犬の白血病

犬の白血病~食欲不振、体重減少、嘔吐や下痢などがみられたら~

白血病は、通常、人間においてよく知られているが、犬にも発生する可能性があることを知っていますか?
犬の白血病は、犬の健康と命に深刻な影響を及ぼす可能性があり、飼い主としてその症状や治療法について知っておくことが重要です。

犬の白血病は、骨髄(骨の中にある柔らかい部分)で作られる血液細胞が、遺伝子の変化で正常に働かなくなる病気です。
このため、免疫にかかわる「白血球」(はっけっきゅう)の生成が邪魔されると、犬の免疫力が弱まり、病気にかかりやすくなります。
また、血液凝固作用のある「血小板」(けっしょうばん)の生成が邪魔されると、血液が固まりにくくなり、傷からの出血が止まりにくくなることもあります。
さらに、血液中の酸素を運ぶ赤血球」(せっけっきゅう)が減るため、貧血になることがあります。
これらの症状が現れるのが「白血病」です。
急に症状が悪化する急性白血病と、徐々に症状が進行する慢性白血病があります。

犬の白血病について、その原因や診断方法、予防策を詳しく解説し、愛犬の健康を守るために何ができるかを知ることができます。
ここでは、犬の白血病の主な原因はもちろん、症状から対処法などをまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。



犬の白血病の主な症状

  主な症状
☆急性白血病

急性白血病は、以下のような特徴と症状があります。

  1. 血液中の血球がすべて減少する病態。
  2. 血小板、赤血球、白血球(好中球)が減少する。
  3. 未熟な血液細胞「芽球」が増える。
  4. 症状は多様で、特異的なものはない。

症状の例:

  • 運動を嫌がる
  • ふらつく(貧血)
  • 歯茎の出血
  • 鼻血
  • リンパ節の腫れ
  • 関節痛
  • 肝臓や腎臓の腫れ
  • 微熱

注意点:

犬では少ないとされるが、適切な治療がないと4週間程度で命を落とすことがある

☆慢性白血病

慢性白血病は以下のような特徴と症状があります。

  1. 成熟した血液細胞が多くなりすぎる病態。
  2. 種類によって増えすぎる細胞が異なる。
  • 慢性リンパ性白血病: 小型リンパ球が増えすぎる
  • 慢性骨髄性白血病: 白血球が増えすぎる
  • 慢性好酸球性白血病: 好酸球が異常に増えすぎる
  • 真性多血症: 赤血球が増えすぎる
  • 本態性血小板血症: 血小板が増えすぎる

症状の例:

  • 微熱
  • ぐったりし、元気がない
  • 腹部のふくらみ
  • 約半数は無症状

注意点:

予後は比較的良好で、適切な治療が施されれば1~6年生きることが珍しくない。

犬の白血病の主な原因

犬の白血病の主な原因は以下のとおりです。

  1. 遺伝子変異: 犬の遺伝子が突然変わることで、血液細胞が正常に働かなくなります。
  2. ウイルス感染: 特定のウイルスに感染することで、遺伝子が変わり、白血病が引き起こされることがあります。
  3. 放射線や化学物質: 放射線や特定の化学物質にさらされることで、細胞が傷つき、白血病が発症することがあります。

これらの原因は、犬の免疫力が弱まり、血液細胞が正常に働かなくなることで白血病が発症します。
ただし、白血病の原因はすべての症例で明らかになっているわけではありません。
一部の症例では、原因不明のまま白血病が発症することもあります

犬の白血病の主な治療法

犬の白血病の主な治療法は以下のとおりです。

  1. 化学療法: 抗がん剤を使って、がん細胞を減らし、症状を緩和します。
    これは白血病の進行を遅らせる効果があります。

  2. 免疫抑制療法: 犬の免疫システムを抑制する薬を使って、異常な血液細胞の増殖を抑えます。
    これにより、正常な細胞が働くようになります。

  3. 輸血: 赤血球や血小板が減少している場合、輸血によってこれらの細胞を補充し、症状を緩和します。
  4. 副腎皮質ホルモン: 炎症や免疫反応を抑制し、症状の緩和を図ります。

治療法は犬の症状や白血病のタイプによって異なります。
適切な治療を選ぶためには、獣医師と密接に連携し、定期的に検査を受けることが重要です。
また、治療中も犬の体調に注意を払い、必要に応じて治療法を調整することが大切です。

犬の白血病の予後

犬の白血病の予後は、急性白血病(ALL)と慢性白血病(CLL)で異なります。
以下に分かりやすく説明します。

  1. 急性白血病(ALL):

    • 進行がかなり早く、積極的な抗がん剤などの化学療法が必要となります。
    • 予後はあまり良くありません。
    • 適切な治療がない場合、4週間程度で命を落とすことがあります。
    • しかし、迅速な治療が施されれば、生存期間が延びることもあります。
    • 急性リンパ芽球性白血病(ALL)の予後は非常に悪く、全く治療をしないと、数日から2~3週間で死に至るケースが多いです。
    • 生存期間は1か月から半年程度が多く、長くとも1年程度の生存となります。
  2. 慢性白血病(CLL):

    • 予後は比較的良好です。
    • 適切な治療が施されれば、1~6年生きることが珍しくありません。
    • 無症状の場合が多く、長期間安定した状態を維持できることもあります。

犬の白血病の予後は、病気の種類や進行状況、治療法によって大きく異なります。獣医師と密接に連携し、定期的に検査を受けることで、最適な治療法を選び、犬の生活の質を向上させることができます。

犬の白血病のまとめ

犬の白血病は血液の病気で、急性白血病(ALL)と慢性白血病(CLL)の2つのタイプがあります。以下に、分かりやすくまとめます。

  1. 白血病の原因:

    • 遺伝子変異
    • ウイルス感染
    • 放射線や化学物質
  2. 急性白血病(ALL):

    • 予後があまり良くない
    • 適切な治療がない場合、4週間で命を落とすことがある
    • 迅速な治療で生存期間が延びる可能性がある
  3. 慢性白血病(CLL):

    • 予後は比較的良好
    • 適切な治療で1~6年生きることが珍しくない
    • 無症状の場合が多く、長期間安定した状態を維持できることがある
  4. 治療法:

    • 化学療法
    • 免疫抑制療法
    • 輸血
    • 副腎皮質ホルモン

犬の白血病は、病気の種類や進行状況、治療法によって予後が異なります。
獣医師と密接に連携し、定期的な検査を受けることで、犬の生活の質を向上させることができます。

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