犬の耳腫瘍(みみしゅよう)

 耳のひらひら部分や耳の穴の中に腫れ物ができた状態のことです。
 耳の穴である「外耳道」の表面は、皮膚の最上部に当たる「表皮」(ひょうひ)、表皮の下で皮膚の形状を維持する「真皮」(しんぴ)、そして「アポクリン腺」と呼ばれる分泌腺などから構成されています。腫瘍はこれら全ての組織から発生する可能性があり、その性質によって「良性」と「悪性」とに分類されます。「悪性」とは、異常な細胞分裂を繰り返して他の臓器に支障をきたすようなタイプのことです。

 また、厳密には腫瘍ではありませんが、たまに発生する「真珠腫」(しんじゅしゅ)も無視できません。「腫瘍」が「自律的に分裂・増殖した細胞の塊」を意味しているのに対し、「嚢腫」(のうしゅ)は「袋状の組織内に何らかの内容物が詰まった状態」を意味しています。「真珠腫」は、「腫」という言葉がついているため「腫瘍」と勘違いしそうですが、厳密には「嚢腫」に分類されます。好発部位は外耳道や鼓膜の奥にある鼓室と呼ばれる部分の表面で、鼓室で発生した真珠腫が炎症を引き起こし、中耳炎に発展したものが「真珠腫性中耳炎」です。

 肉眼で確認できるような腫れがあること以外は、外耳炎中耳炎と言った他の疾患を症状を共有しています。なお、ただ単に外観を見ただけで、それが良性腫瘍なのか悪性腫瘍なのかを見分けることはほとんどできません。

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主な症状
☆イボ状の盛り上がりを視認
☆腫瘍からの出血
☆腫瘍から膿(うみ)や脂の排出
☆耳をしきりに触ろうとする
☆頭を振る

 

犬の耳腫瘍の主な原因

  • 腫瘍の多くは原因不明で発生します。
  • 「真珠腫」や良性腫瘍に関しては、外耳道や鼓室の皮膚における慢性的な炎症が引き金になっていると考えられています。
 

犬の耳腫瘍の主な治療法

  • 腫瘍が良性で命を脅かすものでない場合は、疾患の原因を取り除くよりも、症状の軽減を目的とした治療が施されます。
  • 腫瘍が悪性で命を脅かす危険がある場合は、外科的に腫瘍を切除します。垂直耳道に腫瘍がある場合は、「外側垂直耳道切除術」(Zepp’s法)が行われ、水平耳道に腫瘍がある場合は、「全耳道切除術」と「外側鼓室胞骨切り術」が複合的に行われます。前者は、耳の付け根あたりの皮膚を切り開き、垂直耳道にアプローチするという手技です。後者は骨切りを伴う非常に難易度の高い手技であるため、熟練した専門医による執刀が推奨されます。

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