犬の慢性腎不全~愛犬がふらついて貧血のような症状をしたら~
犬の慢性腎不全(まんせいじんふぜん)とは、尿のろ過を行っているネフロンが緩やかに壊れていき、腎臓が慢性的に機能不全に陥った状態のことです。
急性腎不全ではたった1日で腎臓の機能が破壊されますが、慢性腎不全では数ヶ月~数年かけて徐々に破壊されていきます。
慢性腎不全は治るものではなく、元に戻らない進行性の疾患で、治療の目的は少しでも腎不全の進行を遅らせることです。
ネフロンとは、腎臓の基本的な機能単位であり、腎小体(じんしょうたい)とそれに続く1本の尿細管(にょうさいかん)から構成されています。
何らかの理由によりこのネフロンが徐々に破壊されていき、数ヶ月~数年かけて徐々に症状の悪化を見るのが慢性腎不全です。
ここでは、犬の慢性腎不全の主な原因はもちろん、症状から対処法、かかりやすい犬種などをまとめていますので、是非ご参考になさってください。
- 犬の慢性腎不全の主な症状
- 犬の慢性腎不全の主な原因
- 犬の慢性腎不全の主な治療法
犬の慢性腎不全の主な症状
犬の慢性腎不全の主な症状としては、重度の貧血がみられることがあります。
これは腎臓で分泌されるエリスロポエチンというホルモンの低下により、骨髄での赤血球の生成が阻害される事によります。
主な症状 |
☆食欲不振 |
☆体重減少 |
☆水をよく飲む |
☆おしっこの回数が多い |
☆骨の弱化(子犬や老犬) |
☆貧血(ふらついて口内粘膜が蒼白) |
☆副甲状腺機能亢進症 |
☆高窒素血症 |
☆尿毒症(末期) |
犬の慢性腎不全の主な原因
慢性腎不全は急性腎不全とは異なり、原因がはっきり分からないことがほとんどです。
ほとんどの症例においては明確な原因がわからず、「特発性腎不全」とか「慢性広汎性腎不全」という言葉が当てられます。
これは「よくわからない」という意味です。
- 別の疾患による
あらかじめ保有している何らかの病気によって腎不全が引き起こされることがあります。
具体的には下記の通りです。
水腎症、
糖尿病、
間質性腎炎、
腎硬化症、
多発性嚢胞腎などです。 - かかりやすい犬種
慢性腎不全を発症しやすい犬種が確認されています。
かかりやすい犬種は下記の通りです。イングリッシュコッカースパニエル、
ケアーンテリア、
ゴールデンレトリバー、
サモエド、
シャーペイ、
ジャーマンシェパード、
シーズー、
ソフトコーテドウィートンテリア、
スタンダードプードル、
チャウチャウ、
ドーベルマン、
ノルウェジャンエルクハウンド、
バセンジー、
ビーグル、
ブルテリア、
ミニチュアシュナウザー、
ラサアプソ、
ロットワイラーなどです。
特にブルテリア、ジャーマンシェパードでは「常染色体優性遺伝」
ケアーンテリア、イングリッシュコッカースパニエルでは「常染色体劣性遺伝」
サモエドでは「X染色体性優性遺伝」であることが確認されています。
※「SDMA™」
従来の「血中クレアチニン濃度」よりも忠実に腎機能低下を反映するとされています。
クレアチニンは腎機能が75%まで低下してようやく血中に出現するものでしたが、SDMA™はわずか25~40%低下しただけで検査値に現れると言われています。
これを時間に換算すると、従来よりおよそ17ヶ月も早く検知できる可能性があるといいます。
血液検査のオプションに関しては、通っている病院に一度お問い合わせください。
犬の慢性腎不全の主な治療法
犬の慢性腎不全の治療は、慢性腎不全の進行を遅らせ、少しでも長く愛犬に快適に過ごさせる事が目的です。
なぜなら、慢性腎不全は、治療を行っていても少しずつ病状が進行していき、決して治ることのない疾患だからです。
犬の慢性腎不全の主な治療法は、療法食です。
- 対症療法
まずは症状の軽減を目的とした治療が施されます。
たとえば高窒素血症の改善を目的に、輸液、ホルモン剤投与、腹膜灌流(ふくまくかんりゅう=腹の中に灌流液を入れて1時間位してから回収する)、血液透析(腎臓を模した機械に血液を流す)、窒素化合物を吸着させる薬剤の投与などの治療が施されます。 - 投薬治療
腎臓機能の悪化によって高血圧が発生している場合は、血圧を安定させる薬剤が投与されることがあります。 - エリスロポエチンやカルシトリオールの投与
腎臓における産生量が低下したエリスロポエチンやカルシトリオールを人工的に投与します。 - 食事療法
タンパク質と塩分量をコントロールした食事療法が施されます。脱水を予防するため、新鮮な水がいつでも飲めるようにしておくことが重要です。
犬の慢性腎不全の予防
腎臓への過度の負担をさせない為にも、われわれ人間が食べているような塩分濃度の濃い食物は上げないで下さい。
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