犬の膵外分泌不全症(すいがいぶんぴふぜんしょう)

犬の膵外分泌不全症~食欲はあるのに、痩せていったら~

膵外分泌不全症(すいがいぶんぴふぜんしょう)は、内分泌と外分泌とに分かれた膵臓の機能の内、外分泌機能が損なわれた状態のことです。

膵臓はたんぱく質や炭水化物、脂肪の三大栄養素などを分解するさまざまな消化酵素を分泌し、消化・吸収を助けています。
膵外分泌不全にかかると、その消化酵素の分泌がほとんどされなくなってしまい、消化がうまく行われないので、栄養の吸収も十分にできなくなり、みるみる痩せていきます。

 膵臓の内分泌機能は、ランゲルハンス島が中心となってホルモン(インスリンやグルカゴン)の生成に携わっており、対する外分泌機能は主に消化酵素(膵液)の生成に携わっています。
ですから外分泌機能不全というときは、消化酵素が十分に働かなくなった状態を言います。

ここでは、犬の膵外分泌不全症の主な原因はもちろん、症状から対処法、かかりやすい犬種などをまとめています。


  • 膵臓の役割
  • 犬の膵外分泌不全症の主な症状
  • 犬の膵外分泌不全症の主な原因
  • 犬の膵外分泌不全症の主な治療法

膵臓の役割

機能部 役割
膵臓・内分泌部

膵臓の中にランゲルハンス島という形で点在しており、全体の約10%を占める。
血糖値を下げる「インスリン」と血糖値を上げる「グルカゴン」を生成する。

膵臓・外分泌部

膵臓の約90%を占める。デンプンを分解する「アミラーゼ」、脂肪を分解する「リパーゼ」、タンパク質を分解する「トリプシン」と「キモトリプシン」、核酸を分解する「ヌクレアーゼ」などを生成する。

犬の膵外分泌不全症の主な症状

膵液は炭水化物、脂質、タンパク質という三大栄養素全ての分解に関わっているため、必然的に消化不良が症状の中心となります。
主な症状は、脂肪が分解されない為に量の多い悪臭のある白っぽい軟便をしたり、水っぽい下痢がみられることもあります。

膵外分泌不全の犬は食欲が旺盛であり、よく食べますが痩せていて体重が増えないというという特徴もみられます。
通常、特に元気がないという事はありませんが、毛並みが悪い傾向があります。

主な症状
☆たくさん食べる
☆食事量の割りに太らない
☆油の腐ったような糞(脂肪便)
☆おならが多い
☆おなかがよく鳴る
☆うんちが多い
☆食糞行動が見られる
小腸性下痢症

小腸細菌過増殖(SIBO)
小腸内に生息している細菌が何らかの理由で異常に増えてしまった状態のことです。
膵外分泌不全症にかかった犬の約70%で見られ、小腸性の下痢を引き起こします。

犬の膵外分泌不全症の主な原因

膵臓には、血糖値を調節するインスリンなどのホルモンを分泌する内分泌と消化酵素を分泌する外分泌のがあります。
膵外分泌不全はこのうちの外分泌の働きが何らかの原因で阻害されて起こります。

  • 外分泌腺の萎縮
    年の若い犬においては、外分泌腺の萎縮が原因として多く見られます(膵腺房萎縮)。
    ただし、なぜ萎縮するかに関してはよくわかっていません。

  • 膵臓の炎症
    老齢の犬においては、膵臓に発生した炎症がなかなか治らず慢性化したときに発症します。

  • 遺伝子
    ジャーマンシェパードでやや多いことから、何らかの形で遺伝子が関わっているものと推測されています。

犬の膵外分泌不全症の主な治療法

膵外分泌不全の治療は、膵酵素などの消化酵素を毎回食事に混ぜて与えますが、膵臓の消化酵素を分泌する機能は回復しないといわれており、一生涯膵酵素の補給が必要になります。
また腸の状態によって、抗生剤なども投与します。

  • 消化酵素の投与
    本来膵臓が作るはずの消化酵素を食事の中に混ぜて補ってあげます
    一度失われた膵臓の機能が回復することはないため、一生涯の継続が必要です。

  • 食事療法
    消化しやすいメニューに切り替えます

    具体的には、脂肪量を減らす、1回の食事量を減らして回数を増やす、
    腸内細菌の異常増殖を招いてしまう食物繊維は少なめにするなどです。

最後に

膵外分泌不全は、治療を行うことでほとんどの犬は消化不良が改善され、普通の生活を送れるようになります。
食事の量は多いのになぜか痩せていたり、水っぽい軟便をするなどの異常がみられた場合は動物病院を受診しましょう。

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