
- 感染した他の犬との接触
ツメダニに感染した他の犬との接触によって感染します。
特に1歳に満たない若齢の動物にかかりやすいとされます。
犬のツメダニ皮膚炎の主な治療法
犬のツメダニ皮膚炎の主な治療は、殺ダニ剤の投与による治療を行ないます。
しかし、殺ダニ剤はダニの卵には効かないので、数回の投与が必要になります。
- ダニの駆除
ダニを殺すような各種の治療が行われます。
具体的には、硫黄・サリチル酸配合のシャンプー、フィプロニルのスポットオンやスプレー、セラメクチンを含んだスポットオン(レボリューション®)、アミトラズ、イベルメクチンの投与などです。
副作用が強い薬もあるため、事前に獣医師から十分な説明を受けるようにしましょう。 - 部屋の掃除
ツメダニは宿主がいなくても10日間ほど生存することができます。
部屋の中をこまめに掃除したり殺虫剤を噴霧するなどして、ダニが繁殖しにくい住空間を作ることも重要です。
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