犬の糖尿病

ホルモンの一種であるインスリンの働きが悪くなることで、血液中の糖が多くなってしまう病気です。インスリンは膵臓(すいぞう)から分泌されており、血液中のグルコース(糖)を細胞内に取り入れる働きをしています。

インスリンの働きが弱まってしまうと、本来細胞の中に入るはずのグルコースが血液中に残ったままになり、血液中の糖濃度が高くなってしまいます。この状態を高血糖(こうけっとう)といい、長期的に続くと体の至る所に障害を引き起こします。膵臓の機能が壊され、インスリンが出なくなることで症状を呈するものが「I型糖尿病」(インスリン依存型糖尿病, IDDM)、膵臓は保たれているものの、その他の理由で症状を呈するものが「II型糖尿病」(インスリン非依存型糖尿病, NIDDM)です。犬における割合は、「I型:II型=4:1」程度と推定されており、猫の「1:4」とはちょうど真逆の関係になっています。

犬の正常な血糖値は、空腹時で60~100(mg/100ml)ですが、複数回の検査で値が150以上を記録する場合は糖尿病が疑われます。糖尿病を発症したときの主な症状は以下です。

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主な症状
☆水を大量に飲む
☆食べる量が増える
☆体重減少
☆おしっこの量や回数が増える
☆腹部がふくれる(肝臓)
☆白内障
☆糖尿病性ケトアシドーシス

 

犬の糖尿病の主な原因 

  • 早食い・ドカ食いが習慣化していると、食事のたびに大量のインスリンが放出されるようになります。すると、細胞ひとつひとつのインスリンに対する反応が鈍くなり、血糖を取り込む作用が徐々に鈍ります。結果、血中の糖濃度が高いまま保持されるようになり、糖尿病に発展します。
  • 1歳以下の犬が糖尿病にかかる割合はわずか2~3%で、大部分は6歳以上の犬で占められています。これは基礎代謝の低下により、食事量がいつのまにか過多状態になったことと関係があるかもしれません。
  • 明らかにかかりやすい犬種としてはミニチュアシュナイザービーグルダックスフントプードル
  • 肥満という素因が絡んだとき、さらに多く発症します。
  • 老齢のメス犬が糖尿病にかかる率は、オス犬の4.5倍程度であると推計されています。こうしたデータから、メス犬の体内にある性ホルモン(おそらくはプロゲステロン)が糖尿病の発症と何らかのかかわりがあると見られています。
  • 先天的に膵臓の機能不全があり、インスリンを産出できないという犬もいます。

 

犬の糖尿病の主な治療法 

  • 人工的に生成したインスリンを皮下注射します。獣医師の指示を受けた飼い主が、毎日の日課として行うのが普通です。効果が出るのは注射後3時間たったころからで、効果はおよそ18~24時間持続します。また最も効果が高いのは注射後8~12時間後です。
     インスリンの注射量は、多すぎても少なすぎてもいけません。多すぎると低血糖発作(ていけっとうほっさ)を起こし、意識を失ったりけいれんを起こしたりすることがあり、逆に少なすぎると、血糖値が十分に下がらない状態になって注射した意味が薄れてしまいます。インスリンの適正量は、その日の運動量や摂取カロリーによって左右されますので、獣医師とよく相談の上、決める必要があります

     

    ※尿糖試験紙 尿中の糖分(尿糖, にょうとう)の度合いを視覚的に知ることのできる試験紙が市販されています。人間用のものを転用することも可能です。

  • 食事量が多すぎると、血中に放出される糖分も増えますので、食事の質と量には十分な配慮が必要です。獣医さんとよく相談の上、運動量とあわせて毎日の摂取カロリー数、給餌回数、タイミングなどを設定します。また近年は療法食の一種として糖尿病や肥満に特化したものもありますので、獣医師に相談の上、導入するかどうかを決めます。
     

    ※糖尿病の療法食 糖尿病を抱えた犬猫に配慮した栄養設計の療法食も市販されています。特徴としては、糖としての吸収速度が遅い大麦などを使用している点、食物繊維、タンパク質を豊富に含んでいる点、カロリー控えめな点などが挙げられます。

  • 余分な脂肪を減らしたり、多すぎる血糖を消費する目的で運動療法が取り入れられることもあります。インスリン注射と併用している場合は、その日の運動量によって注射量が変動しますので、獣医師とよく相談の上、運動計画を立てます。

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