犬の膀胱炎(ぼうこうえん)

犬の膀胱炎~愛犬のトイレの回数が異常に多い場合は~

膀胱(ぼうこう)とは腎臓から送られてくる尿を一時的に溜める袋状の器官であり、左右の腎臓から尿管を通して尿を受け取り、尿道を通して体外に排出します。

膀胱炎は、おもに尿道から入った細菌が尿管を伝って逆行し、膀胱に達して炎症を引き起こした状態のことを指します。
膀胱は通常、伸縮性があるのである程度の尿を溜めておくことが可能ですが、膀胱炎になると膀胱が硬くなってしまい、尿を溜めることが難しくなります。
また、メスの方が膀胱炎にかかりやすいのは、オスと比較して尿道が短いため、細菌の進入を容易に許してしまうからです。
発症の仕方により急性と慢性とがあり、急性症状を放置して慢性化した場合は腎盂腎炎や結石症などの合併症を引き起こすことがあります。

ここでは、犬の膀胱炎の主な原因はもちろん、症状から対処法、予防法や再発を繰り返す理由などをまとめていますので、是非ご参考になさって下さい。


  • 犬の膀胱炎の主な症状
  • 犬の膀胱炎の主な原因
  • 犬の膀胱炎を繰り返す場合
  • 犬の膀胱炎の主な治療法
  • 犬の膀胱炎の予防

犬の膀胱炎の主な症状

膀胱炎の代表的な症状は、頻尿、またはトイレで排尿をしようするが尿がほんの少ししか出ないなどが見られます。
さらに尿に血が混じったり、いつもよりも尿から生臭いにおいがしたりすることもあります。

主な症状
☆ぐったりして元気がない
☆食欲不振
☆発熱
☆水をたくさん飲む
☆おしっこの回数が増える
☆尿の色が濃い
☆尿がにごっている
☆血尿
☆尿のにおいが強い

犬の膀胱炎の主な原因

  • 細菌感染
  • ストレス
  • 結石
  • 寒冷

犬の膀胱炎は細菌感染が原因であることが多いです。
膀胱炎を確定診断する際や原因菌を特定する際、犬のおしっこを採って中に含まれる細菌を培養する必要があります。
しかし尿中の細菌は、採尿方法によって大きく変動するため注意が必要です。

例えば膀胱に注射針を刺して吸い取る「膀胱穿刺」(ぼうこうせんし)という方法の場合、「尿中に確かに細菌が含まれている」と判断する際の目安は「1,000個/ml」になります。
一方、尿道からカテーテルを挿入して採尿した場合は「10,000個/ml」、そして犬が自発的に出した尿を採った場合は「100,000個/ml」というのが一般的な目安です。
最も純度が高い、すなわち途中で混入する余計な細菌が少ないおしっこを採る際は「膀胱穿刺」が最も望ましい方法です。
 

犬の膀胱炎を繰り返す場合

膀胱炎は比較的再発しやすい病気です。
再発を繰り返す場合は慢性膀胱炎です。
抗生物質に抵抗力をもつ耐性菌という細菌が増殖しているか、すでに膀胱内に結石ができておりそれが慢性的に膀胱粘膜を刺激することで再発を繰り返すことがあります。
去勢手術を行っていない高齢のオス犬では、前立腺疾患が原因となって細菌性膀胱炎を起こすことも比較的よくみられます。

犬の膀胱炎の主な治療法

  • 抗生物質の投与
    膀胱炎を引き起こしている細菌を特定し、最も効果がある抗生物質を投与します。
    感染症を引き起こす細菌としては、大腸菌、ブドウ球菌、プロテウス属が有名で、全体の半数以上を占めます。
    残りはレンサ球菌、クレブシエラ・ニューモニエ、エンテロバクター属、シュードモナス属、コリネバクテリウム属などです。
    薬が効いたかどうかを定期的にチェックしながら、最善の投薬計画を獣医師と共に探っていきます。
    なお悪化して腎盂腎炎を発症した場合は、そのつど症状にあわせた治療法が選択されます。

  • 基礎疾患の治療
    膀胱炎が長期化したり、いったん治った後にまた再発するような場合は、炎症を引き起こしている他の疾患の可能性が考慮されます。
    結石、腫瘍、先天的異常がないかどうかを再検査し、結果に応じた治療が選択されます。

犬の膀胱炎の予防

犬は尿を排出することで膀胱の中を洗い流し、膀胱への細菌の定着を防いでいます。
ですので、排尿を長時間我慢させる事を避け、水を自由に十分飲める環境を作ることが大切です。
旅行の際には、乗り物に乗る前に少し歩かせて、尿を促したりしましょう。

また、はっきりとした症状が出ない場合もありますので、定期的な健康診断を行い、尿検査を受けることで気付きにくい膀胱炎を発見することができることもあります。

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