尿が濁っている

目次

もしも愛犬の尿が濁っていたら~愛犬の健康を見逃さない!尿の変化が警告する健康リスク~

ペットの健康は日常の小さなサインから警告を発していることがあります。
例えば、愛犬の尿。通常は透明またはわずかに黄色がかっているものですが、それが濁っていたり、異物が混じっているように見えたら、ただ事ではありません。
濁りは、単なる一時的な変化かもしれませんが、場合によっては泌尿器系や他の体系の重大な疾患を示している可能性もあります。

このページでは、愛犬の尿が濁った時に考えられる様々な原因と、それぞれの疾患の特徴、必要となる行動について詳しく解説します。
膀胱炎から腎臓病、感染症から糖尿病に至るまで、濁尿が指し示す可能性のある健康問題を見極め、愛犬の健康を守るために必要な情報を提供します。
愛犬の命を脅かす健康トラブルは、見過ごさずに早期発見・早期対応が鍵となります。
それでは、愛犬の尿の変化から読み取れる健康のサインについて一緒に学んでいきましょう。


  • 膀胱炎
  • 腎盂腎炎
  • 腎結石
  • 膀胱結石
  • 前立腺炎
  • 前立腺腫瘍
  • 溶血性貧血

膀胱炎

膀胱炎は、犬の膀胱の内壁に炎症が起こる状態を指します。
愛犬の尿が濁っている場合、これは膀胱炎の可能性があるという兆候です。

症状には、頻尿、尿失禁、排尿時の痛み、または血尿が含まれることがあります。
犬が排尿に苦労しているように見えたり、尿の色や臭いが通常と異なる場合、膀胱炎を疑う必要があります。

原因としては、細菌感染が最も一般的ですが、結石、腫瘍、あるいは体のストレスによるものもあります。

診断は、獣医師が尿検査を行い、時には超音波検査やX線などの画像診断を使って行います。
治療は通常、抗生物質によるものですが、原因によってはさらなる治療が必要になることがあります。

愛犬が膀胱炎の症状を示している場合、早急に獣医師の診察を受けることが重要です
放置すると、感染が腎臓に上行し、より深刻な状態を引き起こす可能性があります。
また、充分な水分摂取を促すことが、膀胱炎の予防と治療に役立ちます。

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腎盂腎炎

腎盂腎炎は、犬の腎臓の腎盂と呼ばれる部分と腎実質に炎症が発生する病気です。
尿が濁るほかに、血尿や排尿時の痛みなどの症状が見られることがあります。

この状態は通常、細菌が尿路を通じて腎臓に達した結果起こります
これは、下部尿路感染症が上行して腎臓に影響を及ぼした場合によく見られます。

症状には、発熱、食欲不振、嘔吐、無気力などがあり、愛犬が腹部に痛みを示すこともあります。

診断には、尿検査、血液検査、超音波検査、またはX線などが含まれることが多く、これにより炎症の存在とその範囲を特定します。

治療としては、抗生物質を用いた感染症の管理が主であり、重症の場合は入院しての点滴治療が必要になることもあります。
また、慢性的な腎盂腎炎の場合は、栄養管理や長期にわたるケアが求められることがあります。

腎盂腎炎は放置すると腎不全を引き起こす可能性があるため、愛犬に上記の症状が見られたら早急に獣医師に相談することが重要です。

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腎結石

腎結石は、犬の腎臓に結晶が形成される状態で、これが原因で尿が濁ることがあります
結石は主にカルシウム、ストルバイト、尿酸などから成り立っています。

この病態はしばしば無症状であることが多いですが、結石が尿路を塞いだり、移動する際に痛みを伴うことがあります
血尿や頻尿、そして排尿困難などの症状が結石の存在を示唆することがあります。

診断は、尿検査、X線、超音波検査によって行われ、結石の大きさや数、位置を特定することができます。

治療法としては、結石の種類に応じて、食事療法、薬物療法、または外科手術が選択されます。
小さな結石は自然に排出されることもありますが、大きな結石や尿路を塞ぐ結石は手術による除去が必要になることがあります。

腎結石は放置すると尿路閉塞や腎不全を引き起こすリスクがあるため、尿の変化を見逃さずに獣医師の診察を受けることが重要です

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膀胱結石

膀胱結石は、犬の膀胱内に結晶が固まって形成される状態であり、これにより尿が濁ることがあります
結石はカルシウムオキシレートやストルバイトなどの物質から成ることが多いです。

結石がある場合、血尿頻尿排尿時の痛みや苦しみを犬が経験することがあります。
結石が膀胱を刺激することで炎症や感染を起こすこともあります。

診断は、尿検査、X線撮影、または超音波検査を通じて行われ、結石の存在を確認できます。

治療は、結石の種類とサイズによりますが、食事療法薬物療法水分摂取の増加、または手術による結石の除去が行われることがあります。

結石によって尿路が閉塞してしまうと、緊急の医療介入が必要になる可能性があるため、早めの獣医師への相談が推奨されます

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前立腺炎

前立腺炎は、犬の前立腺に炎症が生じる状態で、主に去勢されていない成犬のオスに見られます
炎症は細菌感染によるものであることが多く、尿の濁り、排尿困難、血尿、または排尿時の痛みが見られることがあります。

診断は獣医師による身体検査、特に前立腺を触診することで行われ、必要に応じて超音波検査、尿検査、血液検査、前立腺液のサンプリングが行われます。

治療には、抗生物質による治療が一般的であり、炎症や感染を抑えるために数週間から数ヶ月間投与されることがあります。
重症の場合や、細菌感染が原因でない場合には、ホルモン治療や手術が必要になることがあります

前立腺炎は治療しなければ重篤な合併症を引き起こす可能性があり、特に急性の前立腺炎は犬にとって非常に痛みを伴う状態になるため、症状が見られたら迅速に獣医師の診察を受けることが重要です

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前立腺腫瘍

前立腺腫瘍は、犬の前立腺に発生する腫瘍で、良性のものと悪性のものがあります
悪性の前立腺腫瘍は特に高齢の犬に見られることが多いです。
この状態の症状としては、尿の濁り、排尿困難、血尿、下痢、便秘、または排便時の痛みなどが挙げられます。

診断には、獣医師による詳細な身体検査、触診、超音波検査、尿検査、そして必要に応じて生検などが含まれることがあります。

治療法としては、良性の腫瘍であれば去勢が有効である場合が多いですが、悪性腫瘍の場合は手術、化学療法、放射線療法などが選択されることがありますが、治療法は腫瘍の種類や進行状況に大きく依存します。

前立腺腫瘍は特に悪性である場合、他の臓器への転移を含む重篤な健康問題を引き起こす可能性があるため、早期発見と治療が重要です。
尿の変化に気づいた場合は、速やかに獣医師に相談することが推奨されます。

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溶血性貧血

溶血性貧血は、赤血球が通常よりも早く破壊される状態を指し、犬の赤血球寿命が短くなる病気です。
尿が濁るのは、破壊された赤血球から解放されるヘモグロビンが尿に混ざることで起こり得ます。
この状態は、免疫介在性の原因、感染症、遺伝的条件、あるいは毒素の摂取によって引き起こされることがあります。

症状には、強い疲労感、呼吸困難、心拍数の増加、粘膜の蒼白などがあります。
溶血により、黄疸(いくら)、暗い色の尿、または尿が濁ることが見られることもあります。

診断は、全血算定、血液生化学検査、尿検査、そして場合によっては骨髄生検を含む一連の検査によって行われます。

治療は、原因を特定し除去すること、そして場合によっては免疫抑制剤、ステロイド、輸血などが含まれます。
溶血性貧血は緊急を要する可能性があるため、急いで獣医師の診断と治療を受けることが重要です。

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まとめ

愛犬の尿が濁っている場合に考慮すべき点はいくつかあります。
ここでは、主なものをまとめてご紹介します。

  1. 尿路感染症:

    • 尿が濁る一般的な原因は、尿路感染症です。細菌が尿路に侵入し、炎症を起こすことで、膿や血液が混じることがあります。
  2. 膀胱結石や尿路結石:

    • 濁った尿は結石が原因であることもあり、これは犬にとって非常に痛みを伴います。尿に結晶が見られる場合も同様です。
  3. 腎臓の問題:

    • 腎臓疾患が進行している場合、腎機能の低下により尿の濁りを引き起こすことがあります。
  4. 糖尿病:

    • 濁った尿は糖尿病の兆候であることもあり、尿に糖分が含まれている状態を指します。
  5. 脱水症状:

    • 水分不足は尿が濁る原因となることがあり、十分な水分摂取が重要です。
  6. 食事の影響:

    • 特定の食品やサプリメントが尿の変色や濁りを引き起こすことがあります。
  7. 出血:

    • 内部出血が尿に混じると、尿が濁ることがあります。

留意すべき行動:

  • 尿の色や量に注意する: 濁りの程度や変化を観察し、尿の量が普段と比べて増えたり減ったりしていないかチェックします。
  • 他の症状を確認する: 頻尿、血尿、痛みを伴う排尿、食欲不振、嘔吐、疲労など他の症状がないか観察します。
  • 水分摂取を促す: 清潔で新鮮な水をいつも利用できるようにして、適切な水分摂取を促します。
  • 食事管理: 食事の内容を見直し、必要に応じて獣医師の指示に従い、食事療法を行います。
  • 速やかな獣医師の診察: 上記のような変化が見られた場合、早めに獣医師の診察を受けることが重要です。尿検査などを行い、具体的な原因を突き止め、適切な治療を行うことができます。

濁った尿は、犬が何らかの健康上の問題を抱えている可能性があります。
観察だけで自己判断せず、獣医師の診察を受けることが何よりも重要です。