【完全ガイド】犬の留守番のしつけ

~犬たちにとって、留守番は精神的苦痛~

また、犬たちにとって、留守番をするという事は、われわれ人間が思っている以上にとてもストレスがかかるものです。
元々、群れて生活する犬たちにとって、孤独になる時間は精神的負担を強いる事になります。
お留守番の時間が長ければ長い程、ストレスの度合いも高くなります。

私たち飼い主にとっても、寂しがる愛犬を家に置いて、出かけるのは辛いです。
しかし、われわれ人間と生活する上で、必ず愛犬にお留守番をさせなくてはならない機会があります。

「犬の留守番のしつけ」は、ペットとして家族に迎えたわんちゃんが、安心して家を空けることができる飼い主さんにとって欠かせないスキルのひとつです。
この習慣を身につけさせることで、愛犬がストレスを感じず、家の中での安全を確保しながら留守番ができるようになります。
一体どのような手順で犬の留守番のしつけを行うべきなのか、またその際に注意すべきポイントは何なのか、今回はその全てを徹底解説していきます。

さあ、愛犬と快適な留守番生活を送るための秘訣を一緒に学んでいきましょう!


犬のストレスによる分離不安症について

~犬はとっても寂しがり屋~

犬のストレスによる分離不安症とは、飼い主さんがいない環境で過剰な不安やストレスを感じることが原因で起こる症状のことを指します。
主に飼い主さんとの別れが苦手な犬がこの症状を示すことが多く、留守番中に特に顕著に現れます。

冒頭でも述べましたが、犬は群れて生活する動物です。
ですので、たった一人で長時間過ごすというのは、寂しさと恐怖心で非常に大きな精神的負担が掛かります。
そんな状態が頻繁ですと、犬たちは精神的な疾患である分離不安を発症する事がよくあります。

下記に分離不安についてまとめました。

犬の分離不安の症状

分離不安症の主な症状は以下の通りです。

  1. 吠える・鳴く:
    留守番中にずっと吠え続けることがあります。

  2. 排泄物をする:
    ストレスにより家の中で排泄をしてしまうことがあります。

  3. 破壊行為:
    家具や壁、ドアなどを噛んだり引っ掻いたりすることがあります。

  4. 自傷行為:
    自分の体を舐めたり噛んだりして傷を作ってしまうことがあります。

  5. 異常な興奮:
    飼い主さんが帰宅すると過剰に興奮し、落ち着かない様子が見られます。

分離不安の治療法

上記の症状が現れる場合、以下のような治療法や対処法があります。

  1. 留守番の練習:
    短時間から始めて徐々に留守番時間を延ばし、犬に留守番に慣れさせることが大切です。

  2. ご褒美を用意:
    留守番中に犬が安心できるように、お気に入りのおもちゃやガムなどを用意しておくと効果的です。

  3. 安定した環境を作る:
    日常的なスケジュールを作り、犬に安定感を与えることでストレスを軽減できます。

  4. 適度な運動:
    適度な運動を行い、ストレスを解消することが重要です。
    特に飼い主さんとの散歩は効果的です。

  5. トレーニング:
    飼い主さんがいない時にも落ち着いて過ごせるように、基本的なトレーニングを行いましょう。
    詳しくは下記の次の章【犬の留守番のしつけについて】にて説明いたします。

  6. 医療的な対応:
    重度の分離不安症の場合は、獣医師と相談し、薬物療法やカウンセリングを検討することもあります。

  7. クレートトレーニング:
    犬に安全な場所としてケージやハウスなどのクレートを利用させることで、留守番中の不安を軽減できます。

  8. 音楽やテレビ:
    飼い主さんがいない間、音楽やテレビの音を流すことで、犬が寂しさを感じにくくなる場合があります。

  9. 飼い主の匂い:
    飼い主さんの匂いのするものを犬の寝床や近くに置くことで、安心感を与えることができます。

犬の分離不安症の対策は、愛犬との信頼関係を築くことが最も重要です。
犬が安心できる環境を整え、飼い主さんと一緒にいない時間もストレスなく過ごせるようにサポートしてあげましょう。

犬の分離不安症に対処するためには、根気強く対応することが大切です。
急に症状が改善されなくても焦らず、犬とコミュニケーションを取りながら、徐々に改善させていくことを心掛けましょう。
また、症状が悪化したり、改善が見られない場合は、獣医師と相談することをお勧めします。

犬の留守番のしつけについて

~分離不安症の治療にも効果~

354日24時間ずっと一緒にいられるわけではないので、必ず対応するようにしましょう。
留守番前に十分に散歩をさせて、ストレスを発散させた上で外出するのも効果があります。
ただ、それですと大雨の日や十分な時間を取れない事も多々あると思います。

犬の留守番のしつけについて、以下に分かりやすく説明します。

  1. 短時間から始める:
    最初は5分〜10分程度の短い留守番から始めて、徐々に時間を延ばしていきます。
    犬が安心して留守番できるように段階的に慣れさせることが大切です。

  2. ルーチンを作る:
    出かける前や帰宅時の一貫した行動を作り、犬がそのパターンを覚えるようにします。
    これにより、犬は飼い主さんの帰宅を予測しやすくなります。

  3. ご褒美を利用する:
    留守番中に犬が退屈しないよう、お気に入りのおもちゃやガムなどのご褒美を与えて、犬が留守番を楽しいものだと捉えるようにします。

リラックスシグナル

リラックスシグナルとは、犬がリラックスしている時に現れるシグナル(ため息をついたり、舌を出してペロリとしたりする)を覚え、犬がリラックスしている状態を作り出すことが大切です。
これにより、犬が留守番中にリラックスできる状態を作り出せます。

下記のようなリラックスシグナルがいくつか作っておくと、留守番中にシグナルを残しておくことによって、犬の不安が軽減されます。

リラックスシグナルの例

  • 聴覚的シグナル 飼い主の声をICレコーダーなどに録音しておき、犬がリラックスしているときに低音量で流す。
  • 嗅覚的シグナル 飼い主の匂いが適度に残った服やタオルなどをリラックスしている犬の下や近くに敷いてあげる
  • 視覚的シグナル リラックスしている犬から飼い主が見えないように隠れる→飼い主の姿が見えない状況に慣れさせる
  • 味覚・触覚的シグナル リラックスしている犬におやつを入れたコングやおもちゃなどを与える

犬の依存心を軽減する

犬は、吠えたてるなどすると飼い主が構ってくれると思ってしまっている事が多々あります。
犬が飼い主さんに過度に依存しないよう、自立心を育てます。
これには、犬と一緒にいる時間と離れる時間を適切にバランスさせることが重要です。
また、犬が飼い主さんに甘えたいときには適度にスキンシップをとりつつ、必要以上に甘やかさないようにします。

飼い主は犬の願望を満たす前には必ずアイコンタクトオスワリマテを行うようにしましょう。
また犬の要求を訴える吠えや飛びつき癖は徹底的に無視し、落ち着いてから要求に応えるように徹底しましょう。⇒問題行動予防トレーニング

犬を音に慣らす

分離不安の犬は、「物音に敏感で怖がり」な可能性が高いため、いろいろな音に慣らせておきましょう。
留守番中に起こり得る様々な音(ドアの開閉音、電話のベル、近所の騒音など)に犬を慣らします。これにより、留守番中に突然の音がしても犬が驚かないようになります。

また、犬はカミナリの音を怖がる傾向がありますので、一緒に家にいる時から雷鳴の録音を室内に流して慣れ去るようにすると良いでしょう。
その他には、大きな風の音も怖がることがあります。

飼い主の不在に慣らす

徐々に飼い主さんが部屋を出る時間を延ばしていき、犬が飼い主さんの不在に慣れるようにします。
最初は目の届く範囲で部屋を出たり、一時的に外出してすぐ戻ってくるような状況を繰り返し、犬が飼い主さんが必ず戻ってくることを理解させます。

手順の詳細は下記の通りです。

    1. ドアや壁がある場所で犬にお座りをさせて「待て」を命じます。
    2. 犬から離れていき、ドアや壁に体を半分だけ隠します。
    3. 犬が「待て」を維持できたら、「いいこ」とほめおやつを与えましょう。
    4. ※犬が「待て」を出来なかった場合は、黙って目を合わせず、犬に触れずに元の場所に誘導し、お座りさせ「待て」を命じます。
    5. 体が半分隠れた状態に慣れてきたら、今度はドアや壁の完全に隠れてしまいましょう。
      最初は3秒程度で犬のところに戻って、「いいこ」とほめ、おやつを与えましょう。
      少しずつ待機時間を5秒程度ずつ伸ばしていき、1分間待機状態を維持できるようにしましょう。
      今度はリラックスシグナルを用意し、5分単位で伸ばしていきましょう。
      15分間待機状態を維持できるようにしましょう。

    6. 今度は犬も疲れてしまうので、「伏せ」の姿勢で1分程度ずつ待機時間を伸ばしていきましょう。
      5分間待機状態を維持できるようにしましょう。

    7. ※途中で犬が動き出してしまった場合は、黙って目を合わせず、犬に触れずに元の場所に誘導し、お座りさせ「待て」を命じます。

犬に留守番させる時の注意

分離不安の有無に関わらず、犬の精神上において、あまり長時間の留守番は宜しくありません。
それは犬に過度のストレスを与え、「問題行動」を生む原因となります。
また、下痢、嘔吐、食欲不振といったストレスに起因する自律神経系の症状を引き起こすこともあります。
少なくとも生後14週齢に達するまでは、家族、信頼のおける知人、ペットシッターなどに頼み、子犬を長時間独りぼっちにさせないようにさせて下さい。

留守番させる前の注意

留守番前に散歩や遊びを通じて運動させることで、犬のストレスを軽減し、リラックスさせることができます。
また、疲れた犬は留守番中に寝ることが多くなり、ストレスが溜まりにくくなります。

ケージ・サークルで留守番させる場合

ケージ・サークル内で犬を留守番させると、犬にとってストレスになる可能性があります。
ケージやサークルを使用するときは、クレートのような身を隠せる場所と、そこからなるべく離れた場所にトイレを設置しましょう。

ケージをガジガジかじる「ケージバイター」の場合は、柵をかじって歯が折れてしまう可能性があるため、必ずおもちゃを用意しておきましょう。
ただし丸呑みの恐れがある小さなおもちゃは必ず避けて下さい。

留守番の際の注意

  1. 安全な環境を作る:
    留守番中に犬がケガをしないよう、家の中を安全に整えます。電気コードや有害な物質を犬の手の届かない場所にしまい、家具の角にはガードを取り付けるなど、安全対策を徹底しましょう。

  2. 水と食事の準備:
    犬が十分な水分を摂取できるよう、常に水を提供しておくことが重要です。また、留守番時間が長い場合は、適切なタイミングで食事を与えられるよう、自動給餌器を利用することも検討しましょう。

  3. 適切な温度と換気:
    犬が快適に過ごせる温度を保ち、適度な換気を行うことが大切です。特に夏場や冬場は室温が適切であることを確認し、エアコンや暖房を適切に設定しておきましょう。

  4. 退屈対策:
    犬が退屈しないよう、おもちゃやガムなど、犬が興味を持ち遊べるアイテムを用意しておくと良いです。特に、噛むことでストレスを発散できるおもちゃやガムが効果的です。

  5. トイレ対策:
    留守番中に犬がトイレを使えるように、犬用のトイレを設置しておきましょう。また、トイレのしつけが完了していない犬の場合は、新聞紙やペットシーツを利用しておくと良いです。

  6. 留守番中の様子を確認:
    犬の安全を確保するために、ペットカメラやセキュリティカメラを利用して、留守番中の様子を遠隔で確認できるようにすることもおすすめです。犬がストレスを感じている様子や異常行動がある場合、対策を講じることができます。

  7. 留守番時間の適切な設定:
    犬によって留守番に適した時間は異なりますが、できるだけ長時間の留守番を避けるようにしましょう。必要に応じて、ペットシッターや近所の友人・知人に頼んで、犬の様子を見てもらうことも検討してください。

  8. 帰宅時に怒らない:
    飼い主の帰宅時、留守番中にしてしまった問題行動に罰を与えないで下さい。
    犬が行動と賞罰を結びつけるのは行動の直後だけです。

これらの注意点を押さえつつ、犬の留守番のしつけを行い、犬が安心して過ごせる環境を整えましょう。
留守番が上手にできる犬は、飼い主さんも安心して外出できるため、犬との信頼関係がさらに深まります。
犬とコミュニケーションを大切にし、愛犬と快適な生活を送れるよう努めてください。

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犬の留守番の時間について

~小さな子犬ほど留守番はしずらい~

留守番の適切な時間は、犬の年齢や性格、その日のコンディション、しつけの度合いや室内環境によって異なります。
一般的には以下のような目安があります。

  1. 幼い子犬(3ヶ月以下):1時間程度
    幼い子犬はまだトイレのしつけも完了していないことが多く、頻繁にトイレに行く必要があります。
    また、子犬は飼い主と一緒にいる時間を大切にし、慣れ親しんだ環境で成長することが重要です。
    そのため、1時間程度の短い留守番が適切です。

  2. 子犬(3〜6ヶ月):2〜3時間程度
    子犬は成長するにつれて、留守番に対応できる時間が徐々に延びてきます。
    しかし、まだトイレの間隔が短いため、2〜3時間程度の留守番が適切です。

  3. 若い成犬(6ヶ月〜1歳):4〜6時間程度
    若い成犬はトイレの間隔が長くなり、留守番に対応できる時間が延びます。
    4〜6時間程度の留守番が適切ですが、犬の性格やストレス耐性によってはもう少し短い時間で様子を見ることが望ましい場合もあります。

  4. 成犬(1歳以上):6〜8時間程度
    成犬になると、一般的には6〜8時間程度の留守番が可能です。
    ただし、犬の性格やストレス耐性、健康状態によっては、これよりも短い時間で様子を見ることが望ましい場合もあります。

  5. 高齢犬:4〜6時間程度
    高齢犬は、若い成犬と同様に4〜6時間程度の留守番が適切です。
    ただし、高齢犬は健康状態やトイレのコントロールが難しくなることがあるため、状況に応じて留守番時間を調整する必要があります。

犬の留守番時間は個体差があるため、飼い主としては犬の様子をよく観察し、無理のない範囲で設定することが大切です。
犬が安心して留守番できる環境を整えることで、飼い主も安心して外出でき、犬との信頼関係がさらに深まります。
犬とのコミュニケーションを大切にし、愛犬と快適な生活を送るために努めてください。

犬の留守番のグッズやおもちゃ

~愛犬のお気に入りのおもちゃを複数準備しましょう~

愛犬をお留守番させる時に、お気に入りのおもちゃなどがあると、非常に助かります。

留守番の際の愛犬の気が紛れるような雰囲気作りとして、食べ物を中に入れて遊びながら食べ物を出す“知育玩具”というおもちゃでの「コング」をはじめ「ガジー」や「ドッグピラミッド」などが代表的です。
その他にもいろいろな種類のおもちゃがありますので、いくつかを試して愛犬に合うものを見つける事が大事です。

愛犬のお気に入りのおもちゃを探す

愛犬がどんなおもちゃに興味を示すかは、実際に与えてみなければ分かりません。
愛するワンちゃんの為には、それ位の労力を惜しまずに与えて欲しいです。
その愛情はきっと愛犬にも伝わります。
飼い主と愛犬の絆とはそういうものだと思います。

お留守番の際には、中にフードを入れられる「ガジィートレジャー」や「マカロンGUZZY」などがオススメです。

下記に手頃な価格で様々なおもちゃを扱っているサイトです。
参考までにどうぞ。

愛犬のおもちゃを探す⇒外部リンク:犬の通販デパート ニコシティ

また、飼い主の声を聞かせる事ができる室内カメラなども良いと思います。
カメラの映像を外から確認する事も出来ますし、一石二鳥ではないでしょうか?

まとめ

✔ 長時間、留守番をさせなくてはならない時、ペットホテルの利用も
✔ 幼い子犬は長時間の留守番は避けて
✔ 少しずつ留守番に慣れさせて

われわれ人間は、自分の幸せの為に生れたばかりの子犬を母犬から連れ去り、我が家に連れてきています。
ですので、出来る限りの幸せを愛犬に注ぐ義務が、われわれ人間にはあります。
留守番は犬たちにとって、とても大きなストレスを与えるものであると理解する事が最初の一歩であり、もっとも大事なマインドだと私は思います。

どうしても長時間の留守番をさせなくてはならない時は、ペットホテルに預けるなど第三者に依頼する事も選択肢としてあるでしょう。
しかも、何回か同じホテルで預けていくと、そこの職員にも慣れてきて、愛犬にとってもほとんどストレスが掛からなくなる事もあります。
確かに費用は掛かってしまいますが、愛犬の精神的負担を考えれば仕方ないと思って頂ければ幸いです。

小さな子犬は長時間の留守番は難しいので、なるべく早く帰宅するようにしてあげて下さい。

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