おなかが鳴る

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もしも愛犬のおなかが鳴ったら~膵外分泌不全症や慢性腸炎などの疑いアリ~

「いつもよりもお腹が鳴る回数が多いな」、「いつものお腹の鳴る音が大きいな」と感じたら、
要注意です!
もしも愛犬のお腹が鳴る場合、下記の疾患が疑われます。

膵外分泌不全症(Exocrine Pancreatic Insufficiency, EPI)

膵外分泌不全症は、犬の膵臓が十分な消化酵素を生産しない状態を指します。
これにより、食物の消化がうまく行われないため、栄養の吸収障害が生じます。

主な症状には、大量の薄い便の排泄急激な体重減少、食欲増進などがあります。
また、栄養の吸収が悪くなるため、皮膚や被毛の状態が悪化することもあります。

原因としては、先天的なもの、膵臓の炎症や損傷、あるいは不明な原因によるものが考えられます。

治療としては、消化酵素のサプリメントの投与や特別な食事療法が行われます。
これにより、消化と栄養の吸収を助けることが目的となります。

慢性腸炎

慢性腸炎は、犬の小腸または大腸に長期間にわたる炎症が生じる状態を指します。
この炎症は、様々な原因によって起こり、犬の消化機能や吸収機能に影響を及ぼします。

主な症状としては、繰り返しの下痢、軟便、時折の嘔吐、食欲減少、体重の減少などが挙げられます。
これらの症状は、軽度から重度まで異なることがあります。

原因は多岐にわたり、食物のアレルギーや感染、寄生虫、腸の免疫反応の異常などが考えられます。
しかし、すべての場合に明確な原因を特定するのは難しいこともあります。

治療としては、原因に応じた食事療法や抗生物質、抗炎症薬、免疫調節薬などの投与が行われることが多いです。

症状の原因を特定し、適切な治療を行うことで、多くの犬は生活の質を向上させることができます。

小腸性下痢症

小腸性下痢症は、犬の小腸での異常が原因となる下痢を指します。
小腸は栄養の吸収が主な役割であるため、この部分での異常は消化・吸収の障害を引き起こします。

主な症状は、大量の薄い便頻繁な下痢、時には嘔吐や体重減少などが見られます。
また、栄養の吸収不良から、一般的な体調の低下や毛並みの乱れも起こり得ます。

原因には、食物のアレルギーや感染症、寄生虫、膵外分泌不全症、腸の構造異常や腫瘍などが考えられます。

治療としては、原因を特定し適切な処置を行うことが重要です。
感染や寄生虫の場合は特定の薬物治療が、食物アレルギーの場合は食事療法が主に推奨されます。

早期に症状を認識し、適切な診断と治療を受けることで、犬の健康を守ることができます。

鼓腸

鼓腸は、犬の腹部にガスが過度に溜まることで、腹部が膨らむ状態を指します。
この状態は、腸の動きの異常や閉塞、消化不良などさまざまな要因によって引き起こされることがあります。

主な症状としては、腹部の膨張、明らかな不快感、食欲不振、嘔吐や下痢、不安や痛みのサインとしての鳴き声などが挙げられます。

原因として、食物の消化不良、腸内のバクテリアの異常増殖、腸の閉塞、腸の捻転などが考えられます。
特に腸の捻転は緊急を要する重大な状態であり、速やかな対応が必要です。

治療としては、原因に応じた対応が行われます。ガスの排出を助ける治療、必要に応じた手術、食事の調整などが考慮されることが多いです。

鼓腸は犬の苦痛を引き起こすだけでなく、重篤な状態に進展する可能性もあるため、早期の対応が大切です。

アレルギー

犬のアレルギー症状が最近増えてきています。代表的な例では、チョコレートやネギ類を食べてしまい発症する食べ物由来と、散歩中に誤ってチューリップなど球根植物を口にしてしまい発症する事例が多くみられます。

そもそも食品アレルギーとは、ある特定の食材に含まれる成分に対してアレルギー反応を示してしまうことです。

「アレルギー」とは、免疫反応が激しすぎて、本来守るべき生体に害を及ぼしてしまう状態のことです。アレルギーを引き起こす原因物質は「アレルゲン」と呼ばれます。アレルギーには様々なタイプがあり、食品アレルギーには「I型」と「IV型」が関わっていると考えられています。
前者は、アレルゲンとの接触から30分程度で現れる即時型のことで、アトピー性皮膚炎が代表格です。
後者は、アレルゲンとの接触から24時間以上かけて緩やかに現れる遅延型のことで、接触性アレルギーが代表格です。食品アレルギーにおいては、これら2タイプのうちのどちらか、もしくはその両方が関わって発症すると考えられています。
アレルゲンが腸管に局所的に作用した後、血流に乗って散らばることで全身症状を示すようになります。「I型アレルギー」が主体の場合は、比較的短時間で現れて短時間で消えますが、「IV型アレルギー」が主体の場合は、数日たってから症状が現れ、それが数週間持続することもしばしばです。